Medical Microbiology

Medical Microbiology · 4/29

ウエステルマン肺吸虫

Paragonimus westermani

🧠 の生活環に「もう1つの中間宿主」を継ぎ足した吸虫として読む。 貝(第1中間宿主)→、まではと共通だが、はさらにカニ・エビ(第2中間宿主)に入り込んでからする。だからヒトの感染源はではなく「生・半生のカニ/エビ」になる。そして肺に寄生する成虫は喀痰に血性の卵を混じらせるため、慢性の咳++胸部陰影という像が結核と酷似する——この「肺結核の偽物」という位置づけが臨床上の急所である。

分類と形態

吸虫共通の性状(扁平な虫体・貝を中間宿主とする生活環)はを参照。はその中でもである。

項目 内容
形態 レモン形の虫体
——と同型
第1中間宿主 貝(水生巻貝)
第2中間宿主 産のカニ・エビ
終宿主 ヒト・肉食動物(虫体は肺実質に寄生)

感染経路と生活環

  • 感染源は生または加熱不十分なカニ・エビ肉に含まれる
  1. 虫卵が喀痰または糞便として排出される
  2. 中でし、貝に侵入してまで発育する
  3. が貝を離れ、カニ・エビに侵入してとしてする
  4. ヒトが生・加熱不十分なカニ・エビを摂食する
  5. 小腸で
  6. 幼若虫が腸壁を貫通し、横隔膜を越えてまで移行する
  7. 肺実質でに囲まれながら成虫となる
  8. 産卵された卵は気管支腔に排出され、喀痰としてされる、または嚥下されて糞便中に排出される
flowchart TD
  A["生・半生のカニ/エビ<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metacercaria'>メタセルカリア</span>含有)を摂食"] --> B["小腸で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excystation'>脱嚢</span>"]
  B --> C["腸壁を貫通し横隔膜を越え肺へ移行"]
  C --> D["肺実質で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrous cap'>線維性被膜</span>に囲まれ成虫化"]
  D --> E["気管支腔に産卵"]
  E --> F["喀痰として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Expectoration'>喀出</span> or 嚥下→糞便排出"]
  F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fresh water'>淡水</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miracidium'>ミラシジウム</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hatching'>孵化</span>→貝に侵入"]
  G --> H["貝内で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cercaria'>セルカリア</span>まで発育"]
  H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cercaria'>セルカリア</span>がカニ/エビに侵入し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='encystment (to encyst)'>被嚢</span>"]
  I --> A

臨床像:肺吸虫症

病期 症状
幼若虫の移行期 胸痛、咳嗽、
成虫寄生期(肺) 発熱、、呼吸困難、
異所性寄生 脳・肝臓・腹腔などへすることもある

⚠️ は肺結核とされやすい。 慢性の咳嗽・・胸部陰影という組み合わせは肺結核と酷似しており、生のカニ・エビ摂食歴(渡航歴・食歴の聴取)が鑑別の鍵になる。

診断

  • 喀痰または糞便からの金褐色のの検出
  • 胸部X線:結節性嚢胞と胸水
  • 好酸球増多

治療

  • が第一選択

まとめ

  • で、貝(第1中間宿主)とカニ・エビ(第2中間宿主)の2段階の中間宿主を持つ点がと異なる。
  • 感染源は生・加熱不十分なカニ・エビ。幼若虫は腸壁→横隔膜を越えて肺に移行し、成虫は気管支腔に産卵する。
  • 卵は喀痰としてされるか嚥下されて糞便中に排出される——診断検体が喀痰・糞便の両方になる。
  • 臨床像は慢性の咳嗽・・胸部陰影で肺結核との鑑別が重要。脳・肝臓など異所性寄生も起こりうる。
  • 治療はと異なりが第一選択(吸虫症の標準治療に合致する)。