スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

Leuven画像分類

Leuven Imaging Classification

臓器系
腎・泌尿器小児
科目
Pediatrics
トピック
小児科 3-23:小児嚢胞性腎疾患

🧠 全体像(LIC)は、が15歳未満の小児には使えないという穴を埋めるために提案された、小児ADPKD専用の画像である。考え方はMayoと同じく「を測ってクラスに当てはめる」だが、Mayoが年間の増加率(%/年)でクラスを分けるのに対し、LICは年齢ごとの正常範囲を示す曲線に似た発想)にの実測値を当てはめてクラスA〜Eを決める点が異なる。

目的と適用場面

内容
目的 小児ADPKDにおける将来の腎機能低下リスクの画像による層別化
対象 19歳未満の患者(原コホートの上限)。特にが使えない15歳未満で意義が大きい
使う場面 小児ADPKDの経過観察方針の決定、血圧・腎機能フォローの強度判断
評価しないもの ADPKDの診断そのもの(診断は家族歴・・超音波による別の基準による)

分類の手順

と同じく加算式のスコアではなく、を測る→年齢に応じた基準曲線に当てはめるという手順でクラスA〜Eに分類する。

  1. を測る:原法では3D超音波で左右腎の体積を測定する。MRIやCTでも同じ式にそのまま当てはめて分類する報告があるが、原法は3D超音波であることに注意する。12
  2. 身長で補正する:TKVを身長(m)で除し、(mL/m)を求める。ここまではと同じ考え方である。
  3. 年齢をage^1.6に変換し、4本の境界曲線と比較するの年齢に対する増え方は成人よりも急なため、単純な直線ではなくageの1.6乗を用いた曲線でクラスの境界を引く。1

境界曲線は次の式で表される。

htTKV(mL/m)=A×Bage1.6\text{htTKV(mL/m)} = A \times B^{\,\text{age}^{1.6}}
境界 A B
クラスA/B境界 80 1.01
クラスB/C境界 90 1.012
クラスC/D境界 100 1.015
クラスD/E境界 110 1.018

1

患者の年齢を式に入れて4本の境界値を計算し、実測がどの境界の間に入るかでクラスA(最も境界曲線より低い=低リスク)からクラスE(最も境界曲線より高い=高リスク)まで5段階に振り分ける。

💡 発想はの「年間増加率」ではなく、小児科診療で馴染みのある(身長・体重のようなもの)に近い。小児では成人と違っての絶対値そのものが年齢とともに大きく変わるため、増加率よりも「その年齢にしては大きすぎないか」を直接見る設計になっている。

解釈とカットオフ

クラスが上がるほど将来の腎機能低下が速い傾向がある。 原著の74例・247回の3D超音波を用いたコホートでは、クラスA〜Eの年間はそれぞれ−0.63・−2.16・−2.32・−2.15・−4.74 mL/min/1.73m²であり、クラスAは緩やかで、クラスEは明らかに速かった。1

⚠️ クラスC・Dの間では低下速度の大小が逆転しており(C:−2.32、D:−2.15)、クラスの上下と低下速度の大小が完全に一対一で対応するわけではない。大まかな傾向(低リスク=A・B、中等〜高リスク=C〜E)として捉え、隣接クラス間の細かい順序にはこだわりすぎない。1

MRIでを測定した別のコホート(小児ADPKD 75例、5〜18歳)では、クラスA 38.7%・B 28.0%・C 24.0%・D+E 9.3%と大半が低〜中等リスクに分布し、高リスク(C+D+E)に該当したのは約33%であった。D+E群は他クラスに比べ有意に血圧が高く、高血圧の割合は57.1%に達した。2

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 原法は3D超音波である。 LICはもともとMRI・CTでの反復検査が難しい小児で、や鎮静を避けつつ経時フォローできる3D超音波を前提に開発された。MRIで測ったに同じ式をそのまま当てはめた報告はあるが、超音波由来の式をMRI由来の値に代用している点は踏まえておく。12

⚠️ 成人向けを15歳未満にそのまま使うと重症度を強く過小評価する。 これがLICが必要とされた理由そのものであり、逆にLICを成人(特に15歳以上)にそのまま使ってよいという検証は無い。15〜18歳前後は両分類の対象年齢が重なるが、(増加率 vs 年齢別絶対値)が異なるため互換的には扱わない。12

⚠️ クラスはに変動しうる。原著コホートでは同一クラスに留まる例が多い一方、隣接クラスへの移動も一定数あり、1回の評価だけでクラスをに扱わない。1

⚠️ 対象は19歳未満の遺伝子診断済みADPKD患者を中心に検証されている。遺伝子診断が無い、あるいは対象年齢から外れる患者への外挿は慎重に行う。

まとめ

  • (LIC)は、が使えない小児ADPKD向けに提案された画像である。
  • htTKV(mL/m)を、age^1.6を用いたの境界曲線に当てはめてクラスA(低リスク)〜E(高リスク)に分類する。Mayoの「年間増加率」とはが異なる。
  • クラスが上がるほど年間が速く、高リスク(C〜E)は約3割を占め、高血圧の合併も多い。
  • 原法は3D超音波であり、成人向けとの互換性・MRIへの代用には注意が必要である。

出典

  1. 1.Risk Severity Model for Pediatric Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease Using 3D Ultrasound Volumetry(American Society of Nephrology(Clinical Journal of the American Society of Nephrology)・2023)Leuven Imaging Classification(LIC)の原著。3D超音波で計測し身長補正した総腎容積(htTKV、mL/m)を年齢(age^1.6)の指数関数曲線 htTKV=A×B^(age^1.6)(境界に用いるA・Bの組は(80, 1.01)・(90, 1.012)・(100, 1.015)・(110, 1.018))に当てはめてクラスA〜Eの5段階に分類することを定義し、19歳未満の遺伝子診断済みADPKD患者74例・3D超音波247回のこの研究自身のコホートで、クラスA〜Eの年間eGFR低下速度がそれぞれ−0.63・−2.16・−2.32・−2.15・−4.74 mL/min/1.73m²であったこと、経時的なクラスの安定性(同一クラスに留まる例が多いが変動もある)、そして15歳未満の小児に成人向けMayo画像分類をそのまま適用すると重症度を強く過小評価すること("strongly underestimated ADPKD severity")を確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Magnetic resonance imaging based kidney volume assessment for risk stratification in pediatric autosomal dominant polycystic kidney disease(Frontiers in Pediatrics・2024)原法である3D超音波ではなくMRIで計測したhtTKVにLICの式をそのまま適用したこの研究自身の結果として、小児ADPKD 75例(5〜18歳)をクラスA 38.7%・B 28.0%・C 24.0%・D+E 9.3%に分類し、高リスク(C+D+E)が約33%を占めたこと、D+E群は他クラスより有意に血圧が高く高血圧の割合が57.1%であったこと、および成人向けMayo画像分類は15歳以上にしか適用できないことを確認した閲覧 2026-08-10