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Imaging findings · Published

虹彩透光試験欠損

Iris transillumination defect

臓器系
眼科
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Microscopic Anatomy)
トピック
組織学 17.1:感覚器:眼

🧠 全体像:正常なは、実質と後面の(後面は「網膜の非感覚部の延長」にあたる2層の)が光を遮る不透明な膜として働く。欠損は、この層が菲薄化・欠損した部分から眼内の光(対光による)が透けて見える所見であり、単独の疾患を意味しない。で決めるのは欠損の有無そのものではなく、⚠️ 欠損の分布パターン(のスポーク状か、のか、びまん性か)から、色素散布症候群・・先天性の色素形成不全のどれを疑うかという鑑別である。

所見の定義

暗室で前に、の小さなを瞳孔から後面へ向けて照射し、(光)がを透過してくる部分を観察する。が正常に保たれていれば光は遮断されるが、菲薄化・した部分では実質を通して赤みがかった光が透けて見える。前に行うのは、自体がの色素放出を促しうることと、が変化すると欠損の位置関係が分かりにくくなるためである。

モダリティと写り方

この所見はによる後方照明という観察手技そのものであり、他のとの使い分けはない。撮影ではなく検者の目による観察が基本だが、写真記録にはを利用した後方照明撮影を用いる。

観察法 光の当て方 見えるもの
直接照明 を表面に直接当てる の色調・萎縮・結節など表面の変化
後方照明() 瞳孔・眼底からの反射光を利用し、の背後から光を透過させる の菲薄化・欠損部(透光欠損そのもの)

リスクを上げる形態(鑑別のための分布パターン)

透光欠損は「どこに、どんな形で」生じるかで示唆する疾患が変わる。

分布パターン 示唆する疾患 機序
の放射状スポーク状欠損 色素散布症候群 後方に弯曲したが、放射状に並ぶと機械的に擦れ合う(との接触が最大になる部位に一致)1
周囲の(moth-eaten)欠損 上の物質がやすりのように働き、瞳孔運動のたびにをする2
びまん性・急性の化+を欠く BAIT症候群(両側急性透光症候群) の急性のびまん性脱落+の麻痺。抗菌薬(が66%)との関連が指摘される3
全体にわたるびまん性の など先天性の色素形成不全 ・そのもののが先天的に乏しい(91〜100%の高頻度で認める)4

評価の進め方

flowchart TD
    A["暗室・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>前に<br>後方照明で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transillumination test'>透光試験</span>を実施"] --> B{"欠損のパターンは?"}
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='midperiphery'>中間周辺部</span>の放射状スポーク状"| C["色素散布症候群を疑う<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='gonioscopy'>隅角鏡</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='circumferential'>全周性</span>均一な色素沈着を確認"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pupillary margin'>瞳孔縁</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='moth-eaten pattern'>虫食い状</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exfoliation syndrome'>落屑症候群</span>を疑う<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior capsule'>前嚢</span>の3領域パターン・Sampaolesi線を確認"]
    B -->|"びまん性・急性発症<br>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='light reflex'>対光反応</span>のない<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mydriasis'>散瞳</span>"| E["BAIT症候群を疑う<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluoroquinolone'>フルオロキノロン系</span>抗菌薬の使用歴を確認"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='iris'>虹彩</span>全体にびまん性・<br>先天性で他の色素低下所見あり"| F["先天性色素形成不全<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oculocutaneous albinism (OCA)'>眼皮膚白皮症</span>等)を疑う"]
    C --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>・視野で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pigmentary glaucoma'>色素性緑内障</span>への進行を経過観察"]
    D --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>・視野で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudoexfoliation glaucoma'>落屑緑内障</span>への進行を経過観察"]

紛らわしいもの

  • 淡色調のにおける生理的な菲薄化: 青色・淡色のはもともと色素が少なく、軽度の透光がベースラインとして存在しうる。左右差・時間的変化・分布パターンの典型性で病的な欠損と区別する。
  • ぶどう膜炎後の: 炎症後に・が非特異的に菲薄化することがあり、既往歴(の痕跡など)を合わせて判断する。
  • BAIT症候群と色素散布症候群の取り違え: どちらも色素の脱落を来すが、BAIT症候群は急性・びまん性で麻痺を伴うのに対し、色素散布症候群は慢性・優位のスポーク状パターンで瞳孔機能は保たれる3。
  • と色素散布症候群の取り違え: の欠損はの、色素散布症候群の欠損はの放射状スポーク状というパターンの違いに加え、所見(Sampaolesi線+まだら状 対 均一な色素沈着)を合わせて鑑別する2。

まとめ

  • 欠損は、の菲薄化・欠損部から眼内光が透けて見える所見で、暗室・前に後方照明で観察する。
  • 分布パターンが鑑別の鍵になる。の放射状スポーク状は色素散布症候群、のはを示唆する12。
  • びまん性・急性発症でのないを伴う場合はBAIT症候群を疑い、抗菌薬(特に)の使用歴を確認する3。
  • 全体にわたるびまん性のは、など先天性の色素形成不全でみられ、91〜100%と高頻度に認める4。

出典

  1. 1.Pigment Dispersion Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)色素散布症候群でみられる虹彩透光試験欠損が放射状のスポーク状欠損で、虹彩色素上皮と水晶体前面のチン小帯との接触が最大になる中間周辺部に最も多く生じること、後方に弯曲した虹彩が放射状に並ぶチン小帯と機械的に擦れ合うことでこの中間周辺部のスリット状欠損が生じることを確認した(著者Gurnani B、Kaur K、最終更新2023年6月11日)。閲覧 2026-09-08
  2. 2.Pseudoexfoliation Syndrome—Clinical Characteristics of Most Common Cause of Secondary Glaucoma(Journal of Clinical Medicine・2023)落屑症候群の虹彩透光試験所見が瞳孔括約筋部周囲の「虫食い状(moth-eaten)」パターンとして知られ、瞳孔運動による虹彩色素上皮の擦過(水晶体前嚢上の落屑物質がやすりのように働く)で生じること、隅角鏡で見えるSampaolesi線は色素散布症候群にみられる濾過隅角の均一な過色素沈着とは区別すべきであることを確認した。閲覧 2026-09-08
  3. 3.Bilateral acute iris transillumination (BAIT) syndrome: literature review(Clinical Ophthalmology・2019)BAIT症候群が虹彩色素上皮のびまん性・急性・激烈な脱色素化を来し虹彩透光性を呈すること、これが色素散布症候群にみられる中間周辺部優位の放射状パターンより顕著かつびまん性であること、症例の66%でモキシフロキサシンの使用歴があること、瞳孔括約筋の麻痺により対光反応を欠く散瞳を来すこと、眼圧上昇の頻度・程度はBADI症候群(両側急性虹彩脱色素症候群)よりBAIT症候群のほうが高いことを確認した。色素散布症候群とのIOP比較は本文中に見当たらない。閲覧 2026-09-08
  4. 4.Oculocutaneous Albinism and Ocular Albinism Overview(GeneReviews(University of Washington, Seattle; Thomas MG, Zippin J, Brooks BP)・2023)眼皮膚白皮症で虹彩透光性欠損を91〜100%と高頻度に認めること、これが虹彩全体の色素形成不全によるびまん性の透光であり、水平性眼振・中心窩低形成・視交叉での誤交叉などの他の眼所見と併存することを確認した。閲覧 2026-08-11