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Disease Atlas · 運動器 · 先天性疾患

頭蓋外胚葉異形成症(Sensenbrenner症候群)

Cranioectodermal dysplasia

別名
Sensenbrenner症候群CED
臓器系
運動器腎・泌尿器肝胆膵小児
科目
PathologyMicroscopic Anatomy and Embryology (Embryology)
トピック
病理学 C/90:骨の先天性疾患発生学 9.5:骨格系:臨床
上位概念
線毛病
鑑別疾患
Ellis-van Creveld症候群Mainzer-Saldino症候群短肋骨胸郭異形成症(Jeune症候群)短肋骨多指症候群
合併症
ネフロン癆慢性腎臓病先天性肝線維症
症状
多指症合指症夜盲

🧠 全体像:頭蓋(CED、Sensenbrenner症候群)は、同じ骨系統のである(Jeune症候群)と「狭い胸郭」という所見を共有しながら、その意味がまったく違う疾患として覚える。⚠️ Jeune症候群では狭胸郭がの呼吸不全に直結する中心病変だが、CEDでは狭胸郭があっても通常軽度で、致死的な呼吸不全には至らない。 CEDの主戦場は代わりに「++進行性の腎・肝障害」という組み合わせにあり、この組み合わせが揃って初めてJeune症候群やと区別できる。

位置づけと分類

CEDは、の複合体A(IFT-A)の機能障害によるので、GeneReviewsが並べる「骨系統の」5疾患の一つに位置づけられる1。71例の遺伝子内訳はWDR35が32%(23例)ともっとも多く、IFT122が18%(13例)で続き、WDR19 7%・IFT140 4%・IFT43 3%と少数の遺伝子が残り、34%(24例)はが未同定である2。報告例は100例に満たない、きわめてまれな疾患である2。

臨床像

⭐ 頭蓋顔面の所見がもっとも高頻度(75%超)で診断の手がかりになる。 の早期癒合による、、両眼開離・、で後方回旋した耳介、などを特徴とする2。

系統 所見 頻度
頭蓋顔面 早期癒合による、、両眼開離、、 75%超
骨格 狭い胸郭・短い肋骨(通常軽度)、近位の短縮・、・、軽度の皮膚性合指 骨格全体としてありふれるがは50〜75%
外胚葉 歯の・・を伴う手指の異常、まばらで細い毛髪、短く成長の遅い爪、 50〜75%
腎 型の腎機能低下、多くが2〜6歳で 60〜70%
肝 肝脾腫〜進行性肝疾患(肝硬変、胆汁うっ滞、胆管炎) 25〜50%
網膜 、乳幼児期早期からの 25%未満

2

⚠️ 腎病変は本症でもっとも生命を左右する所見である。 少なくとも60〜70%に腎機能低下が報告され、・・を伴う型が中心で、大半の患児が2〜6歳という早い時期にへ進行する2。

病態機序

flowchart TD
    A["IFT-A複合体構<span class='jp-term jp-term-diagram' title='etiology'>成因</span>子(WDR35・IFT122など)の<br>両アレル機能喪失"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary cilium'>一次線毛</span>の形成・線毛内逆行輸送の障害"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cranial suture'>頭蓋縫合</span>の骨化制御異常"] --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sagittal suture'>矢状縫合</span>早期癒合・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='long head (of a muscle)'>長頭</span>"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endochondral ossification'>軟骨内骨化</span>の障害"] --> F["近位<span class='jp-term jp-term-diagram' title='long bone'>長管骨</span>短縮・狭い胸郭(通常軽度)"]
    B --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal tubular epithelium'>尿細管上皮</span>の線毛シグナル障害"] --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nephronophthisis'>ネフロン癆</span>型腎障害"]
    B --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrahepatic ductal plate'>肝内胆管板</span>・毛包・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nail bed'>爪床</span>の<br>線毛依存性シグナル障害"] --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ectodermal dysplasia'>外胚葉異形成</span>・肝病変"]

