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CMT重症度分類尺度

CMT Severity Grading Scale

別名
先天性筋性斜頸重症度分類CMT Severity Classification
臓器系
小児運動器
科目
Otorhinolaryngology
トピック
耳鼻咽喉科 47:頸部腫脹の鑑別診断
適用疾患
先天性筋性斜頸

🧠 全体像:CMT尺度は、(CMT)を①診察時の月齢 ②的頸部回旋の左右差 ③の有無の3つだけでGrade 1〜8に分類する尺度である。⭐ 覚え方は「月齢が上がるほど、左右差が大きいほど、腫瘤があるほど重い」——3つの軸が絡み合うので、番号の並びは重さの順であると同時に見込まれる治療期間の目安にもなる。

目的と適用場面

内容
目的 の重症度を、年齢・的頸部回旋の左右差・の有無という測れる所見で段階付ける
対象 と診断された、または疑われる生後12か月以下の乳児
使う場面 初回評価時の重症度記録、介入強度の決定、専門医への相談・外科的管理の適応判断1
評価しないもの 以外が原因の(非筋性の非対称、急性など)の重症度

💡 この尺度はではない。 と診断された(または強く疑われる)児について、どれだけ重いかを記録するためのであり、「=」の診断そのものを行うものではない。

構成要素と配点

⭐ 3つの分類因子(①月齢 ②的頸部回旋の左右差 ③の有無)の組み合わせでGrade 1〜8のいずれか1つを選ぶ。数値を足し算する採点表ではなく、該当する月齢帯・所見の組み合わせでGradeを一意に決める2。

分類因子

因子 内容
月齢 診察時点の児の月齢(0〜6か月/7〜9か月/10〜12か月/12か月超で区切る)
的頸部回旋の左右差 と患側の的頸部回旋角度の差(15度未満/15〜30度/30度超)
内に触知されるの有無

Grade 1〜8の定義

Grade 名称 月齢 左右差・所見
1 Early Mild 0〜6か月 頭位の好みのみ、または左右差15度未満
2 Early Moderate 0〜6か月 左右差15〜30度
3 Early Severe 0〜6か月 左右差30度超、またはあり
4 Late Mild 7〜9か月 頭位の好みのみ、または左右差15度未満
5 Late Moderate 10〜12か月 頭位の好みのみ、または左右差15度未満
6 Late Severe 7〜9か月/10〜12か月 7〜9か月で左右差15度超、または10〜12か月で左右差15〜30度
7 Late Extreme 7〜12か月 あり(7〜12か月)、または左右差30度超(10〜12か月)
8 Very Late 12か月超 頭位の好み・回旋の左右差・のいずれか

(定義は2018年版本文による。2024年版もAction Statement 9で同じ8段階を維持している21)

⚠️ 7〜9か月で左右差がちょうど15度のとき、上の定義ではGrade 4にもGrade 6にも入らない。 2024年版のFigure 2は分類因子の帯を「15度未満/15〜30度/30度超」と切っており、実務上15度は中間の帯として扱われる1。

解釈とカットオフ

Grade 対応
1〜6 保存治療()を第一選択とする。効果が乏しければ介入の強度・頻度を上げる3
7 に相談したうえで、保存治療を継続するか外科手術・注射へ直接進むか判断する3
8 家族とのを経て、外科的管理または注射の相談へ直結する1

💡 Grade番号は「重さ」だけでなく「治療にかけられる残り時間」も表している。 Grade 4(7〜9か月の軽症)とGrade 5(10〜12か月の軽症)は所見が同じで月齢だけが違うが、後者の方が保存治療に残された期間が短い分、より積極的な介入が必要になりやすい。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 12か月を超える児はすべてGrade 8にまとめられる。 それより先の月齢による重症度の細分はこの尺度には無く、Grade 8の中でも実際の重症度には幅がある。

⚠️ の触知は検者間でが変わりうるな所見である。 的頸部回旋の左右差は角度として測定できるが、腫瘤の有無の判定にはばらつきが生じうる点に留意する。

⚠️ この尺度はと診断された(または強く疑われる)児にのみ使う。 非筋性の非対称、急性、頭蓋顔面の関連病態など「として扱ってはいけない場面」に当てはまる児では、まず原因の鑑別を優先し、この尺度で重症度を論じない。

⚠️ 2024年版で段階の枠組み(名称・分類因子の帯)自体に変更は無い。 2024年版を解説した査読論文も同じ8段階を再掲しているが、これは転載であり、月齢帯の書き方が2018年版本文と細部で一致しない箇所がある(例:Grade 6の月齢帯を「7〜12か月」として書く例がある)。Grade定義を逐語で確定するには2018年版・2024年版いずれかの原文に当たる3。

まとめ

  • CMT尺度は、を①診察時の月齢②的頸部回旋の左右差③の有無の3因子でGrade 1(Early Mild)〜Grade 8(Very Late)に分類する。
  • 点数を足し算する採点表ではなく、月齢帯と所見の組み合わせでGradeを一意に決める分類尺度である。
  • Grade 1〜6は保存治療が第一選択、Grade 7はに相談のうえで保存治療か外科的選択肢かを判断、Grade 8は外科的管理または注射の相談へ直結する。
  • 2013年版の7段階から2018年版で8段階に改訂され、2024年版でも同じ8段階の枠組みが維持されている。

