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Imaging findings · Published

99mTc標識加熱処理赤血球シンチグラフィ

99mTc heat-damaged red blood cell scintigraphy

別名
熱変性赤血球シンチグラフィheat-denatured RBC scintigraphydamaged RBC scintigraphy
臓器系
血液
科目
Microscopic Anatomy and Embryology (Microscopic Anatomy)
トピック
組織学 7.4:免疫・リンパ系:脾臓
関連疾患
無脾症・脾機能低下症

🧠 全体像:このが答えるのは「脾臓は自己赤血球を取り込んで処理する仕事を、実際どれだけこなせているか」という一点である。の比率が脾機能を間接的に(脾臓が仕事をした痕跡から)推定するのに対し、こちらは脾臓に仕事をさせて、その取り込みを直接画像で見る。だからこそ、小窩比率のスクリーニングで異常が出たときのという一段下流の位置づけになる——侵襲的で時間がかかるぶん、最初から全員に行う検査ではない。

所見の定義

自己赤血球を採取し、加熱処理して変性させたうえで99mTcで標識し、患者に静注する。変性した赤血球は正常な形を保てず、脾臓のマクロファージ系(を通過できない異常赤血球を認識して取り除く仕組み)に選択的に取り込まれる。この取り込みの多寡をで撮像したものが、この所見の実体である1。

💡 「加熱処理」がこの検査の核心である。 正常な赤血球はが高くを通過できるが、加熱変性させた赤血球はを失い、脾臓に「不良品」として捕捉される。つまりこの検査は、脾臓が異常な赤血球を選別・除去する能力そのものを人為的に作った基質で測っている。

モダリティと写り方

脾機能を画像で評価する方法には世代がある。

世代 方法 特徴
かつての標準 99mTc硫黄による肝・脾 静止画ではなく取り込み速度を測る動的法。正しく行えば感度96%・特異度97%1
現行 99mTc標識加熱処理赤血球 脾臓に選択性が高い(肝臓への生理的取り込みが少ない)。-と組み合わせて定量評価が可能1

現行法をと組み合わせると、標識赤血球の脾への取り込み率を、で測定したで割った脾機能容積(% uptake/cm³)という定量値を算出できる1。単なる「取り込みがある・ない」という定性評価にとどまらず、脾機能を連続量として追跡できる点が、この現行法の強みである。

低取り込み=脾機能低下という読み方

この所見の中心的な軸は、脾臓への取り込みの多寡である。

  • 取り込みが保たれている——脾臓が変性赤血球を正常に捕捉・処理できており、脾機能は保たれていると解釈する。
  • 取り込みが低下・消失している(脾機能容積が低い)——脾臓のマクロファージ系が異常赤血球を選別・除去する能力を失っており、を意味する。・高度の機能的ではこの取り込みが著明に低下する。

⭐ そのものの大小と取り込みの多寡は別物である。 肝硬変・では脾が腫大していても脾機能自体は低下しうる病態があり、脾機能容積という「容積あたりの取り込み」に正規化した指標が、単純な脾サイズの評価より意味を持つのはこのためである1。

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyposplenism'>脾機能低下</span>を疑う<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='splenectomy'>脾摘</span>既往なし・原疾患あり・血液像の異常)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pitted erythrocyte'>赤血球膜の小窩</span>の比率を測定<br>(第一選択のスクリーニング)"]
    B --> C{"比率の判定"}
    C -->|"4%を明らかに下回る"| D["脾機能は保たれている可能性が高い<br>(単独では確定しない)"]
    C -->|"4%前後〜それ以上"| E["99mTc標識加熱処理赤血球<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='scintigraphy'>シンチグラフィ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='single-photon emission computed tomography'>SPECT</span>-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>へ進む"]
    E --> F{"脾臓への取り込みは"}
    F -->|"保たれている"| D
    F -->|"低下・消失している"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyposplenism'>脾機能低下</span>と判定し<br>予防(ワクチン・抗菌薬)を開始"]

紛らわしいもの

  • ⚠️ 侵襲的で時間がかかる。 を用いるこの方法はいずれも、患者にとってのより侵襲的で、撮像にも時間を要する1。
  • ⚠️ 集団のスクリーニングには使えない。 手技の煩雑さと侵襲性のため、を疑う患者全員に最初から行う検査ではなく、小窩比率などで異常を拾ってから確認する位置づけになる2。
  • の大小だけで脾機能を判断しない。 脾が大きく写っていても取り込み率(脾機能容積)が低ければ脾機能は低下している。逆に脾が小さくても取り込みが保たれていれば脾機能は保たれていると読む。
  • 旧世代(99mTc硫黄肝・脾)との混同。 現行法は加熱処理赤血球を用いる方法で、もの主眼(脾臓への選択的取り込み)も異なる1。