鑑別

疾患 見分け方
(Jeune症候群) 狭い胸郭という所見を共有するが、Jeune症候群では高度で重度の呼吸窮迫に至ることが多いのに対し、CEDでは通常軽度にとどまる。とはCEDに特有2
(98%)と(66%)が中核。・・肝疾患・はCEDに特有で、には伴わない1
高度なにより周産期に致死的となることが多く、CEDが小児期・時に成人期まで生存しうるのと対照的2
Mainzer-Saldino症候群 同じ骨系統のだが、狭胸郭・は前面に出ず、指骨のと(CEDより高頻度の)が中心1

診断

臨床基準では、頭蓋顔面・骨格・外胚葉・腎・肝・網膜の所見のうち高頻度所見2つ+他の異常2つ(うち少なくとも1つは外胚葉症状)を満たすことで診断される。確定にはWDR35・IFT122・WDR19・IFT140・IFT43のいずれかのをで確認する2。

管理・予後

早期癒合には多くの場合1歳未満での外科的整復を行い、歯科異常・・肝疾患・には標準治療を行う。腎として早朝尿浸透圧検査・多尿の評価を、網膜評価として4歳からの年1回の眼科検査を継続する2。

⚠️ ・死亡率はともに高い。 65例中10例(15%)が7歳未満で呼吸不全・心不全・または原因不明で死亡した一方、少なくとも3例が若年成人期まで生存している。頻回または長期の入院を要することが多く、生殖に至った報告例は無い2。

まとめ

  • CEDはWDR35(32%)・IFT122(18%)などIFT-A複合体の遺伝子変異によるの骨系統ので、報告例は100例未満のきわめてまれな疾患である。
  • ⚠️ 狭い胸郭はJeune症候群と共有する所見だが、CEDでは通常軽度で致死的な呼吸不全には至らない。 診断の中心は(75%超)と、である。
  • ⭐ 生命予後を左右するのは腎病変である。 60〜70%に型腎機能低下があり、大半が2〜6歳という早期にに進行する。肝病変(25〜50%)と(25%未満)も伴いうる。
  • 診断は臨床基準(高頻度所見2つ+外胚葉症状を含む他の異常2つ)またはで確定する。
  • 65例中10例が7歳未満で死亡する一方、少なくとも3例が若年成人期まで生存しており、は総じて高い。

