Biochemistry

Biochemistry · 3/6

P/O比の実験的決定

Experimental determination of the P/O ratio — P I

前提:正常
酸化的リン酸化と電子伝達系ATP合成酵素の機構とP/O比

🧠 実習は「単離ミトコンドリアの酸素消費を酸素電極で追い、ADPを加えたときの反応からとP/O比を測る」と読む。 で酸素消費速度を記録。ADP添加で呼吸が加速()し、消費した酸素と合成したATPの比からP/O比を求める。阻害薬・で共役の仕組みを実証する。

原理:化学浸透説

によれば、呼吸基質の酸化・ADPのリン酸化・イオン輸送は、すべてを共通の中間体として共役している。反応が生むで、H⁺をマトリックスからへ輸送し、(proton motive force = ΔpH と膜電位ΔEₘ の和)を作る。1 mol ADP→ATPのリン酸化で約2 mol H⁺がマトリックスへ戻る。

呼吸調節とP/O比

無傷のミトコンドリアが呼吸基質を酸化しADPをリン酸化するとき、酸素消費速度とATP合成量の両方を測れる。

  • : 至適条件(飽和基質・Pi・O₂・中性pH)での基質酸化速度は、ADPの有無だけに依存する。ADPが呼吸を加速する。
  • = v(+ADP) / v(−ADP)。 呼吸とATP合成の共役の良さを表す。
  • P/O比 = 合成された[³²P]-ATP / 消費された酸素原子。 ³²Pの取り込みと酸素消費を同時記録して算出する。基質がに入る位置(NADH vs FADH₂連結)で値が異なる。
flowchart TD
  A["ミトコンドリア+基質(酸素消費なし)"]
  A --> B["ADP添加 → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='State 3'>呼吸加速</span>"]
  B --> C["ADP枯渇 → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='State 4'>呼吸減速</span>"]
  C --> D["消費O₂とATP合成量から P/O比"]
  B --> E["RCR = v(+ADP)/v(−ADP)"]

阻害薬・脱共役剤の効果

各薬剤の効果を酸素電極で観察し、共役の仕組みを実証する。

薬剤 作用 呼吸への効果
プロトンを漏らす RC・P/O低下、ADPなしでも呼吸速いがATP合成なし
阻害 呼吸も抑制(勾配が限界に達する)。DNP添加で呼吸再開
ANT(ADP/ATP輸送体)阻害 呼吸抑制(は高いまま)。DNPで再開
(KCN, など) 特定部位を遮断 酸素消費停止。ADPやDNPを加えても再開しない

⚠️ 「再開するかどうか」でが分かる。 やANT阻害では、/自体は生きているので、うまく操作すれば呼吸が戻る。そのものの阻害(KCN=複合体IV、=複合体II)では電子が流れず、ADPやを加えても呼吸は戻らない。阻害薬より下流はすべて酸化型、上流はすべて還元型になる。

クラーク型酸素電極

溶存酸素を電気化学的に測る装置。

  • 構成: 参照電極(銀/塩化銀)と白金電極(負極)を飽和KCl中に置き、ポリエチレン膜で反応液と隔てる。
  • 原理: 一定の分極電圧(0.6 V)をかけると、膜を通った酸素が白金電極で電解還元され、電流が酸素濃度に比例する(電流の領域を利用)。
  • 反応槽は恒温・撹拌し、を入れない。添加で酸素ゼロ点をする。

実験の流れ

  1. に基質(グルタミン酸+、または)を加える。
  2. 肝から単離したミトコンドリアを添加、呼吸速度(傾き)を記録。
  3. 既知量のADPを添加し、加速した酸素消費を記録 → 消費O₂とADP量からP/O(ADP/O)比を算出。
  4. ・DNP・KCN・を順に加え、効果を観察。

まとめ

  • :酸化・リン酸化・イオン輸送はを共通中間体として共役。
  • 単離ミトコンドリアの酸素消費をで追う。ADPが呼吸を加速()。
  • RCR=v(+ADP)/v(−ADP)、P/O比=合成ATP/消費酸素原子。基質の入る位置で値が異なる。
  • DNP()・)・・KCN/)で共役を実証。
  • 阻害ではADP・を加えても呼吸は戻らない。