スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

Wassel分類

Wassel classification

臓器系
運動器
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Embryology)
トピック
発生学 9.5:骨格系:臨床
構成:症状
多指症

🧠 全体像:は、手の()において骨の重複・分岐がどれだけ近位まで及ぶかを単純X線で評価し、I〜VII型に分ける放射線学的分類である。番号を暗記するより、「奇数型(I・III・V)は、偶数型(II・IV・VI)は、VII型だけ別格()」という構造を掴む方が実務的である。1969年発表という古典的分類ゆえに、約4割が分類不能という限界も併せて理解する。

目的と適用場面

内容
目的 手のにおける骨重複の高さを判定し、手術計画(切除する側・切除の高さ)に用いる
対象 先天性ののうち()のもの
使う場面 単純X線での術前評価。が複雑な例(V型など)ではCTでの3D評価も併用する1
評価しないもの どちらの母指が優位・機能的に発達しているか、、、関節面の不整、軟部組織異常、機能予後2

構成要素と配点

は点数を合算する採点表ではなく、骨の重複が生じている高さと重複が完全か不完全かで7型に分ける放射線学的パターン分類である。

I型・II型(レベル)

型 重複の様式
I型 の裂(、近位で基部を共有)
II型 の(独立したを持つ)

III型・IV型(レベル)

型 重複の様式
III型 の裂()
IV型 の(全型中で最も頻度が高い、MTP関節レベルでの分岐)

V型・VI型(近位骨・レベル)

型 重複の様式
V型 の裂()。近位・の重複との裂を伴う組み合わせもここに含まれる1
VI型 の

VII型

型 特徴
VII型 (通常2指節の母指に対し3指節を持つ)。他の型の骨重複パターンと重ねて生じることがある

⭐ 奇数型(I・III・V)は遠位で裂け近位で基部を共有する、偶数型(II・IV・VI)は独立したを持つというルールがVII型以外の全型に共通する2。

解釈とカットオフ

には点数帯によるはなく、型ごとに手術方針の目安が異なる。

型 手術方針の目安
I・III・V型() を伴う場合は(2本を1本に再建)。損傷を避けるため生後3歳以降の手術が推奨される2
II・IV型() を伴う早期の切除術。IV型が最多で、手術時期はおおむね生後7〜18か月が目安23
VII型 側を切除し、2指節側を温存する(機能的に劣っていても残す)

💡 骨性成分を含まない軟部組織のみの重複は、Wassel型に関わらず外科的切除・で対応できる3。

⚠️ 限界と使ってはいけない場面

⚠️ 約4割が分類不能である。 Dijkmanらの検討では520例中40%が分類できず、文献1723例のレビューでも6%が分類不能(・偏位・低形成型が中心)だった2。

⚠️ は完璧ではない。 kappa 0.65にとどまり(II・IV型はkappa 0.33〜0.34と特に低い)、同じ症例でも者によって型の判定が変わりうる2。

⚠️ 型だけで手術計画を完結させない。 の判定、、、関節面の不整、軟部組織異常は評価しない。III・IV型はが高い傾向があるが、Wassel型と機能的転帰の間に明確な関連は証明されていない2。

⚠️ が未成熟な低年齢児では、裂型()と重複型()の鑑別が難しい。 複雑な例(V型など)では単純X線だけでなく多断面・CTがに有用である1。

まとめ

  • は手のを、骨重複の高さとでI〜VII型に分ける放射線学的分類。奇数型は、偶数型は、VII型はという別枠。
  • I/II型は、III/IV型は、V/VI型は近位骨・のレベルで、IV型が最も頻度が高い。
  • 手術方針は型によって異なり、は、は早期切除+、VII型は側の切除が目安。
  • 約4割が分類不能でも高くなく、・・・軟部組織異常は評価しない。型と機能的転帰の関連も証明されていない。
  • 低年齢児や複雑な例では単純X線だけで裂型と重複型を鑑別しにくく、CTの3D評価が有用。

出典

  1. 1.Wassel's Type V Polydactyly with Plain Radiographic and CT Findings(Journal of Clinical Imaging Science(Mete BD, Altay C, Gursoy M, Oyar O)・2015)Wassel V型多指症(近位骨・末節骨の重複と中手骨の裂を伴う型)の1例で、単純X線が重複した指節骨と裂を持つ第1中手骨を示し橈側の母指にMTP関節の過伸展とIP関節の屈曲を伴う"swan neck"変形がみられたこと、多断面・3D再構成CTが両母指と裂中手骨との関節構造・MTP関節近傍の種子骨・重複した長母指屈筋腱・伸筋腱とその連結線維・母指内在筋(短母指外転筋・母指対立筋・母指内転筋)の詳細な解剖を描出したこと、多断面・3D再構成CTが術前計画に不可欠であることを確認した閲覧 2026-09-26
  2. 2.Classifications in Brief: The Wassel Classification for Radial Polydactyly(Clinical Orthopaedics and Related Research(Manske MC, Kennedy CD, Huang JI)・2017)Wassel分類が1969年にHarry Wasselにより発表され、骨の重複がどの高さで生じるかに基づきI〜VII型に分けること(I/II型:末節骨、III/IV型:中節骨、V/VI型:近位骨・中手骨、VII型:三指節母指)、奇数型(I・III・V)は遠位で裂を持ち近位で基部を共有する不完全重複、偶数型(II・IV・VI)は独立した骨端を持つ完全重複であること、Wasselの原法ではI・III・V型に角状変形があればBilhaut-Cloquet法を、II・IV型には側副靱帯再建を伴う早期切除を推奨したこと、多くの手外科医がこの分類をFlatt分類とも呼ぶこと、Dijkmanらの検討で520例中40%が分類不能であり文献1723例のレビューでも6%が三指節母指・偏位・低形成型を中心に分類不能であったこと、評価者間信頼性はkappa 0.65(II・IV型は0.33〜0.34と特に低い)にとどまり内部観察者間信頼性(kappa 0.87)より劣ること、Cabrera Gonzalezらの検討でIII・IV型は合併症率が高いが機能的転帰とWassel型の間に関連は認められなかったこと、本分類が優位側の判定・角状変形・関節不安定性・関節面の不整・軟部組織異常を評価しないこと、骨端が未成熟な低年齢児では裂型と重複型の鑑別が難しいことを確認した閲覧 2026-09-26
  3. 3.Supernumerary Digit(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)多指症が軸前性(preaxial、母指・母趾側)・軸後性(postaxial、小指・小趾側)・中央性(central/mesoaxial、第2〜4指)の3つに分類されること、手の軸前性多指症に対するWassel分類が骨の分岐・重複の近位度に応じてI〜VII型に分けること、関連症候群としてBardet-Biedl症候群・Greig頭部多合指症候群・Short-rib多指症候群・Smith-Lemli-Opitz症候群・McKusick-Kaufman症候群・Pallister-Hall症候群・Fanconi貧血・Holt-Oram症候群・Down症候群が挙げられること、手術時期は軸前性で生後7〜12か月または12〜18か月、中央性でおおむね12か月ごろが目安とされることを確認した閲覧 2026-08-11