ENT

ENT · 01

耳介・外耳道・鼓膜の解剖と診察

Anatomy and physical examination of the auricle, external auditory canal and tympanic membrane

前提:正常
頭部:耳
疾患
耳垢栓塞

🧠 全体像:外耳は音を集めて鼓膜へ届ける導音路である。診察では耳介・から外耳道、鼓膜へ順に観察し、鼓膜のランドマーク・色・位置・・可動性を評価する。

解剖

耳介

耳介は皮膚で覆われたからなり、音波を外耳道へ集め、を助ける。主なランドマークはである。には軟骨がない。

外耳道

外耳道は成人でおよそ2.5 cmを代表値とするが、長さ・断面形状にはがある。外側約1/3は、内側約2/3はからなる。成人では湾曲しているため、では耳介を後上方へ牽引してを直線化する。乳幼児では後下方へ牽引する。1

部位 構造 /
皮膚に毛包・をもち、を産生する。を介して耳下腺・・頭蓋底へ感染が波及し得る
薄い皮膚がへ密着し、毛・腺を欠くため炎症や操作で強く疼痛を生じる
の移行部にある狭窄で、異物が嵌頓しやすい

性で疎水性をもち、を抑える。正常では上皮の外方移動によりされる。

鼓膜

鼓膜は外耳と中耳を隔てる薄いで、音波を耳小骨の振動へ変換する。

領域 層・重要性
外側の皮膚、中間の、内側の粘膜の3層。比較的強固
を欠く2層構造で、陥凹・が生じやすい

ではの外側突起・柄、を確認する。右耳のはおよそ5時方向、左耳は7時方向の前下にみえる。

鼓膜は前上・前下・後上・後下の4に分ける。後上は耳小骨・などに近いため、通常の切開部位には選ばない。は慣習的に前下へ留置されることが多いが、による脱落時期の明確な優位性は示されていない。排膿・検体採取目的のでは病変と解剖に応じて前下または後下を選ぶ。2

診察

flowchart TD
  A["病歴:疼痛・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='otorrhea'>耳漏</span>(otorrhea)・難聴(hearing loss)・外傷・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surgical history'>手術歴</span>(surgical history)"] --> B["耳介・耳周囲・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mastoid process'>乳様突起</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inspection'>視診</span>と触診"]
  B --> C["まず鏡(speculum)なしで外耳道入口を確認"]
  C --> D["耳介を牽引して<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Otoscope'>耳鏡</span>(aural speculum) / <span class='jp-term jp-term-diagram' title='Otoscope'>耳鏡</span>を挿入"]
  D --> E["外耳道:腫脹・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cerumen'>耳垢</span>・異物・分泌物"]
  E --> F["鼓膜:色・膨隆/陥凹・穿孔(perforation)・ランドマーク"]
  F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pneumatic otoscopy'>気密耳鏡検査</span>:可動性を評価"]
  • は照明と拡大観察を行う。 / と組み合わせて両手操作に使い、より詳細な処置にはを用いる。
  • は外耳道圧を陽圧・陰圧へ変え、鼓膜可動性をみる。可動性低下は、穿孔、鼓膜硬化などを示唆する。
  • は半透明ので、が確認でき、で動く。

外耳道の清掃

  • 下になどで除去する。
  • 液体やは吸引で除去する。
  • が疑われる場合、灌流は避ける。
  • 灌流する場合は体温付近の水を用いる。冷水・温水はによりめまい(dizziness)を誘発する。

⚠️ 視野のないまま深部を操作すると、、耳小骨損傷を起こし得る。

まとめ

  • 成人は耳介を後上方、乳幼児は後下方へ牽引して外耳道を直線化する。
  • では、4と可動性を系統的に確認する。
  • が疑われる耳には安易な灌流を行わない。

出典

  1. 1.Measurements of ear-canal geometry from high-resolution CT scans of human adult ears(Hearing Research・2023)成人外耳道の長さ・断面形状には個人差があること閲覧 2026-08-09
  2. 2.Meta-analysis of time to extrusion of tympanostomy tubes by tympanic membrane quadrant(Clinical Otolaryngology・2021)鼓膜換気チューブの留置象限と脱落時期の関係閲覧 2026-08-09