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Imaging findings · Published

脈絡裂嚢胞

Choroidal fissure cyst

臓器系
神経
科目
Neuroanatomy
トピック
神経解剖学 23:大脳辺縁系(核と伝導路)

🧠 全体像は、海馬と視床の間の)に沿って生じる正常亜型であり、大半は無症候のである。がここで決めるのは良悪性の断定ではなく、この構造が本当に脳脊髄液そのものを映しているだけなのか、それともの異常を疑うべきなのかという切り分けである。信号がすべてのシーケンスで脳脊髄液と一致し、・周囲浮腫・のいずれも欠けば、それ以上の精査を要さないと判断してよい。

所見の定義

は、で海馬と視床()の間に存在するで、発生の過程でに隣接する組織がへ陥入する部位にあたる。この裂隙に沿って生じる嚢胞性構造がであり、神経上皮性(に裏打ちされる)または性のいずれかに由来するとされるが、病理学的な裏付けの報告は乏しい1

では以下を確認する。

  • 大きさと形:多くは1〜2cm程度で、軸位断では類円形、ではの走行に沿ったを呈するのが特徴的1
  • 境界と壁:境界明瞭で、識別できる壁を持たない
  • 良性と判定する条件:質量効果を伴わない・周囲浮腫を伴わない・症を伴わない・を欠く・全シーケンスで脳脊髄液と均一に一致する信号を示す、という条件をすべて満たすことがと判定する基準になる1

モダリティと写り方

写り方・評価のポイント
CT 脳脊髄液と同程度の均一な低吸収域。軸位断だけでは内病変か脳外病変かの判別が難しく、の追加が有用1
脳脊髄液と同じ低信号
・FLAIR 脳脊髄液と同じ高信号。FLAIRでも信号が抑制され、脳脊髄液から区別できない
を示さず、ADCは脳脊髄液と同様に上昇する1
を認めない

リスクを上げる形態

  • 経過で進行性に増大する嚢胞:多くは大きさが変わらないが、まれに増大し周囲構造への症状が問題になる例がある
  • 海馬をするほどの大きさ:質量効果による海馬のの一因になりうるとする報告があるが、この関連には異論もある。Shermanらの検討では26例中5例にてんかんを認めたがいずれも症候とされた一方、IsolanやMoriokaらはとの関連を報告しており、判断が割れている2

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mesial temporal lobe'>側頭葉内側</span>部に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebrospinal fluid signal'>脳脊髄液信号</span>の<br>嚢胞様構造を検出"] --> B["過去画像があれば必ず比較する"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroidal fissure'>脈絡裂</span>の走行に沿い<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='fusiform'>紡錘形</span>・境界明瞭・壁を識別できないか"}
    C -->|"典型的"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='contrast enhancement'>造影効果</span>・周囲浮腫・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diffusion restriction'>拡散制限</span>の<br>有無を確認"]
    D --> E{"いずれも陰性で<br>全シーケンスが脳脊髄液と一致するか"}
    E -->|"陰性"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroidal fissure cyst'>脈絡裂嚢胞</span>として経過観察<br>治療介入は不要"]
    E -->|"陽性所見あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroidal fissure cyst'>脈絡裂嚢胞</span>以外の病変<br>(腫瘍・感染・血管性)を疑い精査"]
    C -->|"非典型<br>(球形・辺縁不整・壁の肥厚など)"| G
    F --> H{"症状の増悪や<br>画像上の増大があるか"}
    H -->|"あり"| I["海馬など周囲構造への<br>質量効果を再評価し神経外科紹介を検討"]
    H -->|"なし"| J["定期フォローは必須でない"]

⚠️ 紛らわしいもの

  • )の拡大と同様にを示すが、より小型で血管の走行に沿った点状〜線状の分布を示す点で区別する1
  • と発生機序を共有し画像所見も酷似するため、という部位以外に確実な鑑別点は乏しい
  • 神経上皮性嚢胞(上皮嚢胞):同じの部位に生じうる近縁病変で、と呼び分けられることもあるが画像上の区別は難しい
  • などの信号異常自体は・浮腫を伴わないため、これらを認めた場合はではなく他の病変を優先して疑う
  • 嚢胞性腫瘍(低悪性度など):壁の・周囲浮腫・非対称な形状を伴う点でと区別する

まとめ

  • は海馬と視床の間のに沿ったの嚢胞性正常亜型で、全シーケンスで脳脊髄液と一致する信号・と周囲浮腫の欠如が良性と判定する鍵所見である。
  • での、境界明瞭で識別できる壁を持たないこと、質量効果・症を伴わないことが典型像である。
  • 多くはで治療を要さないが、進行性に増大し海馬をする場合はとの関連が問題になりうる(ただしには異論もある)。
  • の拡大・・神経上皮性嚢胞は画像的に酷似し、という部位以外に確実な鑑別点が乏しい点に注意する。
  • 信号異常・・浮腫を伴う場合はではなく他の病変(、腫瘍など)を積極的に疑う。

出典

  1. 1.Choroidal Fissure Cysts in Children - Pediatrician Dilemma for Follow-up?(Annals of International Medical and Dental Research・2016)脈絡裂は海馬と間脳(視床)の間の脳脊髄液腔であること、脈絡裂嚢胞の多くは1〜2cm程度で軸位断では類円形、矢状断では脈絡裂の走行に沿った紡錘形を呈すること、Shermanらの基準では質量効果なし・嚢胞壁が同定できない・周囲浮腫なし・神経膠症なし・造影効果なし・全シーケンスで脳脊髄液信号に一致することを良性の脈絡裂嚢胞と判定する条件とすること、CTでは均一な低吸収域を示すが軸位断だけでは脳外病変か脳実質内病変かの判別が難しく冠状断の追加が有用であること、DWIでは拡散制限を示さずADCが上昇すること、血管周囲腔の拡大や梗塞・寄生虫性嚢胞・類上皮腫・くも膜嚢胞・低悪性度神経膠腫との鑑別が必要であることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Temporal choroidal fissure cyst: a rare cause of temporal lobe epilepsy(Pan African Medical Journal・2020)Shermanらの検討では脈絡裂嚢胞26例中5例にてんかんを認めたがいずれも症候と無関係な偶発所見と結論されたこと、一方でIsolanやMoriokaらは複雑部分発作と側頭葉の脈絡裂嚢胞との関連を報告していること、本症例(複雑部分発作を呈した8歳女児)では海馬への質量効果が発作の機序と考えられたこと、MRIでT1低信号・T2高信号を示し脳脊髄液と同一信号で拡散制限・造影効果・周囲浮腫を認めなかったことを確認した。閲覧 2026-08-10