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Symptoms · Published

夜盲

Nyctalopia

別名
夜盲症鳥目
臓器系
眼科
科目
BiophysicsPhysiology
トピック
生物物理学 22.07:網膜の視細胞生理学 8.4:視覚の生理学
関連疾患
網膜色素変性

🧠 全体像は「暗いところで見えにくい」という訴えの背後に、杆体(を担う)の機能低下という一つの共通機序を持つ症候である。原因は、①網膜そのものが変性していく遺伝性網膜変性が代表)、②杆体のそのものが作れなくなる欠乏、③以外の眼疾患に伴うその他の3群に分けると原因検索の見通しが立つ。⚠️ この中で欠乏によるだけは補充で治る——見逃せば不可逆な失明へ進みうる病態を、見つけさえすれば数週間で治せる病態に変える一点である。

定義と用語の整理

とは、明所での視力は保たれたまま暗所・薄暗い環境でだけ見えにくくなる症状を指す。網膜ののうち、杆体は感度が高くを担い、錐体を担ってに働く。杆体のである由来のレチノールから構成され、暗所で機能するためにはの供給が絶えず必要になる1

病態生理:3群に分けて原因を絞る

flowchart TD
    A["杆体機能低下"] --> B["①遺伝性網膜変性<br>杆体そのものが変性"]
    A --> C["②<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitamin A'>ビタミンA</span>欠乏<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='rhodopsin'>ロドプシン</span>の材料が作れない"]
    A --> D["③その他<br>杆体以外の要因で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scotopic vision'>暗所視</span>が妨げられる"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinitis pigmentosa'>網膜色素変性</span>など<br>進行性・不可逆"]
    C --> F["吸収不良・肝疾患・偏食<br>可逆的"]
    D --> G["進行緑内障・高度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal detachment'>網膜剥離</span>・先天停在性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='night blindness'>夜盲</span>"]
  • ①遺伝性網膜変性が代表で、杆体から周辺網膜優位に変性が進み、が最初の症状になる1。進行性・不可逆で、多くは若年から発症する。
  • 欠乏の再生に必要なレチノールが不足し、暗そのものが障害される。不良(など)・・膵機能不全・高度に偏った食事が原因となる23唯一、可逆的な群である。
  • ③その他:進行した緑内障(周辺を暗所でしやすい)、高度、先天停在性から双極細胞への伝達障害で、進行しない静的な1

⚠️ 見逃してはいけないもの:ビタミンA欠乏

欠乏によるは、治療で完全に治る。 補充により、乾燥症・Bitot斑などの初期眼所見はおよそ2か月以内に完全に消失する2。診断・治療が遅れて角膜まで病変が進む(角膜乾燥症・角膜軟化症)と不可逆な視力障害に至るため、可逆な段階で捉えることに意味がある

  • 手がかりはBitot斑と角乾燥症。 Bitot斑はに生じる白色・状の三角形〜病変で、欠乏に病的特徴的な所見である3。角乾燥症(・角膜の乾燥)を伴うこともある。
  • リスク因子を能動的に聴取する。 、膵機能不全、消化管手術後、高度に偏った食事のいずれかがあれば、遺伝性網膜変性を先に考える前に欠乏を疑う2
  • 治療開始後も・暗不良は治療反応の遅れにより数週間持続しうるため、補充直後に改善がなくても中止しない3

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='night blindness'>夜盲</span>を訴える"] --> B{"吸収不良・肝疾患・<br>偏食のリスクがあるか"}
    B -->|"あり"| C["Bitot斑・角<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conjunctiva'>結膜</span>乾燥症の有無を確認"]
    C --> D["血清レチノール値を測定"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitamin A'>ビタミンA</span>欠乏として補充を開始"]
    B -->|"なし"| F{"若年発症・進行性・<br>家族歴があるか"}
    F -->|"あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fundus examination (fundoscopy)'>眼底検査</span>・網膜電図で<br>遺伝性網膜変性を評価"]
    F -->|"なし"| H["緑内障・高度<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myopia'>近視</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal detachment'>網膜剥離</span>など<br>他の眼疾患を検索"]

では発症年齢・進行の有無・家族歴・消化器症状・食事歴を確認し、でBitot斑やに特徴的な骨小体様色素沈着の有無を見る。原因検索に迷う場合は血清レチノール値と網膜電図を組み合わせて評価する。

まとめ

  • は杆体機能低下という共通機序を持ち、①遺伝性網膜変性(が代表)、②欠乏、③その他(緑内障進行・高度・先天停在性)の3群に分けて原因を絞る。
  • 欠乏によるは唯一の可逆な群であり、補充でおよそ2か月以内に治る。見逃さないことが最も重要である。
  • Bitot斑・角乾燥症は欠乏を示唆する眼所見で、吸収不良・・偏食などのリスク因子と合わせて疑う。
  • 若年発症・進行性・家族歴があれば遺伝性網膜変性を、リスク因子がなければ緑内障・高度など他の眼疾患を検索する。

出典

  1. 1.Physiology, Night Vision(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2022)杆体がロドプシン(オプシンとビタミンA由来のレチノールを含む視物質)を用いて暗所視を担うこと、ビタミンA欠乏が世界的な失明原因の主要なものの一つであること、夜盲が網膜色素変性の通常最初の症状であること、先天停在性夜盲では光受容体の伝達障害により暗順応が障害されることを確認した(Introduction節、各原因の記述部分)。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Vitamin A Deficiency(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)ビタミンA欠乏の原因が消化管吸収不良(炎症性腸疾患など)・慢性肝疾患・膵機能不全であること(Etiology節)、夜盲・結膜乾燥症・Bitot斑などの初期眼所見がビタミンA補充からおよそ2か月以内に完全に消失することをPrognosis節で確認した。閲覧 2026-08-11
  3. 3.Nyctalopia and Xerophthalmia in a Patient With Crohn's Induced Vitamin A Deficiency(Cureus・2023)先進国でのビタミンA欠乏は消化管吸収不良(炎症性腸疾患・慢性肝疾患・膵機能不全)や高度に偏った食事で生じること、Bitot斑がビタミンA欠乏に病的特徴的な白色・泡沫状の結膜病変であること、夜盲・暗順応不良が治療への反応の遅れにより少なくとも4週間持続しうることを確認した(Discussion節、症例所見)。閲覧 2026-08-11