Biophysics

Biophysics · 26.06

MRIにおける巨視的磁化―スピン–格子緩和(spin–lattice relaxation)

Macroscopic magnetization in MRI — spin–lattice relaxation

🧠 T1緩和は、で乱されたが周囲へエネルギーを渡し、静磁場方向の平衡値へ戻る過程である。 回復速度は組織ごとに異なり、繰り返し時間によってT1として強調できる。

巨視的磁化と縦方向の回復

静磁場B0B_0中では低エネルギー状態の陽子がわずかに多いため、個々のを合成した平衡磁化M0M_0B0B_0方向に生じる。NMRのが磁化を傾けると、その縦成分MzM_zは平衡値から外れる。

90°パルス直後をMz(0)=0M_z(0)=0とする単純な条件では、回復は

Mz(t)=M0(1et/T1)M_z(t)=M_0\left(1-e^{-t/T_1}\right)

で表される。T1T_1後にはM0M_0の約63%まで回復する。一般の初期値では回復量がに減少し、十分長い時間後にM0M_0へ近づく。

スピン―格子緩和の機序

系が周囲の分子運動、すなわち「」へエネルギーを渡す過程なので、とも呼ばれる。分子運動が周波数付近の磁場変動をどの程度作るかによってT1T_1が変わる。

flowchart TD
  A["RF パルスで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='longitudinal magnetization'>縦磁化</span>が低下"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spin'>スピン</span>系が周囲へエネルギーを移す"]
  B --> C["低・高エネルギー状態間の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='population'>占有数</span>差が回復"]
  C --> D["Mz が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='time constant'>時定数</span> T1 で M0 に近づく"]
  D --> E["TR により組織間の回復差を読み出す"]

TRとT1強調

TRが短いと、次の励起までにが十分回復しない。T1T_1が異なる組織では残るに差が生じるため、適切な短いTRと短いTEを組み合わせると画像を作れる。ただし信号の明暗は、フリップ角、造影剤などにも依存し、T1T_1だけで一意には決まらない。

T1はエネルギー回復を表すのに対し、の位相同期消失を表す。両者の組合せがMRIの基礎になる。

まとめ

  • T1緩和はが静磁場方向の平衡値M0M_0に回復する過程である。
  • 系から周囲へのエネルギー移動を伴うため、とも呼ばれる。
  • T1T_1は組織の分子環境と磁場強度に依存する。
  • TRを調節すると、組織間のT1回復差を画像として取り出せる。