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Imaging findings · Published

網膜色素上皮剥離

Retinal pigment epithelial detachment

別名
RPEDPED
臓器系
眼科
科目
NeurologyTranslational Medicine and Pathophysiology
トピック
神経内科 G2-01:視力低下の神経学的原因と視野欠損病態生理学 2-29:老化症候群の臓器レベルの症状

🧠 全体像:剥離(RPED)は「からが状に持ち上がっている」というOCTで定義される所見であって、単一の疾患名ではない。(若年〜中年男性、ストレス・ステロイドが誘因)、(高齢者、滲出型・非滲出型のどちらでも生じうる)、関連という年齢層も機序もばらばらな疾患が同じ所見を作る。で最初に決めるべきは良悪性の断定ではなく、PEDの中身が血管新生を伴うか(vascularized)どうか——この一点がへ進むか経過観察でよいかを分ける。

所見の定義

  • RPEDは境界明瞭で状にがから挙上している状態を指す1。
  • OCTでの見え方は中身によって系統立てて分類できる。
型 中身 OCTでの見え方 代表疾患
漿液性PED 漿液 との間の均一な低反射腔、境界明瞭な状挙上 、
PED ・ 低反射の裂隙で隔てられた中等度過反射の層、 (occult型)
出血性PED 出血 深部構造を減衰させる大きな過反射病変 、
様PED 脂質・蛋白の 均一・過反射・波打つ輪郭

⭐ 同じ「持ち上がっている」という見た目でも、中身によって次の一手が変わる。 漿液性・様は経過観察でよいことが多いが、・出血性は血管新生の関与を疑い、の適応検討へ進む1。

モダリティと写り方

  • OCT が第一選択のである。断面でとの分離を直接可視化でき、上表の反射パターンで中身を推定する。
  • 蛍光造影では、漿液性PEDは早期・明瞭・均一なを示し漏出に乏しいのに対し、PEDは斑状の点として(漏出を伴うこともある)描出される。出血性PEDは下床の蛍光をし、様PEDは後期の染色・漏出を伴わない淡い蛍光にとどまる1。
  • (PCV)を疑う手がかりは、鋭く尖ったPED(sharp-peaked)・切れ込みのあるPED(notched)・——spectral-domain OCTでがから離れて見え、異常血管網の存在を示す所見——である。典型的なではがを破ってRPE下・へ増殖するのに対し、PCVではポリープ状病変がRPEの下にとどまるという構造の違いがこれらの所見の背景にある2。

リスクを上げる形態

  • ⚠️ PED・出血性PEDは血管新生を伴う所見であり、無治療での視力予後が不良になりやすい。 漿液性PEDの切れ込み(notch)は、その部位に潜在するの存在を示唆する所見として扱う1。
  • ⚠️ は大きなPED、とくにPEDに起こりうる重篤な合併症である。 PED内部の不連続として現れ、視力予後を大きく損ないうるほか、での発生リスク上昇とも関連する1。の開始・継続を検討する際は、この合併症の可能性を踏まえて経過を追う。

評価の進め方

flowchart TD
    A["OCTでRPEDを認める"] --> B{"境界明瞭・均一な<br>低反射腔(漿液性)か"}
    B -->|"はい"| C{"若年〜中年・片眼性・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroidal thickening'>脈絡膜肥厚</span>を伴うか"}
    C -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central serous chorioretinopathy'>中心性漿液性脈絡網膜症</span>を疑う"]
    C -->|"いいえ・高齢者"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='wet (neovascular) age-related macular degeneration'>滲出型加齢黄斑変性</span>を疑い<br>切れ込み・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroidal neovascularization'>脈絡膜新生血管</span>の有無を確認"]
    B -->|"いいえ"| F{"中等度過反射の層・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='irregular'>不整形</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fibrovascular'>線維血管性</span>)か"}
    F -->|"はい"| G{"鋭く尖った形・切れ込み・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='epiblast/hypoblast'>二層</span>徴候があるか"}
    G -->|"あり"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polypoidal choroidal vasculopathy'>ポリープ状脈絡膜血管症</span>を疑い<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='indocyanine green angiography'>インドシアニングリーン造影</span>へ"]
    G -->|"なし"| I["occult型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroidal neovascularization'>脈絡膜新生血管</span>として<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-VEGF therapy'>抗VEGF治療</span>の適応を検討"]
    F -->|"いいえ"| J{"深部構造を減衰させる<br>過反射病変(出血性)か"}
    J -->|"はい"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neovascularization (new vessels)'>新生血管</span>由来の出血として<br>緊急性の高い評価へ"]
    J -->|"いいえ・波打つ均一な過反射"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drusen'>ドルーゼン</span>様PEDとして<br>非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='wet (neovascular) age-related macular degeneration'>滲出型加齢黄斑変性</span>の経過観察"]

