Biophysics

Biophysics · 25.04

質量分析における飛行時間法(time-of-flight principle)

Time-of-flight principle in mass spectrometry

🧠 飛行時間型は、同じ電圧で加速したイオンの速度が m/zm/z によって異なることを利用し、到着時間からを求める。

加速電圧から飛行時間へ

電荷 q=zeq=ze のイオンが VV で加速されると、理想的には同じへ変わる。

qV=12mv2qV=\frac{1}{2}mv^2

長さ LLのない飛行管を速度 vv で進む時間 t=L/vt=L/v を代入すると、

t=Lm2qV=Lm2zeVmzt=L\sqrt{\frac{m}{2qV}} =L\sqrt{\frac{m}{2zeV}}\propto\sqrt{\frac{m}{z}}

となる。同じ条件なら m/zm/z が小さいイオンほど早く検出器へ到達する。

TOF装置の信号変換

イオンはESIやMALDIなどで短い時間幅に生成し、加速部へ導入する。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulsatile'>パルス状</span>にイオンを生成"] --> B["同じ加速電圧 V で加速"]
  B --> C["飛行管内で m/z に応じて時間分離"]
  C --> D["検出器が到着時刻を記録"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proofreading'>校正</span>曲線で m/z へ変換"]

装置が直接測るのは分子量ではなく到着時刻である。既知質量の標準物質で時刻–m/zm/z 関係をし、スペクトルの横軸へ変換する。

分解能を制限する要因

生成直後のイオンには位置と初期のばらつきがある。は静で高エネルギーのイオンほど深く折り返させ、飛行時間差を補正して質量分解能を改善する。

TOFが分離するのは質量そのものではなく m/zm/z である。ESIの多価イオンでは、電荷状態を推定して初めて分子量が得られる。スペクトルを医学的判断へ用いる条件はで扱う。

まとめ

  • 同じ電圧で加速すると、飛行時間は m/z\sqrt{m/z} に比例する。
  • 検出器が直接測る到着時刻を、標準物質によるm/zm/z へ変換する。
  • は初期のばらつきを補正し、分解能を高める。