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Disease Atlas · 耳鼻咽喉科 · 疾患

耳介軟骨膜炎

Perichondritis of the auricle

臓器系
耳鼻咽喉科感染症
科目
ENT
トピック
耳鼻咽喉科 09:耳介・外耳道の疾患耳鼻咽喉科 18:外耳・中耳・内耳の外傷
鑑別疾患
再発性多発軟骨炎丹毒・蜂窩織炎
治療薬
レボフロキサシン
原因微生物
Pseudomonas aeruginosaStaphylococcus aureus

🧠 全体像は「皮膚だけの感染か、軟骨まで及ぶ感染か」を見極める疾患である。核心は(軟骨をもたない部位)が比較的保たれるという一点で、これが皮下組織全体に及ぶ・蜂窩織炎との鑑別点になる。ピアス・外傷・熱傷が契機となり、起因菌の主役は他の皮膚軟部組織感染とは異なり緑膿菌である。放置すれば軟からという不可逆的な変形に至るため、経験的抗菌薬の選択と早期の膿瘍ドレナージが要点になる。

病態

耳介は皮膚で覆われたからなり、だけは軟骨を欠く。軟骨には血流が乏しく、(軟骨を包む結合組織で栄養を供給する)が損傷されると軟骨自体が容易に壊死・感染に陥る。

  • ピアス:特に上部(ヘリックス)・対輪・を貫くピアスは、ピアスより感染・膿瘍形成のリスクが高い1
  • 外傷による
  • 熱傷・:皮膚・軟骨の損傷が感染の入口になる
  • その他、鍼、などの軽微な外傷でも生じうる
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cartilaginous part'>軟骨部</span>ピアス・外傷・熱傷など<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Perichondrium'>軟骨膜</span>の損傷"] --> B["緑膿菌などが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Perichondrium'>軟骨膜</span>へ侵入"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='auricular perichondritis'>耳介軟骨膜炎</span>:発赤・腫脹・熱感・圧痛<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lobule'>耳垂</span>は比較的保たれる"]
    C --> D{"膿瘍を形成するか"}
    D -->|"あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='incision and drainage'>切開排膿</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antipseudomonal activity'>抗緑膿菌活性</span>のある抗菌薬"]
    D -->|"なし"| F["経口抗緑膿菌抗菌薬で外来治療"]
    C --> G["治療が遅れる・不十分"]
    G --> H["軟<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteonecrosis'>骨壊死</span>"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cauliflower ear'>カリフラワー耳</span>(不可逆的変形)"]

起因菌

で最も多く分離される菌は緑膿菌で、ピアス関連感染では最大100%を占めるとされる。 膿瘍を形成しない例では黄色ブドウ球菌が最多となる1

緑膿菌汚染水を介したピアス関連の集団発生も報告されており、ある調査では確定7例・疑い3例の計10例が同定され、全例が女性(年齢中央値26歳)で、部位が判明した8例中ヘリックスが4例(50%)、が3例(38%)、対輪が1例(13%)を占めた。管理策・是正措置の実施後は新規発生がみられなくなった2

臨床像・鑑別

耳介の発赤・腫脹・熱感・圧痛で発症し、膿瘍を形成すればや膿性を伴う。

⚠️ が比較的保たれることが、・蜂窩織炎との鑑別点である。 軟骨をもたないの主座にならず腫脹が目立ちにくいのに対し、蜂窩織炎では皮下組織全体が侵されるためを含めて腫脹する1

項目 ・蜂窩織炎
主座 皮膚・・軟骨 皮膚・皮下組織
の所見 比較的保たれる を含めて腫脹しうる
主要起因菌 緑膿菌(膿瘍非形成例では黄色ブドウ球菌) 主にA群レンサ球菌・黄色ブドウ球菌
契機 ピアス、外傷、熱傷 皮膚バリアの破綻全般

は、鼻軟骨・関節・気管気管支・両側の耳介に炎症を来すで、経口副腎皮質ステロイドで治療される点が、であると異なる1。片側性か両側性か、他部位の軟症状を伴うかが鑑別の手がかりになる。

治療

経験的抗菌薬はをもつ薬剤を選ぶ。 など)は抗緑膿菌・抗ブドウ球菌の両方をカバーし第一選択となる1

病期 対応
膿瘍を形成していない 外来での経口抗緑膿菌フルオロキノロン、原因ピアスの除去
膿瘍を形成 を併用し、に準じた圧迫固定を行う

⚠️ 放置すると軟から(不可逆的な耳介変形)に至る。 部位別の検討では、耳介舟状窩のピアスに伴うは長期にわたる耳介変形との関連が指摘されている1。早期の抗菌薬治療と、膿瘍・血腫があれば速やかなドレナージが変形を防ぐ。

まとめ

  • は皮膚・・軟骨の感染で、軟骨をもたないが比較的保たれる点が・蜂窩織炎との鑑別点である。
  • ピアス(ヘリックス・など)・外傷・熱傷が契機で、主要起因菌は緑膿菌である。
  • 治療はのあるが中心で、膿瘍があればを併用する。
  • 放置すると軟からに至るため早期治療を要し、両側性・多部位性の軟症状があればを鑑別する。

出典

  1. 1.Pinna Perichondritis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)軟骨部ピアスは耳垂ピアスより感染・膿瘍形成のリスクが高く、耳介軟骨膜炎で最も多く分離される菌はPseudomonas aeruginosaでピアス関連感染の最大100%を占めるとされること、膿瘍を形成しない場合はStaphylococcus aureusが最多となること。耳垂は古典的に軟骨膜炎で保たれ、これが蜂窩織炎との鑑別点であること。治療は抗緑膿菌・抗ブドウ球菌活性をもつフルオロキノロン系(レボフロキサシンなど)が中心で、膿瘍があれば切開排膿を併用すること。軟骨骨折線への出血がカリフラワー耳の原因となり、部位別の検討ではscapha(耳介舟状窩)ピアスの軟骨膜炎は長期の耳介変形と関連したこと。再発性多発軟骨炎は鼻・関節・気管気管支・両側耳介の炎症を呈し経口ステロイドで治療されること閲覧 2026-08-11
  2. 2.Outbreak of Pseudomonas aeruginosa perichondritis associated with ear piercings and a contaminated water system(Epidemiology & Infection・2025)緑膿菌汚染水を介した軟骨部ピアス関連耳介軟骨膜炎の集団発生調査で、確定7例・疑い3例の計10例が同定され全例女性(年齢中央値26歳、範囲14〜49歳)であったこと、部位が判明した8例中ヘリックスが4例(50%)、耳珠が3例(38%)、対輪が1例(13%)であったこと、公衆衛生対応(管理策・是正)実施後は新規症例が発生しなかったこと閲覧 2026-08-11