紛らわしいもの

  • ⚠️ 薬剤添付文書が「RPED」と呼ぶ所見が、実際のOCT解析では真のではないことがある。 (・など)投与中に生じる貯留は、添付文書上は「剥離(RPED)」として記載・管理されるが、313を解析したでは液体貯留はすべてと保たれたのあいだに生じており、そのものは1も認められなかった3。⭐ 添付文書の用語と画像所見上の定義は必ずしも一致しない——「RPEDと診断された」という記述だけで、上表の4型のいずれかに当てはめようとしない。
  • ⚠️ のと関連を混同しない。 引用文献の値としてCSCの急性期には70〜100%で漏出点に一致する自己蛍光低下、53〜100%にがみられるとされる一方、関連ではを欠き、も生じない——同じ「」でも背景にあるの変化の有無で区別する3。
  • 💡 様PEDとPEDを取り違えると経過観察と治療介入を逆にする。 前者はの蓄積による均一・過反射の所見で非滲出型の経過をたどりやすいが、後者は血管新生を伴い治療介入の対象になる——反射パターンの均一性と輪郭の整・不整で見分ける。

まとめ

  • 剥離は特定の疾患名ではなく、からが状に挙上しているというOCT所見であり、漿液性・・出血性・様の4型に分けて中身を推定する。
  • の軸は良悪性の断定ではなく、血管新生を伴う(vascularized)かどうか——これがへ進むかどうかを分ける。
  • は鋭く尖った形・切れ込み・徴候という特徴的なPEDの形態で典型的なと鑑別する。
  • ・大きなPEDは裂孔という重篤な合併症のリスクを伴う。
  • 添付文書が「RPED」と呼ぶ所見が実際にはPEDの定義を満たさないことがある(関連が代表例)——薬剤情報の用語と画像所見上の定義を同一視しない。

出典

  1. 1.Wet Age-Related Macular Degeneration(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)網膜色素上皮剥離(PED)が滲出型加齢黄斑変性で複数の形をとりうる、臨床的にドーム状で境界明瞭な網膜色素上皮の挙上であること、漿液性PEDはOCTで色素上皮とBruch膜のあいだの均一な低反射腔として、フルオレセイン蛍光造影では早期・明瞭・均一な過蛍光として漏出に乏しく描出されること、線維血管性PEDはOCTで低反射の裂隙で隔てられた中等度過反射の層として、蛍光造影では斑状の過蛍光点として(時に漏出を伴い)描出されること、出血性PEDはOCTで深部構造の減衰を伴う大きなドーム状の過反射病変として描出され臨床的に下床の脈絡膜蛍光を遮蔽すること、ドルーゼン様PEDは後期の染色・漏出パターンを伴わない淡い蛍光にとどまること、漿液性PEDの切れ込み(notch)が潜在型脈絡膜新生血管の位置を示唆しうること、網膜色素上皮裂孔(RPE tear)が大きなPED内の不連続として現れる重篤な合併症であり視力予後不良や僚眼のリスク上昇と関連することを確認した。閲覧 2026-09-08
  2. 2.Polypoidal Choroidal Vasculopathy(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)典型的な滲出型加齢黄斑変性との鑑別に有用なOCT所見として、鋭く尖ったPED(sharp-peaked PED)・切れ込みのあるPED(notched PED)・RPE直下の低反射腔を高反射の輪が取り囲む所見・二層徴候(double-layer sign:spectral-domain OCTで色素上皮がBruch膜から離れて見え異常血管網の存在を示す所見)を確認した。典型加齢黄斑変性では脈絡膜新生血管がBruch膜を破ってRPE下・網膜下腔に増殖するのに対し、ポリープ状脈絡膜血管症ではポリープ状病変がRPEの下にとどまる点が構造的な違いであることを確認した。閲覧 2026-09-08
  3. 3.Clinical and Morphologic Characteristics of MEK Inhibitor-Associated Retinopathy: Differences From Central Serous Chorioretinopathy(Ophthalmology・2017)PMC5698142で全文を取得して確認した。MEK阻害薬投与中に光干渉断層計で漿液性網膜剥離が確認された25例50眼・313病巣の後ろ向きコホート研究で、すべての液体貯留は視細胞外節と保たれた網膜色素上皮のあいだ(interdigitation zone)に生じ、色素上皮剥離・網膜内浮腫・高反射ドットのいずれも認めなかったことを確認した。DiscussionはCSC側の「急性期の70〜100%が漏出点に一致する自己蛍光低下」「53〜100%に色素上皮剥離」という記述が本研究の結果ではなく引用された既報の値であることも確認した。閲覧 2026-09-08