出典

  1. 1.Physical Therapy Management of Congenital Muscular Torticollis: A 2024 Evidence-Based Clinical Practice Guideline From the American Physical Therapy Association Academy of Pediatric Physical Therapy(American Physical Therapy Association (APTA) Academy of Pediatric Physical Therapy(Sargent B, Coulter C, Cannoy J, Kaplan SL)・2024)Action Statement 9が「診察時の児の年齢・胸鎖乳突筋腫瘤の有無・左右の頸部回旋他動関節可動域の差」に基づいてCMT重症度段階尺度の8段階から1つを選んで分類・記録することを求めていること。Figure 2(補足資料2「2024 Classification of Severity and Management of CMT」)が「CMT Severity Grading Scale and Decision Tree for 0-12 months」と題され、8段階の名称(Grade 1 Early Mild から Grade 8 Very Late)と分類因子の帯(月齢を0〜3/4〜6/7〜9/10〜12/12か月超に、型を頭位の好み/筋緊張による可動域差15度未満/15〜30度/30度超/胸鎖乳突筋腫瘤に分ける)を示していること、Grade 8 が家族との共同意思決定を経て外科的管理またはボツリヌス毒素についての相談(Action Statement 6・15)へ直結する一方、Grade 1〜7 は初回選択の介入から、達成できなければ介入の強度と頻度の増加(Action Statement 13)および補助的介入の適否の検討(Action Statement 14)を経て同じ相談へ進む経路をとること閲覧 2026-09-05
  2. 2.Physical Therapy Management of Congenital Muscular Torticollis: A 2018 Evidence-Based Clinical Practice Guideline From the APTA Academy of Pediatric Physical Therapy(American Physical Therapy Association (APTA) Academy of Pediatric Physical Therapy・2018)重症度分類について、2013年版以降、先天性筋性斜頸が「評価時の年齢・先天性筋性斜頸の型・胸鎖乳突筋腫瘤の有無で区別される7段階の重症度」で段階付けされてきたこと、本2018年版でその7段階が8段階へ増やされ、12か月を超えるすべての乳児に対する"very late"の区分が加えられるとともに、3〜6か月児を"early mild"に分類できるよう欠落していた行が補われたこと、あわせて大分類が「早期/後期の同定・介入」から「早期・後期・超後期の理学療法評価/介入」へ改められ理学療法評価時の児の年齢に基づく重症度分類へ重心が移されたこと、2018年版のAction Statement 9が「児の診察時年齢・胸鎖乳突筋腫瘤の有無・左右の頸部回旋他動可動域の差」に基づいて提案された8段階のうち1つを選ぶよう求めていること、この推奨が良好な段階付け信頼性を確立したレベルIIの研究により格上げされたこと。2018年版が本文(SEVERITY GRADE DEFINITIONS)で8段階を、Grade 1 Early Mild=生後0〜6か月で頭位の好みのみまたは他動的頸部回旋の左右差15度未満、Grade 2 Early Moderate=0〜6か月で左右差15〜30度、Grade 3 Early Severe=0〜6か月で左右差30度超または胸鎖乳突筋腫瘤、Grade 4 Late Mild=7〜9か月で頭位の好みのみまたは左右差15度未満、Grade 5 Late Moderate=10〜12か月で頭位の好みのみまたは左右差15度未満、Grade 6 Late Severe=7〜9か月で左右差15度超または10〜12か月で左右差15〜30度、Grade 7 Late Extreme=7〜12か月で胸鎖乳突筋腫瘤または10〜12か月で左右差30度超、Grade 8 Very Late=12か月を超えて頭位の好み・回旋の左右差・胸鎖乳突筋腫瘤のいずれかがある、と定義していること閲覧 2026-09-03
  3. 3.[Interpretation of "Physical therapy management of congenital muscular torticollis: a 2024 evidence-based clinical practice guideline from the American Physical Therapy Association Academy of Pediatric Physical Therapy"](中国当代儿科杂志(Chinese Journal of Contemporary Pediatrics)・2025)2024年版CMT臨床実践指針を解説した査読論文が、2024年版のCMT重症度分級量表は2018年版と明らかな差が無く、なお患児の年齢・胸鎖乳突筋腫瘤の有無・頸部可動域の制限の程度により8級に分けると述べていること。介入の流れについて、重症度が高いほど介入頻度・強度と家庭での姿勢管理の時間を増やす必要があること、Grade 1〜6は保存治療を第一選択とし効果が無ければ強度や頻度を上げなお不良なら外科手術またはボツリヌス毒素注射を考慮すること、Grade 7は専門家に相談したうえで保存治療を選ぶか外科手術・ボツリヌス毒素注射へ直接進むこと、Grade 8は外科的介入またはボツリヌス毒素注射を直接勧めることを述べていること閲覧 2026-09-07