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Imaging findings · Published

透明中隔腔

Cavum septum pellucidum

別名
CSP
臓器系
神経
科目
Embryology
トピック
発生学 17.3:中枢神経系:脳胞

🧠 全体像は「6つ目の脳室」と呼ばれることがあるが、そのものではなく脳脊髄液の流れに関与しないである。で決めるべきは良悪性ではなく、これが単独の正常変異か、の一部として見えているだけか、それとも症状の原因になりうる嚢胞・閉塞病変かという切り分けであり、大多数は「何もしない」でよい所見である。

所見の定義

は、前角の間にあるの2葉が正中でしてできるである。前方は、上方は前体、後方は柱、下方は吻部とで囲まれる。

  • 正常範囲:2葉は互いに平行で、間隔10mm未満1
  • 嚢胞:横径10mmを超え、かつ中隔葉が外側へ弓状に突出している場合に疑う、独立した病的エンティティ1。単なる大きめのCSPと嚢胞は連続した所見ではなく、この形態基準で線を引く。
  • の後方に連続してベルガ腔がみられることがある。ベルガ腔は体・の間に位置し、単独のCSPと合わせて評価する。

モダリティと写り方

写り方 留意点
CT 前角の間の正中に、脳脊髄液と同吸収域のスリット状〜箱状の透亮域として描出される 薄いスライスでないと見落とす、またはしやすい
MRI( 中隔2葉のが高信号領域としてより明瞭に描出され、葉の菲薄化・の有無も評価しやすい 柱を後方境界として同定するととの境界を追いやすい

脳室拡大との鑑別を絞る軸

CSPそのものは脳室ではないため、隣接する前角の形態と中隔葉の性状を見て「これはCSPが目立っているだけか、真のか」を判定する。

所見 CSP(正常変異) ・水頭症を示唆する所見
中隔葉の形態 平行で薄い 脳室内圧上昇による菲薄化・1
前角の形状 正常な鋭角 丸みを帯びて拡大
発生過程で中隔2葉の癒合が不完全なまま遺残した正常変異 髄液の産生・吸収・流れの異常、またはによる(詳細はを参照)
軽度〜中等度のとの関係 軽度〜中等度のだけではCSP/ベルガ腔は新たに生じない1

⭐ CSPは加齢やの結果として新たに出現する所見ではなく、生まれつき中隔が癒合しきらずに残った構造である。したがって「CSPがあるからがある」とは言えず、両者は別々に評価する。

評価の進め方

flowchart TD
    A["正中に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral ventricles'>側脳室</span>前角間の透亮域を認める"] --> B{"横径10mm未満で中隔葉は平行か"}
    B -->|"はい"| C["生理的CSP(±ベルガ腔)として記載のみ"]
    B -->|"いいえ・10mm超で葉が外側へ弓状突出"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cavum septi pellucidi'>透明中隔腔</span>嚢胞を疑う"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='foramen of Monro'>Monro孔</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mass effect'>圧排</span>し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventricular enlargement (dilatation)'>脳室拡大</span>や症状があるか"}
    E -->|"なし"| F["経過観察"]
    E -->|"あり(頭痛・意識障害など)"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurosurgery'>脳神経外科</span>評価(ball-valve機序による急性閉塞を考慮)"]
    C --> H{"隣接する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral ventricles'>側脳室</span>前角も拡大しているか"}
    H -->|"なし"| I["CSP単独の正常変異として終了"]
    H -->|"あり"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventricular enlargement (dilatation)'>脳室拡大</span>の評価に進む"]

CSPそのものへの介入は嚢胞化してを閉塞する場合を除き通常不要である。隣接する脳室が同時に拡大しているように見えるときだけ、の評価軸に切り替える。

紛らわしいもの

  • ベルガ腔:CSPの後方に連続する別区画。単独診断名としてではなく、CSPと合わせて「腔」の後方への広がりとして記載する。
  • 嚢胞:横径10mm超・中隔葉の外側への弓状突出という形態基準を満たすものだけを指す、独立した病的エンティティ。頻度はまれ(約0.04%)で、症状を起こすのはする場合に限られる1
  • :CSPはそのものではなく、単独では病的意義を持たない。中隔葉が菲薄化・していれば脳室内圧上昇を示唆し、平行なままであればとはの正常変異と判断する1

まとめ

  • の2葉が正中でしたで、間隔10mm未満・葉が平行なら正常変異である。
  • 横径10mm超で葉が外側へ弓状突出する場合のみ嚢胞として区別し、閉塞による症状の有無で介入を判断する。
  • CSPはの結果として新たに生じる所見ではなく、隣接する前角の形状と中隔葉の菲薄化・の有無でとの混同を避ける。

出典

  1. 1.Imaging of the septum pellucidum: normal, variants and pathology(British Journal of Radiology・2023)透明中隔の2葉が正中で平行に10mm未満で離開している状態を正常範囲とし、横径10mmを超えて葉が外側に弓状に突出する場合は透明中隔腔嚢胞として区別すること、透明中隔の癒合は妊娠約6か月から尾側→吻側方向に進み後方のベルガ腔がまず閉鎖し前方の透明中隔腔は生後3〜6か月までに閉鎖すること、慢性水頭症では脳室内圧上昇による中隔の菲薄化・断裂(fraying and fenestration)が生じ軽度〜中等度の脳室拡大だけでは正常のCSP/ベルガ腔は生じないこと、透明中隔腔嚢胞によるMonro孔閉塞(ball-valve現象)はまれ(嚢胞の頻度は約0.04%)であることを確認した。閲覧 2026-08-10