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Disease Atlas · 耳鼻咽喉科 · 疾患

耳垢栓塞

Cerumen impaction

臓器系
耳鼻咽喉科
科目
ENT
トピック
耳鼻咽喉科 09:耳介・外耳道の疾患耳鼻咽喉科 01:耳介・外耳道・鼓膜の解剖と診察
鑑別疾患
外耳炎
症状
伝音難聴耳鳴耳痛

🧠 全体像はありふれた主題だが、臨床上の位置づけは「を訴える患者でまず除外すべきもの」という一点に尽きる。で外耳道がで閉塞していれば、それだけでの低下を説明できる。高齢者・補聴器使用者・過度な耳掃除の習慣がある人に多く、良かれと思って使うがかえってを奥へ押し込むというがある。除去は・洗浄・器具のいずれも同等に有効だが、がある耳への洗浄は禁忌という一点だけは徹底する。

病態

は外耳道にあるの分泌物と脱落上皮、の混合物で、性・疎水性によりを抑える保護的な役割をもつ。正常では上皮の外方への移動(作用)によって自然に排出されるが、次のような要因でこの機構が破綻するとが蓄積し閉塞()に至る。

  • 外耳道が狭い、
  • 補聴器・など異物のな留置(の自然な排出過程を妨げる)1
  • による習慣的な耳掃除(を奥へ押し込み、かえって蓄積・穿孔を招く)2
  • 外耳道骨腫などによる物理的な狭窄

の既往がある人、高齢者、障害のある人、補聴器使用者は再発・閉塞のリスクが高く、予防的な管理の対象になる1

flowchart TD
    A["外耳道の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='self-cleaning'>自浄</span>機構が破綻"] --> B["狭い外耳道・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypertrichosis (excess hair growth)'>多毛</span>"]
    A --> C["補聴器・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='earplug'>耳栓</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic'>慢性的</span>な留置"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cotton swab'>綿棒</span>による習慣的な耳掃除"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cerumen'>耳垢</span>が排出されず蓄積"]
    C --> E
    D --> E
    E --> F["外耳道の閉塞=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cerumen impaction'>耳垢栓塞</span>"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conductive hearing loss'>伝音難聴</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aural fullness'>耳閉感</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tinnitus'>耳鳴</span>"]

の蓄積・栓塞は、米国において患者が臨床医を受診する耳の愁訴のなかで最も頻度が高いとされ、症状が軽微なために過小診断・過小治療になりやすいと指摘されている2

臨床像

診断

診断はで行う。米国・頭頸部外科学会の定義では、症状を来す、または必要な耳の評価を妨げるの蓄積をとする。外耳道閉塞のために鼓膜が確認できない場合も、除去を要する適応になる。

⚠️ に見えるを確認せず盲目的に除去してはならない。を誤ってすると出血や周囲構造の損傷を招く。

治療

⭐ 除去法は・洗浄(注射器または電動洗浄器)・器具(、吸引、など)による除去の3つに大別され、いずれも同等に扱われ、特定の方法が他より優れているという根拠はない12

方法 内容・注意点
水・を含む点耳薬でを軟化させる。単独または他法のとして用いる
洗浄(耳洗浄・水) 体温付近の温度の水で外耳道を洗浄する。冷水・温水はによりめまいを誘発しうる
器具による除去 下に・吸引・などで直接摘出する

⚠️ は、がある耳や、歴を含むがある耳では禁忌である。 洗浄については、鼓膜を視認して穿孔がないことを確認できた場合に限って行うべきとされ、視認・確認できない場合は洗浄を避け、器具による除去など別法を選ぶ2

⚠️ や小さな物を耳の中の清掃に使わないよう患者に助言する。 をかえって外耳道の奥へ押し込み、閉塞を悪化させる、あるいはを来しうる12

鑑別

外耳道の閉塞によってを来す点でと紛らわしいが、圧痛・外耳道皮膚の発赤浮腫を伴う点、そのものが確認できる点で区別する。両者が併存することもある。

まとめ

  • は、を訴える患者で鼓膜を評価する前にまず除外すべき、ありふれているが見逃されやすい原因である。
  • 高齢者・補聴器使用者・の既往がある人はリスクが高く、による耳掃除はかえって悪化させる。
  • 除去法は・洗浄・器具のいずれも同等に有効だが、留置歴を含むがある耳にはは禁忌で、洗浄も鼓膜を視認して穿孔がないと確認できた場合に限る。

出典

  1. 1.Cerumen Impaction: An Updated Guideline from the AAO-HNSF(American Academy of Family Physicians (要約:AAO-HNSF診療ガイドライン2017年改訂版)・2017)耳垢栓塞の既往、高齢者、認知機能障害、補聴器使用者は再発・閉塞のリスクが高く予防的な管理が必要なこと。補聴器などの異物が耳垢の自然な排出過程を妨げ閉塞リスクを高めること。耳垢溶解薬・洗浄(注射器または電動洗浄器)・器具による除去のいずれも同等に扱われ、特定の方法が他より優れているという根拠はないこと。綿棒や小さな物を耳の中の清掃に使わないよう患者に助言すべきこと閲覧 2026-08-11
  2. 2.Cerumen Impaction Removal(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)耳垢の蓄積・栓塞は米国において患者が臨床医を受診する耳の愁訴のなかで最も頻度が高いとされ、過小診断・過小治療になりやすいこと。除去法は耳垢溶解薬・洗浄・器具による除去の3つに大別されること。耳垢溶解薬は鼓膜穿孔や、鼓膜換気チューブ留置歴を含む耳手術歴がある耳では禁忌であること。洗浄は鼓膜を視認して穿孔がないことを確認できた場合に限って行うべきであること。綿棒は日常的に使われるが、耳垢をかえって奥へ押し込み穿孔を来しうるため避けるべきであること閲覧 2026-08-11