まとめ

  • 加熱処理して変性させた自己赤血球を99mTcで標識し、脾臓のマクロファージ系による取り込みを画像化する検査で、脾機能を直接評価する。
  • -と組み合わせると、で測ったで取り込み率を割った脾機能容積(% uptake/cm³)として定量できる。
  • 取り込みが低下・消失していれば、保たれていれば脾機能は保たれていると読む。の大小だけでは判断しない。
  • 侵襲的で時間がかかり、集団のスクリーニングには使えない。の比率で異常を拾ってから確認する、という二段構えの下流に位置づける。
  • かつての標準であった99mTc硫黄肝・脾(動的法で感度96%・特異度97%)とは世代が異なる方法である。

出典

  1. 1.Functional hyposplenism(Hippokratia(Kirkineska L, Perifanis V, Vasiliadis T)・2014)総説の全文(PMC4103047。2026-09-07にブラウザUA付きでPMCのHTMLから再取得。Europe PMCのfullTextXMLは404)を取得し、「Diagnosing functional hyposplenism」の節が、機能的脾機能低下を疑う候補を「上記の疾患のいずれかを有し、いずれかの画像モダリティで脾が正常より小さく、末梢血に血小板増多を認める患者」と述べたうえで、括弧書きで「肝硬変および門脈圧亢進症の患者は脾腫と血小板減少を伴うため除く」と明記していることを確認した。同節がHowell-Jolly小体の検出感度は低く、とくに軽度の脾機能低下でそうであるとしていることも同じ本文で確認した。あわせて同節が、小窩(pitted)赤血球の定量を機能的脾機能低下症の診断のゴールドスタンダードとし、光学顕微鏡に微分干渉(Nomarski)光学系を付けて塗抹標本を観察すること、「合計2,000個以上の検体のうち4%以上の小窩赤血球が診断的である」こと、この装置が常に利用できるわけではないが初期段階でも検出できること、比率に応じて脾機能低下を軽度・中等度・高度に段階づけられることを述べていること、99mTc硫黄コロイドによる肝・脾シンチグラフィがかつて最も多く用いられた画像モダリティで、取り込み速度を測る動的法は正しく行えば感度96%・特異度97%であるとしていること、近年は99mTc標識加熱処理赤血球を用いる方法が行われSPECTと組み合わせると標識赤血球の脾取り込み率をCTで測った脾容積で割った脾機能容積(% uptake/cm³)が算出できるとしていること、⚠️ これら放射性同位元素法は患者にとってより侵襲的で時間がかかるという欠点があるとしていること、ワクチン接種に対する免疫応答や特定のB細胞分画の評価といった新しい方法が現在用いられており、脾機能低下患者では脾機能容積とIgM⁺CD27⁺細胞の割合に有意な正の相関があるとする研究があると述べていることを確認した。⚠️ 小窩赤血球の閾値について、本総説は「4%以上」を診断とし、de Porto 2010は「4%超が脾機能低下と関連する」と書いており、4%ちょうどの扱いが資料間で割れている閲覧 2026-09-05
  2. 2.Assessment of splenic function(European Journal of Clinical Microbiology & Infectious Diseases・2010)脾機能低下の原因を先天性・血色素症・消化管・肝・自己免疫・血液腫瘍・感染・循環障害・その他に分類した一覧を示していること、Howell-Jolly小体の検出は脾機能を正確には反映せず、pitted erythrocyte(赤血球膜の小窩)の比率が十分に評価された方法で第一選択の検査として適することを総説として結論づけていること、脾機能が正常なら小窩は赤血球の0〜4%にみられ4%超が脾機能低下と関連するが臨床的に問題となる脾機能低下や無脾症では15〜70%とはるかに高い値をとると既報を引いて述べていること、脾機能の評価としては99mTc標識加熱処理自己赤血球シンチグラフィとSPECT-CTの併用が最も優れるが集団のスクリーニングには適さないこと、脾摘後にも肝・骨髄・リンパ節が代替しうる免疫機能は脾機能の指標にならないことを確認した閲覧 2026-09-02