出典

  1. 1.Ellis-van Creveld Syndrome(GeneReviews (NCBI Bookshelf)・2023)Europe PMC経由でNBK596643の全文XMLを自分で取得して確認した(2023年10月26日初版掲載)。手の軸後性多指症・不均衡な四肢短縮型低身長・爪の異栄養/低形成・歯と口腔の異常・先天性心疾患・特徴的なX線所見(狭い胸郭と短い肋骨、短く太い管状骨、尺骨近位端と橈骨遠位端の球状肥大、手根骨・中手骨の癒合、指骨の円錐状骨端、小さい腸骨稜、寛骨臼の棘状突出=三叉状腸骨、脛骨プラトーの外側傾斜)を特徴とすること、2023年改訂のGenetic Skeletal Disordersの分類では「線毛または線毛シグナルの異常による骨系統疾患」(Group 10)に置かれること、鑑別として短肋骨胸郭異形成症(Jeune)・短肋骨多指症候群・Weyers顔面末端異骨症・頭蓋外胚葉異形成症・Mainzer-Saldino症候群という骨系統の線毛病が並ぶこと、あわせて2026年9月7日にNCBIのライブページ(本文HTML)を自分で取得しDifferential Diagnosis節のTable 4が骨系統の線毛病5疾患を比較していることを確認した——頭蓋外胚葉異形成症(CED、Levin-Sensenbrenner)はIFT122・IFT43・WDR19・WDR35など(表の印字はIFT122 IFT40 IFT43 WDR19 WDR35だがIFT40というヒト遺伝子は存在せず同じ表の他欄がIFT140を挙げることから誤植と考えIFT140を除く確実な4遺伝子だけを「など」付きで採用した)を原因とし、骨格は頭蓋縫合早期癒合・狭い胸郭・四肢近位部の短縮・高度の短指症・軸後性多指症(まれ)、骨格外は外胚葉異形成・前頭部突出と低位耳介の特徴的顔貌・皮膚と関節の弛緩・進行性腎不全・肝疾患・網膜変性で、Ellis-van Creveld症候群と異なり頭蓋縫合早期癒合・腎不全・肝疾患・網膜変性を伴うことを確認した。閲覧 2026-09-07
  2. 2.Cranioectodermal Dysplasia(GeneReviews (NCBI Bookshelf)・2022)2022年12月15日改訂版の全文を自分で取得して確認した。頭蓋外胚葉異形成症(CED、Sensenbrenner症候群)の頻度不明のまれな疾患で報告例が100例未満であること、常染色体潜性遺伝であること、原因遺伝子の内訳(71例)がWDR35 32%(23例)・IFT122 18%(13例)・WDR19 7%(5例)・IFT140 4%(3例)・IFT43 3%(2例)・未同定34%(24例)であり大半がIFT-A複合体(線毛内輸送を担う)をコードする遺伝子であること、頭蓋顔面の所見(矢状縫合早期癒合による長頭、前頭部突出、両側頭部の狭小、高い前額、低位・単純・後方回旋した耳介、両眼開離・内眼角贅皮、丸い頬、小顎症、下唇の外反、鼻孔の前方開大)が75%超に認められること、骨格所見として狭い胸郭と短く異形成な肋骨がありふれているが必発ではなく(50〜75%)妊娠23週という早期から近位長管骨(とくに上腕骨)の短縮・彎曲が確認されること、短指症・軸後性多指症が75%超に認められ軽度の皮膚性合指(多くは第2・3趾)を伴うこと、外胚葉症状として歯の萌出遅延・乳歯の矮小化と離開・歯数不足(50〜75%)、乳幼児期のまばらで細い毛髪、乳児期からの短く幅広く成長の遅い爪、全身の皮膚弛緩と余剰皮膚があること、腎症状として少なくとも60〜70%に腎機能低下が報告され間質性線維化・巣状炎症細胞浸潤・尿細管萎縮・糸球体硬化・時に嚢胞を伴うネフロン癆(尿細管間質性腎炎)型が50〜75%を占め大半の患児が2〜6歳で末期腎不全に至ること、肝症状は肝脾腫から進行性肝疾患まで幅があり乳児期の肝硬変・高度胆汁うっ滞(胆管増生を伴う)・急性胆管炎の報告もあり頻度は25〜50%であること、網膜ジストロフィは25%未満とこの疾患群の中では比較的低頻度だが夜盲は乳幼児期早期から明らかになりうること、[[diseases/short-rib-thoracic-dysplasia|短肋骨胸郭異形成症(JATD)]]とCEDは狭い胸郭という表現型で強く重なるがCEDでは通常軽度でJATDでは高度で重度の呼吸窮迫に至ることが多いこと、短肋骨多指症候群(SRPS)は高度な胸郭狭小により周産期に致死的であるのに対しCEDは小児期・時に成人期まで生存しうること、診断は特徴的な2所見+うち少なくとも1つが外胚葉症状を含む他の2異常という臨床基準、または上記遺伝子の両アレル病的バリアントの分子確認で確定すること、管理は矢状縫合早期癒合に対する多くは1歳未満での手術、歯科異常・ネフロン癆・肝疾患・心奇形への標準治療、早朝尿浸透圧検査・多尿の検査による腎サーベイランス、4歳からの年1回の眼科検査を含むこと、65例中10例が7歳未満で呼吸不全・心不全・循環血液量減少性ショックまたは原因不明で死亡したこと、少なくとも3例が若年成人期まで生存したこと、罹病率は高く入院が頻回または長期に及びうること、生殖に至った症例の報告は無いことを確認した。閲覧 2026-09-07