症状ノート一覧へ

Symptoms · Published

多指症

Polydactyly

別名
多趾症
臓器系
運動器小児
科目
Embryology
トピック
発生学 9.5:骨格系:臨床
関連疾患
Bardet-Biedl症候群Joubert症候群

🧠 全体像を診たら、まず軸前性()・軸後性()・中央性という解剖学的な軸で分類し、そのうえで「これはの単独所見か、症候群の一部か」を必ず問う。実務上の目安として、軸後性は孤発例が多い一方、軸前性・中央性、あるいは他の奇形を伴う軸後性はを積極的に疑う——分類名の暗記よりも、この問いを立てる姿勢そのものが評価の核心になる。

定義と用語の整理

軸前性は母指・側、軸後性は小指・小趾側、中央性は第2〜4指(趾)に余分なが生じるものを指す1。手の軸前性にはWassel分類が広く用いられ、骨の分岐・重複がどれだけ近位に及ぶかでI〜VII型に分ける放射線学的分類である1

病態生理

四肢の(母指〜小指の軸)は、後方のが分泌するShhシグナルが決定する。このシグナル伝達の異常により余分なが形成されるのが、の基本的な発生機序である。

⚠️ 見逃してはいけないこと

⚠️ 軸後性だからといって、安易に「・無害」と決めつけない。 他の、神経発達の遅れなど)の合併を必ず探す。軸前性・中央性の、または軸後性でも他の奇形を伴う場合は、を積極的に疑う。

症候群 の特徴 併存する主な所見
軸後性(診断の主徴の1つ) 網膜変性、体幹性肥満、
軸後性、症例の70〜80%2 後頭部、両側性嚢胞性異形成腎(致死的)
Ellis-van Creveld症候群 軸後性、ほぼ全例が両手6本指3 四肢短縮型、爪の異栄養、(約66%、大部分に3
Pallister-Hall症候群 軸後性・中央性
13トリソミー(Patau症候群) 軸後性が多い 、多発奇形、致死的経過をたどることが多い

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polydactyly'>多指症</span>を確認"] --> B{"軸前性・中央性か"}
    B -->|"はい"| C["症候群を積極的に検索<br>(心・腎・神経発達・視覚)"]
    B -->|"いいえ(軸後性)"| D{"他の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='congenital anomalies'>先天異常</span>を伴うか"}
    D -->|"あり"| C
    D -->|"なし(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sporadic'>孤発性</span>)"| E["家族歴を確認し整形外科へ紹介"]
    C --> F["遺伝<span class='jp-term jp-term-diagram' title='counseling'>カウンセリング</span>・原因疾患の精査"]

治療の考え方

軟部組織のみで骨性成分を含まないは、外科的切除またはで対応できる1。骨性成分を含む場合や軸前性は、成長・機能を見ながら時期を選んで再建する——軸前性はおおむね生後7〜18か月、中央性は12か月ごろが目安とされる1。中央性など他の手指異常を合併しやすく、より複雑な再建を要することが多い。

まとめ

  • は軸前性()・軸後性()・中央性(第2〜4指)の3型に分類する。
  • 軸後性は・非症候性のことが多いが、軸前性・中央性、または他の奇形を伴う軸後性はを積極的に疑う。
  • ・Ellis-van Creveld症候群はいずれも軸後性を高頻度に伴う。
  • 手の軸前性にはWassel分類(I〜VII型)が用いられる。
  • 手術時期は型により異なり、軸前性はおおむね生後7〜18か月、中央性は12か月ごろが目安となる。

出典

  1. 1.Supernumerary Digit(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)多指症が軸前性(preaxial、母指・母趾側)・軸後性(postaxial、小指・小趾側)・中央性(central/mesoaxial、第2〜4指)の3つに分類されること、手の軸前性多指症に対するWassel分類が骨の分岐・重複の近位度に応じてI〜VII型に分けること、関連症候群としてBardet-Biedl症候群・Greig頭部多合指症候群・Short-rib多指症候群・Smith-Lemli-Opitz症候群・McKusick-Kaufman症候群・Pallister-Hall症候群・Fanconi貧血・Holt-Oram症候群・Down症候群が挙げられること、手術時期は軸前性で生後7〜12か月または12〜18か月、中央性でおおむね12か月ごろが目安とされることを確認した閲覧 2026-08-11
  2. 2.Ellis-van Creveld Syndrome(GeneReviews (NCBI Bookshelf)・2023)Musculoskeletal manifestations節でEllis-van Creveld症候群のほぼ全例が両側の軸後性多指症(手はほぼ全員がhexadactyly=6本指)を呈すること、Congenital heart defects節で約66%に先天性心疾患を伴いほぼ必ず心房中隔欠損を含むこと、Nail dystrophy節で爪の異栄養が78%にみられ、認める例ではいずれも軽度以上であること、Growth deficiency節で長管骨短縮を伴う四肢短縮型の成長障害を来すことを確認した閲覧 2026-08-11
  3. 3.Meckel–Gruber Syndrome: An Update on Diagnosis, Clinical Management, and Research Advances(Frontiers in Pediatrics・2017)Meckel-Gruber症候群の古典的三徴のうち多指症(通常軸後性)が症例の70〜80%にみられ必発ではないこと、後頭部脳瘤・両側性嚢胞性異形成腎と合わせた三徴が本症の中核であることを確認した閲覧 2026-08-11