Forensic Medicine

Forensic Medicine · 33

法医DNA鑑定

Forensic DNA analysis

前提:正常
PCRおよびリアルタイムPCRの機能と応用

🧠 全体像:法医DNA鑑定は遺伝子()ではなく、が最も大きい非コード領域のを対象とし、その中心となるのがである。核DNA(nDNA)を第一選択とし、量・質が不十分な場合はする(mtDNA)を用いる。

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)とDNA分析

  • はDNA分析に不可欠な技術であり、特定のDNA配列を理論上無制限に増幅することができる。
  • 使用するが、増幅される配列の境界を決定する。

💡 法医DNA鑑定の特徴的な点は、ヒトDNAの(=遺伝子)を調べないことである。代わりに、個体間差が最も大きいに着目する。これは、法医鑑定が「疾患のを調べる」臨床遺伝学とは目的が根本的に異なる(のみを目的とする)ためである。

検体の質・量に関する課題

  • などの遺伝学的検査では、血液や唾液など保存状態の良い検体が一般に入手可能である。
  • 一方、生物学的痕跡の検査遺体の識別では、以下のような問題がしばしば生じる。
    • DNA量が極めて少量
    • DNAの保存状態不良
    • PCR阻害物質の混入

DNAの所在:核DNA(nDNA)とミトコンドリアDNA

  • DNAはミトコンドリアの両方に存在する。
  • 法医遺伝学では核DNAとの両方を鑑定に利用できる。
  • 第一選択はnDNAだが、量・質が不十分な場合はmtDNAを用いる。
flowchart TD
    A["検体からDNA鑑定を行う"] --> B{"nDNAの量・質は十分か"}
    B -->|"十分"| C["核DNA(nDNA)で鑑定"]
    B -->|"不十分"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mitochondrial DNA'>ミトコンドリアDNA</span>(mtDNA)で鑑定"]

💡 mtDNAは母系にのみ遺伝し、1細胞あたりのがnDNAよりはるかに多いため、高度に腐敗・した検体でも検出できることがある。ただしmtDNAは母系の間で共通のため、はnDNAより劣る。

DNA鑑定の用途

用途 用いるDNA
nDNA
刑事事件における被害者の識別 nDNA+mtDNA
刑事事件における加害者の識別 nDNA+mtDNA
遺体の識別 nDNA(不十分な場合はmtDNA)

短鎖タンデム反復とその他のマーカー

  • は、現代の法医DNA鑑定の中心をなすマーカーである。
  • 特殊な場合には、上のSTRであるX-STR・Y-STR(gonosomal STR)を調べる。
  • 保存状態が不良な検体には、より短い断片で解析可能なが利用できる。
  • は、STRとSNPの中間的な性質を持つマーカーである。
マーカー 特徴
STR 現代法医DNA鑑定の中心。が高い
X-STR/Y-STR 上のSTR。特殊な事案(性別に関連したなど)で使用
SNP 保存不良検体向け。増幅断片が短くて済む
Indel多型 STRとSNPの中間的性質

まとめ

  • 法医DNA鑑定は遺伝子()ではなく、の大きい(主にSTR)を対象とする。
  • 核DNA(nDNA)を第一選択とし、量・質が不十分な場合はするmtDNAを併用・代替する。
  • STRが解析の中心であり、STR(X-STR/Y-STR)、SNP、indel多型は検体の状態や目的に応じて使い分けられる補助的マーカーである。