Microbe Atlas · ウイルス
HTLV-2
ヒトT細胞白血病ウイルス2型
- 分類
- レトロウイルス / Retroviruses
- 性状
- エンベロープあり EnvelopedssRNA-RT (逆転写)
- 科目
- Medical Microbiology
- トピック
- 3/32: Retroviruses and AIDS
🧠 全体像:HTLV-2は構造・複製戦略の面ではHTLV-1とほぼ同一のデルタレトロretroレトロ(retro)retro(レトロ)ウイルスだが、臨床的な重みは全く異なる。HTLV-1が成人T細胞白血病リンパ腫adult T-cell leukemia/lymphoma成人T細胞白血病リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma)adult T-cell leukemia/lymphoma(成人T細胞白血病リンパ腫)(ATL)という確立した悪性疾患を起こすのに対し、HTLV-2に確立した悪性腫瘍との因果関係bidirectional causal relationship因果関係(bidirectional causal relationship)bidirectional causal relationship(因果関係)はない。この一点をHTLV-1と同一視しないことが、この病原体を正確に理解するうえで最も重要である。感染細胞の指向性directionality指向性(directionality)directionality(指向性)もHTLV-1(CD4陽性T細胞優位)とは異なり、HTLV-2は主にCD8陽性T細胞CD8-positive T cellCD8陽性T細胞(CD8-positive T cell)CD8-positive T cell(CD8陽性T細胞)に感染・不死化immortalization不死化(immortalization)immortalization(不死化)する。
ウイルスの構造とゲノム
Gag/Pol/Envに加えpX領域にTax・Rex調節遺伝子regulator gene調節遺伝子(regulator gene)regulator gene(調節遺伝子)を持つ基本構造basic structure基本構造(basic structure)basic structure(基本構造)、逆転写酵素によるプロウイルス化proviral integrationプロウイルス化(proviral integration)proviral integration(プロウイルス化)、感染細胞の不死化immortalization不死化(immortalization)immortalization(不死化)という戦略はHTLV-1と共通するため詳細はそちらを参照。両者はデルタレトロretroレトロ(retro)retro(レトロ)ウイルス属内で近縁だが独立した系統であり、細胞指向性tropism細胞指向性(tropism)tropism(細胞指向性)が異なる点が実務上の最大の違いである——HTLV-1はCD4陽性T細胞を、HTLV-2はCD8陽性T細胞CD8-positive T cellCD8陽性T細胞(CD8-positive T cell)CD8-positive T cell(CD8陽性T細胞)を優位に不死化immortalization不死化(immortalization)immortalization(不死化)させる。
病原性の仕組み
Tax蛋白によるNF-κB活性化を介したクローン性T細胞増殖という分子機序molecular mechanism分子機序(molecular mechanism)molecular mechanism(分子機序)自体はHTLV-1と類似すると考えられているが、in vivoでの形質転換効率・悪性化への進展は著しく低い。数十年にわたる疫学研究の蓄積にもかかわらず、HTLV-1のATLに相当する確立した悪性腫瘍がHTLV-2には見出されていない。
⚠️ 「病原性が低い」ことと「無害」は同じではない。 一部の感染者でHAM/TSPに類似した緩徐進行性slowly progressive緩徐進行性(slowly progressive)slowly progressive(緩徐進行性)の脊髄症状spinal cord symptoms脊髄症状(spinal cord symptoms)spinal cord symptoms(脊髄症状)、慢性の呼吸器症状、末梢神経症状peripheral nerve symptoms末梢神経症状(peripheral nerve symptoms)peripheral nerve symptoms(末梢神経症状)の報告があるが、いずれもHTLV-1のように確立した因果関係bidirectional causal relationship因果関係(bidirectional causal relationship)bidirectional causal relationship(因果関係)ではなく、頻度・機序とも不明な点が多い。
感染経路と疫学
- 伝播経路は血液(注射薬物使用者間の針の共有が主要な感染源の一つ)、性的接触、母乳を介した母子感染で、HTLV-1と共通する
- HTLV-1のように単一の地域(日本など)へ集中する地理的浸淫パターンは明確でなく、代わりに特定の先住民集団(南北アメリカの一部の先住民族、中央アフリカのピグミー系集団など)と、世界各地の注射薬物使用者に不均衡に高い有病率prevalence有病率(prevalence)prevalence(有病率)がみられる
起こす疾患
⚠️ 確立した悪性腫瘍との関連はない。 HTLV-1のATLに相当する疾患はHTLV-2には存在しない。HAM/TSPに類似した脊髄症状spinal cord symptoms脊髄症状(spinal cord symptoms)spinal cord symptoms(脊髄症状)や慢性肺疾患chronic lung disease慢性肺疾患(chronic lung disease)chronic lung disease(慢性肺疾患)・末梢神経症状peripheral nerve symptoms末梢神経症状(peripheral nerve symptoms)peripheral nerve symptoms(末梢神経症状)との関連が研究されているが、いずれも症例報告・小規模研究の域を出ず、臨床的に確立した疾患単位としては扱われていない。
診断
- スクリーニングのELISAはHTLV-1・HTLV-2を区別せず検出することが多いため、型特異的PCRまたはWestern blotでの型別が必要になる
- HTLV-1とHTLV-2の鑑別は、感染者への説明・フォローアップFollow-up Routinesフォローアップ(Follow-up Routines)Follow-up Routines(フォローアップ)の方針(ATLやHAM/TSPのリスク説明の要否)に直結するため臨床的に重要
治療と予防
- 確立した疾患がないため特異的な治療の対象は限られ、症状があれば対症的に管理する
- 予防はHTLV-1と共通で、輸血用血液のスクリーニング(多くの国でHTLV-1/2をまとめて検査する)、注射針の共有回避、性的接触時のコンドームcondomコンドーム(condom)condom(コンドーム)使用、授乳に関する指導が中心となる
まとめ
- HTLV-2はHTLV-1と同じデルタレトロretroレトロ(retro)retro(レトロ)ウイルス属で不死化immortalization不死化(immortalization)immortalization(不死化)戦略も類似するが、確立した悪性腫瘍との因果関係bidirectional causal relationship因果関係(bidirectional causal relationship)bidirectional causal relationship(因果関係)はない——この点をHTLV-1と混同しないことが重要。
- CD4陽性T細胞優位のHTLV-1に対し、HTLV-2は主にCD8陽性T細胞CD8-positive T cellCD8陽性T細胞(CD8-positive T cell)CD8-positive T cell(CD8陽性T細胞)に感染・不死化immortalization不死化(immortalization)immortalization(不死化)する。
- 地理的には特定の先住民集団と、世界各地の注射薬物使用者に不均衡な有病率prevalence有病率(prevalence)prevalence(有病率)がみられる。
- HAM/TSP類似の脊髄症状spinal cord symptoms脊髄症状(spinal cord symptoms)spinal cord symptoms(脊髄症状)などが研究されているが、頻度・因果関係bidirectional causal relationship因果関係(bidirectional causal relationship)bidirectional causal relationship(因果関係)とも確立していない。
- スクリーニング検査screening testスクリーニング検査(screening test)screening test(スクリーニング検査)はHTLV-1と区別しないことが多く、型特異的検査で鑑別する必要がある。