生物物理学

生物物理学 · 22.10

聴覚の生物物理学I:外耳

Biophysics of hearing I — the outer ear

🧠 外耳は音を集めるだけでなく、耳介・・外耳道からなる方向依存の音響フィルタとして、を伴いながら約2–7 kHzのを強調する。1

波としての音が外耳で集められた後、鼓膜振動は中耳の整合へ渡される。ここでは音源から鼓膜までの経路に焦点を置く。

外耳の役割

  • 耳介は音を集め、方向依存のスペクトル手掛かり(spectral cue)を与える。
  • 外耳道は鼓膜へ音を導く。
  • 外耳道の共鳴によりのが増強される。
  • 鼓膜で空気中の圧力振動を機械振動へ変える。

片端が閉じた管の基本共鳴は、管長LLが波長の約1/41/4となる条件で起こる。

f1≈v4Lf_1 \approx \frac{v}{4L}

実際の外耳道は一様な直管ではないため単純式からずれるが、を選択的に強調するという意味は変わらない。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sound wave'>音波</span>"] --> B["耳介が集音・方向情報を付加"]
  B --> C["外耳道で共鳴"]
  C --> D["約2–7 kHzの帯域を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='individual variation'>個人差</span>を伴って強調"]
  D --> E["鼓膜振動"]

💡 外耳道の閉塞や形状変化は単なる音量低下だけでなく、周波数特性も変化させる。

共鳴周波数はと有効管長で近似でき、境界での反射にはが関与する。ただし実耳では耳介・、外耳道形状、鼓膜の弾性と中耳負荷も周波数応答を変える。鼓膜は剛体ピストンではなく、周波数依存の複雑な振動様式でを機械振動へ変換する。2

まとめ

  • 外耳は集音、手掛かり(localization cue)、共鳴増幅を担う。
  • 外耳道はとして近似できる。
  • 鼓膜で変化が機械振動へ渡される。

出典

  1. 1.Sound pressure generated in an external-ear replica and real human ears by a nearby point source(The Journal of the Acoustical Society of America・1968)耳介・耳甲介・外耳道が鼓膜位置の周波数応答へ寄与すること閲覧 2026-08-20
  2. 2.Biomechanics of the tympanic membrane(Journal of Biomechanics・2011)鼓膜が外耳道の音圧を周波数依存的な機械振動へ変換すること閲覧 2026-08-20