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Disease Atlas · 運動器 · 先天性疾患

短肋骨多指症候群

Short rib-polydactyly syndrome

臓器系
運動器循環器腎・泌尿器小児
科目
PathologyMicroscopic Anatomy and Embryology (Embryology)
トピック
病理学 C/90:骨の先天性疾患発生学 9.5:骨格系:臨床
上位概念
線毛病
鑑別疾患
Ellis-van Creveld症候群Mainzer-Saldino症候群短肋骨胸郭異形成症(Jeune症候群)頭蓋外胚葉異形成症(Sensenbrenner症候群)
合併症
肺低形成
症状
多指症

🧠 全体像:(SRPS)は、同じ骨系統のであるや(Jeune症候群)の最重症の端に位置づけると理解しやすい。胸郭が極端に狭く、多発奇形を伴い、多くが周産期に致死的となる。「同じ遺伝子群の異常が、重症度の軸上でどこに落ちるかで名前が変わる」という(SRTD)スペクトラムの考え方が、本症でもっとも極端な形で現れる。

位置づけ

は、・窒息性胸郭異形成症(ATD、Jeune症候群)・Mainzer-Saldino症候群・頭蓋とともに(SRTD)群を構成する、の機能障害によるのである1。同じ枠組みは、を「線毛または線毛シグナルの異常による」(Group 10)に置く2023年改訂の国際分類でも、本症を隣接する骨系統のとして並べている2。OMIMには19ものSRPS関連遺伝子が登録されており、のがきわめて高い1。

⭐ 古典的には放射線学的所見によりI〜IV型に分類されてきた(Saldino-Noonan型・Majewski型・Verma-Naumoff型・Beemer-Langer型)。 しかし10例の胎児・例を検討した報告では、いずれの症例も4つの確立した型の所見を部分的にしか満たさず型の鑑別に難渋しており、この表現型の重なりは、各亜型が独立した実体ではなくの異なる連続したスペクトラムの一部であるとする見方を支持している3。妊娠中期の鑑別としては、とくにIII型(Verma-Naumoff型)がと紛らわしいとされる4。

臨床像

胸郭の狭小化がやよりもさらに高度で、著明な・(軸後性が主体だがを伴うこともある)・多発奇形を特徴とする。ある症例報告では、双胎ともに・著明なに加え、両手の(片手は6本指)、左右非対称な足のを認めた1。・・など主要臓器の多発奇形を伴うことも本症の特徴である3。

⚠️ が高い。 重度のに起因する・呼吸不全により、に致死的となることが多い1。

flowchart TD
    A["SRTD群<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary cilium'>一次線毛</span>機能障害)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Ellis-van Creveld syndrome'>Ellis-van Creveld症候群</span><br>比較的軽症"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Jeune'>短肋骨胸郭異形成症</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='narrow thorax'>胸郭狭小</span>+腎・肝病変"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='short-rib polydactyly syndrome'>短肋骨多指症候群</span><br>最重症・多発奇形"]
    D --> E["高度な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='narrow thorax'>胸郭狭小</span> → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary hypoplasia'>肺低形成</span>"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neonatal period'>新生児期</span>の呼吸不全 → 周産期致死"]

診断

出生前は超音波で、狭い胸郭・著明な短縮・・の組み合わせから疑われる。と同様、妊娠18週以降の超音波でこれらの所見が捉えられるほか、より早期の後半に狭い胸郭・短くした・丸い・・の組み合わせから疑われた例もある4。確定にはを要するが、が多岐にわたるため臨床的による網羅的な検索が実際的で、双胎例では・・候補変異のSanger確認を組み合わせた迅速なが可能である1。

鑑別

疾患 見分け方
・爪と歯の異常・を伴うが、・多発奇形は本症よりはるかに軽い
(Jeune症候群) と腎・肝病変が中心だが、はまれで多発奇形も本症ほど広範ではない

まとめ

  • は、・(Jeune)と同じSRTD群に属するの骨系統で、その中で最重症の端に位置する。
  • は19種にのぼりが高い。古典的にはI〜IV型(Saldino-Noonan・Majewski・Verma-Naumoff・Beemer-Langer)に分類されてきたが、実際にはの異なる連続スペクトラムと考えられている。
  • 著明な・・・多発奇形(・・など)を特徴とし、重度のによりに致死的となることが多い。
  • は超音波所見の組み合わせから疑い、の多様性ゆえに臨床的が確定診断の実際的な手段になる。

