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Argenta分類尺度

Argenta Classification

臓器系
小児運動器
科目
Pediatrics
トピック
小児科 2-33:新生児・遺伝学的スクリーニングと予防
適用疾患
先天性筋性斜頸

🧠 全体像:Argenta分類は、などで生じる位置性症(乳児の頭蓋非対称・)を、と触診だけでType I〜Vの5段階に分類するである。⭐ 覚え方は「後頭部の扁平から始まり、耳→→→頭蓋の高さの順に所見が積み上がっていく」——の型ほどの型の所見をすべて含む的な構成になっている。

目的と適用場面

内容
目的 乳児の位置性症(体位性の)の重症度を、費用をかけず短時間で分類する
対象 後頭部の非対称な扁平を認める乳児。に伴うの評価にも用いる
使う場面 初診時の、経過観察での変化の記録、頭蓋顔面専門医への紹介判断の補助1
評価しないもの の有無そのもの(形態は似ることがあるが、Argenta分類は体位性の変形を対象とした分類であり、縫合の癒合を画像的に判定するものではない)

💡 CMT臨床実践指針(2024年版)は、と頭の形の評価に「定量的な測定法か標準的分類(Argenta分類尺度など)を用いる」ことをAction Statement 8として求めている1。の診察で頭の形を見るとき、な印象だけで終わらせず、この分類で記録に残す。

構成要素と配点

⭐ 5つの所見がの型の所見を含んだまま積み重なっていく点が最大の特徴で、点数を足し算する採点表ではなく、該当する最も進んだ所見でType(型)を決める2。

Type 加わる所見 部位
I 後頭部の扁平のみ 後頭部
II 耳の位置異常(扁平側の耳が前方・下方へ変位) 耳
III の膨隆(扁平側)
IV の膨隆・(扁平側) ・顔面
V 頭蓋の垂直方向・方向への代償性成長 頭蓋全体の高さ

各所見の評価基準

所見 評価のしかた
後頭部の扁平 児を頭頂から見て、後頭部の左右いずれかが平坦化しているかをで確認する
耳の位置異常 左右の耳の前後・上下の位置を比較する。扁平側の耳が反対側より前方・下方に変位していれば陽性
の膨隆 頭頂から見て、扁平側と対角にあるが膨隆していないかを確認する
の膨隆 正面から見て、扁平側のが突出し顔面の左右非対称を来していないかを確認する
垂直方向の代償性成長 側方から見て、頭蓋の高さが左右で異なっていないか(の膨らみを含む)を確認する

解釈とカットオフ

Type 重症度の位置づけ
I 最も軽症。後頭部の扁平のみ
II 耳の位置異常を伴う
III の変形まで及ぶ
IV 顔面の非対称まで及ぶ
V 最も重症。頭蓋の高さの左右差まで及ぶ

💡 「型が上がる=経過観察だけでは不十分」の目安として使う。 明確な治療介入のが型ごとに定められているわけではないが、型が進むほどだけでの改善が期待しにくく、矯正療法や頭蓋顔面専門医への紹介を検討する材料になる。中等度〜重度のは、生後5か月を超えていれば紹介を急ぐべきとされる1。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ は「中等度」にとどまる。 Spermonらの検証ではカッパ係数の平均が0.54で、特に第5所見(頭蓋の垂直方向への代償性成長)はカッパがほぼ0(一致の水準)と、評価者による判定のばらつきが大きい3。Type Vの判定は特に慎重に扱う。

⚠️ ・触診のみに基づく分類であり、を画像的に除外するものではない。 非対称の原因が体位性か縫合早期癒合かの鑑別が必要な例では、この分類だけで判断せず、頭蓋顔面専門医への紹介や画像検査を検討する。

⚠️ 的な構成のため、の所見を伴わずにの所見だけが単独で出現する非典型例では型が付けにくい。 典型的な体位性変形を前提とした分類である点に留意する。

⚠️ 開発当初の分類であり、原著論文自体はを定量的に検証したものではない。 の実測値は後年の別研究(Spermonら)による3。

まとめ

  • Argenta分類は、乳児の位置性症を後頭部扁平(Type I)から耳の位置異常(Type II)・(Type III)・膨隆(Type IV)・頭蓋の垂直方向への代償性成長(Type V)まで、所見が的に積み重なる5段階で分類する。
  • 費用をかけず短時間で実施できる一方、は中等度(カッパ0.54)で、特にType Vの判定はばらつきが大きい。
  • CMT臨床実践指針(2024年版)が・頭の形の定量的評価法として名指しで推奨している。
  • の除外を担う分類ではない点に注意する。

出典

  1. 1.Physical Therapy Management of Congenital Muscular Torticollis: A 2024 Evidence-Based Clinical Practice Guideline From the American Physical Therapy Association Academy of Pediatric Physical Therapy(American Physical Therapy Association (APTA) Academy of Pediatric Physical Therapy(Sargent B, Coulter C, Cannoy J, Kaplan SL)・2024)Action Statement 8で頭蓋顔面の非対称と頭蓋形状をArgenta分類尺度のような定量的測定法ないし標準的分類を用いて評価すること、および他動・自動関節可動域の評価に発育性股関節形成不全のスクリーニングを含めることを求めていること閲覧 2026-09-05
  2. 2.Clinical classification of positional plagiocephaly(The Journal of Craniofacial Surgery・2004)Argenta・David・Thompsonが、米国の頭蓋顔面外来で位置性斜頭症(positional plagiocephaly)の症例が急増する中、既存の評価法(頭蓋計測・写真計測・レーザー表面計測など)が高額・煩雑・再現性に乏しいことを踏まえ、1998年以降の臨床経験に基づく実用的な臨床分類を提示したこと。この分類が費用をかけず、短時間で、児に負担をかけずに実施でき、経過を定量的に追跡できる設計であること。Type Iが後頭部の扁平のみに限られ、Type IIでは扁平側の耳の位置異常(前方・下方への変位)が加わり、Type IIIでは扁平側前頭部の膨隆が加わり、Type IVでは扁平側頬骨部の膨隆(顔面非対称)が加わり、Type Vでは頭蓋の垂直・側頭部方向への代償性成長が加わるという、所見が段階的に積み重なる5型の構成であること閲覧 2026-09-07
  3. 3.Clinical classification of deformational plagiocephaly according to Argenta: a reliability study(The Journal of Craniofacial Surgery・2008)SpermonらがArgenta分類の評価者間・評価者内信頼性を検証したこと。0〜1歳の紹介患児20例を、小児保健医・小児理学療法士・徒手療法士それぞれ3名(計9名)が分類したこと。評価者間信頼性は5所見(後頭部扁平・耳の位置異常・前頭部膨隆・頬骨部膨隆・垂直方向の代償性成長)の加重カッパ係数平均0.54(中等度)で、最初の4所見のカッパは評価者間0.45〜0.57・評価者内0.47〜1.0であったのに対し、第5所見(垂直方向の成長)のカッパはほぼ0(偶然一致の水準)であったこと。評価者内信頼性は0.60〜0.85(実質的〜ほぼ完全な一致)であったこと。著者らがArgenta分類を臨床実践で使える中等度の信頼性を持つ分類法と結論したこと閲覧 2026-09-07