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Imaging findings · Published

3相骨シンチグラフィ

Three-phase bone scintigraphy

別名
三相骨シンチグラフィ
臓器系
運動器神経
科目
Medical Rehabilitation
トピック
リハビリテーション 06:運動器・外傷のリハビリテーション
関連疾患
足根舟状骨疲労骨折複合性局所疼痛症候群

🧠 全体像:がだけを撮って「どこのが高いか」を見るのに対し、3相は血流相・血液プール相を追加で撮ることで「軟部組織の炎症・血流異常が骨の変化より先行しているか」まで時間軸で追う技法バリエーションである。この追加によって、骨そのものの病気(骨髄炎、〈CRPS〉、)と、骨の周りだけの軟部組織の炎症(蜂窩織炎、無菌性の術後変化)を区別できるようになる——これが単独のとの唯一にして最大の違いである。

3相の意味

相 撮像タイミング 何を反映するか
血流相 注射直後60秒間の連続撮像 局所の動脈血流
血液プール相 注射後10分以内 軟部組織の充血・
注射後2〜3時間 骨への集積(軟部組織からのクリアランス後)

3相すべてで増加し、で骨に一致して集積が局在すれば骨髄炎を、血流相・血液プール相だけが増加しで骨への局在がなければ蜂窩織炎など軟部組織の炎症を示唆する1。

主な適応と読み方

適応 特徴的パターン 精度
骨髄炎 vs 蜂窩織炎 骨髄炎は3相とも増加しで骨に局在。蜂窩織炎はで骨活動が増加しない 骨髄炎の感度95%1
CRPS 患側の関節周囲にびまん性の取り込み増加、とくに血液プール相・で顕著になりやすい 感度14〜100%・特異度50〜100%と報告間の幅が非常に大きい1
vs 無菌性弛緩 感染はより広範囲の増加、無菌性弛緩は限局的な反応にとどまる 50〜70%1

⚠️ CRPSの(Budapest基準)に3相そのものは含まれていない。 の診断は症状・徴候の臨床評価で行い、3相は他疾患の除外やの裏づけとして補助的に用いる2。住民ベース研究ではと合わせて症例の80%超で診断に寄与したと報告される一方2、外傷後慢性CRPSを対象とした検討ではパターン分析で感度83.3%・特異度65.4%、血液プール相の定量分析で感度72.2%・特異度88.5%と、除外に強い基準と確定に強い基準が別であることが示されている3。

紛らわしいもの

  • CRPSの病期による所見の変化。 急性期は患側の血流・集積増加が目立つが、慢性期には血流低下・優位のパターンに転じることがあり、「増加していないからCRPSではない」と早合点しない。
  • 血流障害のある患者での見かけの左右差。 など血流そのものに左右差がある患者では、CRPSとな相対的異常集積が生じうる1。
  • 尿汚染・腎機能低下による。 軟部組織からのクリアランス不良や尿の付着が、の解釈を誤らせることがある1。
  • 無菌性弛緩と低悪性度感染の境界例。 限局的な反応と広範な反応の線引きは連続的で、境界例では培養・生検など他の情報と統合する。

評価の進め方

flowchart TD
    A["骨髄炎・CRPS・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prosthetic joint infection'>人工関節感染</span>を疑い3相<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone scintigraphy'>骨シンチ</span>を施行"] --> B{"3相全てで増加し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='delayed phase'>遅延相</span>で骨に局在するか"}
    B -->|"はい"| C["骨髄炎・感染として扱う"]
    B -->|"いいえ(血流・血液プール相のみ増加)"| D["軟部組織の炎症(蜂窩織炎・無菌性弛緩)を疑う"]
    A --> E{"外傷・手術後に不釣り合いな疼痛があるか"}
    E -->|"はい"| F["患側関節周囲のびまん性集積パターンを確認"]
    F --> G["Budapest基準による臨床診断を補助する所見として扱う"]
    G --> H["確定診断は臨床評価。画像所見単独でCRPSと診断しない"]

まとめ

  • 3相は、のみのに血流相・血液プール相を加え、軟部組織の炎症・血流異常が骨の変化に先行しているかを時間軸で評価する技法である。
  • 骨髄炎と蜂窩織炎、と無菌性弛緩を区別するために使う。骨髄炎の感度は95%と高い。
  • CRPSではそのものには含まれず補助検査にとどまり、報告間で感度・特異度の幅が非常に大きい(14〜100%/50〜100%)。除外に強い基準と確定に強い基準が異なる点に注意する。
  • 血流障害・尿汚染・腎機能低下はいずれも偽陽性・判定困難の原因になる。

出典

  1. 1.Triple Phase Bone Scan(StatPearls (NCBI Bookshelf; Dinh T, McWhorter N)・2023)2023年8月更新版を閲覧。3相骨シンチグラフィが血流相(注射直後60秒間のダイナミック撮像で灌流を評価)・血液プール相(血流量と毛細血管拡張による軟部組織・骨への集積を評価)・遅延相(注射後2〜3時間、放射性医薬品の軟部組織からのクリアランスを評価)の3相から成ること、骨髄炎の感度が95%で3相すべてが増加し遅延相で骨に局在するのに対し蜂窩織炎では遅延相で骨活動の増加がみられないこと、複合性局所疼痛症候群(CRPS)では感度14〜100%・特異度50〜100%と診断性能が可変で特徴的な関節周囲パターンを示しうること、人工関節感染に対する総合精度(accuracy)は50〜70%で感染はより広範な増加を示すのに対し無菌性弛緩は限局的な反応にとどまること、腎機能低下による軟部組織クリアランス不良や尿汚染による偽影が主な限界であることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Complex regional pain syndrome type I: incidence and prevalence in Olmsted county, a population-based study(Pain・2003)米国ミネソタ州Olmsted郡の住民ベース研究で、3相骨シンチグラフィと自律神経機能検査が同定されたCRPS I型74例の80%を超える割合で診断に寄与したこと(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)閲覧 2026-09-05
  3. 3.Diagnostic Performance of Three-Phase Bone Scintigraphy and Digital Infrared Thermography Imaging for Chronic Post-Traumatic Complex Regional Pain Syndrome(Diagnostics・2021)外傷後の慢性CRPS疑い44例(最終的にCRPS診断18例・非CRPS26例)を対象とした検討で、3相骨シンチグラフィのパターン分析(各相を増加・対称・低下で判定し特定の組合せパターンをCRPS陽性と定義)による診断性能が感度83.3%・特異度65.4%、血液プール相の摂取比(≤0.805)を用いた定量分析では感度72.2%・特異度88.5%であったこと、血液プール相の摂取比がCRPS群と非CRPS群を最も有意に分ける指標であったこと、診断目的(除外重視か確定重視か)に応じて異なる基準を使い分けるべきと結論していることを確認した閲覧 2026-09-05