出典

  1. 1.Prenatal Diagnosis of Short Rib-Polydactyly Syndrome (SRPS), DYNC2I1-Related: Identification of a Novel Homozygous Missense Variant by Clinical Exome Sequencing(Clinical Case Reports(Xian S, Zhao Q, Li Y, et al.)・2026)PMC13240289として公開されている全文を確認した。短肋骨多指症候群(SRPS)が一次線毛の欠損に起因する常染色体潜性の骨格線毛病であり、Ellis-van Creveld症候群・窒息性胸郭異形成症(ATD)・Mainzer-Saldino症候群・頭蓋外胚葉異形成症とともに短肋骨胸郭異形成症(SRTD)群を構成すること、OMIMに19のSRPS関連遺伝子が登録されていること、Ellis-van Creveld症候群がしばしば先天性心疾患(とくに心房中隔欠損)・爪異形成・特徴的な顔貌を伴うのに対しDYNC2I1関連SRPSはより重症な胸郭狭小を呈するという臨床的な違いがあること、双胎2胎児でDYNC2I1(WDR60をコード)遺伝子のホモ接合ミスセンス変異NM_018051.5:c.1526A>T p.(Asp509Val)を臨床的エクソーム解析で同定したこと、両胎児の所見が胸郭狭小・著明な四肢短縮・両手の軸後性多指症(右手6指)・左右非対称な足の多指症であったこと、重症の胸郭狭小に起因する呼吸不全により新生児期に致死的となりうることを確認した。閲覧 2026-09-07
  2. 2.Ellis-van Creveld Syndrome(GeneReviews (NCBI Bookshelf)・2023)Europe PMC経由でNBK596643の全文XMLを自分で取得して確認した(2023年10月26日初版掲載)。2023年改訂のGenetic Skeletal Disordersの分類でEllis-van Creveld症候群が「線毛または線毛シグナルの異常による骨系統疾患」(Group 10)に置かれること、鑑別として短肋骨胸郭異形成症(Jeune)・短肋骨多指症候群・Weyers顔面末端異骨症・頭蓋外胚葉異形成症・Mainzer-Saldino症候群という骨系統の線毛病が並ぶことを確認した。閲覧 2026-09-03
  3. 3.Diagnostic dilemmas in the short rib-polydactyly syndrome group(American Journal of Medical Genetics(Elçioglu NH, Hall CM)・2002)抄録のみを閲覧した(全文は未取得)。短肋骨多指症候群群が、著明な短肋骨・短肢・通常は多指症・主要臓器の多発奇形を特徴とする常染色体潜性遺伝の致死的骨系統疾患群であり、少なくとも4つの型が認識されてきたこと、10例の胎児・死産例のX線所見を検討した結果いずれの症例も4つの確立した型の所見を部分的にしか満たさず型の鑑別に診断上の難渋を来したこと、この表現型の重なりが短肋骨多指症候群群の各亜型は単一の実体ではなく表現度の異なる連続したスペクトラムの一部であるとする仮説を支持することを確認した。抄録のみのため、各型の個別の放射線学的特徴は本ノートに書いていない。閲覧 2026-09-07
  4. 4.Ellis-van Creveld syndrome(Orphanet Journal of Rare Diseases・2007)PMC1891277の全文を自分で取得して確認した。Ellis-van Creveld症候群の出生前鑑別が短肋骨多指症候群(とくにIII型Verma-Naumoff症候群)であり、出生前診断が妊娠18週以降の超音波で狭い胸郭・長管骨の著明な短縮・手足の6本指・心奇形として捉えられうること、より早期(妊娠第1三半期後半)に狭い胸郭・短く彎曲した長管骨・丸い骨幹端・軸後性多指症・心奇形の組み合わせから疑われた例もあることを確認した。閲覧 2026-09-03