Embryology

Embryology · 3.4

第1週(排卵〜着床):着床時の子宮

First Week of Development — Uterus at implantation

🧠 子宮内膜はホルモン(エストロゲン→プロゲステロン)に応じて周期的に変化し、着床に最適な「」を一瞬だけ開く。 子宮周期()を03-1-ovarian-cycle)と対応づけ、栄養膜がに分化して子宮内膜に侵入していく最初のステップを押さえる。

子宮内膜周期

子宮内膜は03-1-ovarian-cycle)のホルモン変化と連動して周期的に変化する。

時期 対応する 内膜の変化
(エストロゲン優位) 内膜腺・血管が増殖し肥厚
(プロゲステロン優位) 腺がうねり分泌活性化、グリコーゲンを蓄積、着床に適した状態へ
妊娠不成立で黄体退行 プロゲステロン低下によりが剥落・出血

⭐ 着床が可能な期間は「」と呼ばれ、排卵後約6〜10日(のある一定期間)に限られる。の到達タイミングと子宮内膜のが一致しないと着床は成立しない。

着床の開始

から脱出した03-3-cleavage-blastocyst)は、側を子宮内膜に向けた状態で子宮内膜上皮に接着する(第6日ごろ)。接着した部分の栄養膜は急速に増殖・分化し、内膜への侵入を開始する。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blastocyst'>胚盤胞</span>が子宮内膜上皮に接着(第6日)"]
  A --> B["接着部の栄養膜が増殖・分化"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='syncytiotrophoblast'>合胞体栄養膜</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='outer layer'>外層</span><br>細胞境界が消失した多核の侵入性細胞層"]
  B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytotrophoblast'>細胞性栄養膜</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inner layer'>内層</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='mitosis'>核分裂</span>能をもつ単核細胞層"]
  C --> E["酵素分泌により子宮内膜<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular matrix'>細胞外基質</span>を融解し侵入"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blastocyst'>胚盤胞</span>が内膜の中に埋没していく"]

栄養膜の2層への分化

  • : 細胞膜の融合により核が多数存在する多核体を形成する酵素を分泌して子宮内膜のを融解し、胚を内膜の中へ侵入させる(invasive)。hCG(を分泌し始め、黄体をとして維持する(03-1-ovarian-cycle)。
  • : に位置し、有糸分裂能を保持する単核細胞層。へ細胞を供給し続ける「幹細胞的」な層。

💡 「=侵入・ホルモン分泌の主体(分裂しない)」「=分裂してを補充する(自身は侵入しない)」という役割分担は、以後の胎盤発生(07-2-placenta-fetal-membranes)全体を貫く原則。

着床の部位

着床は通常、子宮体部の後壁またはの上部(子宮底に近い部分)に起こる。この位置からの逸脱は臨床的に重要である。

⚠️ 着床部位の異常は代表的な産科救急につながる:が最多)、(子宮下部〜に着床)など。詳細な臨床相関は04-5-clinical07-2-placenta-fetal-membranesで扱う。

まとめ

  • 子宮内膜は(エストロゲン)→(プロゲステロン)→の周期で変化し、の限られた期間のみ開く。
  • 第6日ごろ、側を子宮内膜に向けて接着し、栄養膜が増殖・分化を始める。
  • 栄養膜は・多核・侵入性・hCG分泌)と・単核・分裂能)に分化する。
  • が子宮内膜を融解しながら胚を内膜内へ侵入させる。
  • 着床は通常子宮体部上方に起こり、位置異常はなど重要な臨床像に直結する。