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Mayo画像分類

Mayo imaging classification

別名
Mayo classification of ADPKD
臓器系
腎・泌尿器
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 N-02:尿細管間質性疾患・嚢胞性腎疾患内科学 S-23:単純・複雑性腎嚢胞と常染色体優性多発性嚢胞腎
適用疾患
常染色体優性多発性嚢胞腎

🧠 全体像は、と診断が確定した患者を対象に、将来の腎機能低下の速さを予測しの適応を判断するための画像分類である。ではなく、すでにADPKDと診断された患者の中で誰が急速に進行するかを層別化するツールという位置づけを最初に押さえる。項目を足し上げる加算スコアではなく、と年齢から1A〜1Eのクラスへ振り分ける分類手順である。

目的と適用場面

内容
目的 将来の腎容積・の予測、の適応判断
対象 ADPKDと診断が確定した患者(成人。小児での位置づけは限界の節を参照)
使う場面 の検討時、の患者選択、経過観察の間隔決定
評価しないもの ADPKDの診断そのもの(診断は超音波・による別の基準による)

分類の手順

⭐ 各項目に点数を配点して合計する形式ではなく、を測る→身長で補正する→年齢と合わせてクラスに当てはめるという3段階の手順である。

  1. を測る:MRIまたはCTの連続断面から左右腎の体積を求める。実務上は左右腎をそれぞれに近似する式(TKV=π/6×長径×短径×厚径)で概算することが多い。による自動はより正確だが、時間とソフトウェアを要する。1
  2. 身長で補正する:TKVを身長(m)で除し、、mL/m)を求める。体格差によるTKVそのもののばらつきを取り除き、年齢群間で比較可能にするための補正である。
  3. 年齢とを基準表に当てると年齢の組み合わせをMayoの基準表に照らし、クラス1A〜1E、またはクラス2に分類する。

⚠️ 分類はまずクラス1(典型的)とクラス2()に分け、1A〜1Eのサブクラスはクラス1にしか適用されない。 クラス1は両側性・びまん性に嚢胞が分布し、すべての嚢胞がほぼ均等にTKVへ寄与する典型例(患者の大半を占める)で、の増加率がそのまま腎実質の消失度を反映する。クラス2は非典型例で、2A(片側性・・非対称性・偏在性の分布)と2B(後天性の片側性ないし両側性のを伴う両側性)に細分され、これらに1A〜1E相当の増加率区分は当てはめない。2

💡 クラス2に当たるのはごく一部で、で変異が同定されない例や家族歴の無い例が相対的に多く、腎予後も良好な傾向がある。1

クラス1と判定された患者だけを、で以下の5段階にさらに分ける。

クラス
1A 1.5%未満
1B 1.5〜3%
1C 3〜4.5%
1D 4.5〜6%
1E 6%超

2

解釈とカットオフ

1C〜1Eが急速進行の高リスク群、1A・1Bは低リスク群である2。オランダの4大学病院618例(白人96%、追跡5.1年)を用いた検証研究では、クラス1C・1D・1Eの年間TKV増加率がそれぞれ5.18%・6.40%・7.25%、対応する年間eGFR低下が3.45・4.03・4.58 mL/min/1.73m²と、クラスが上がるほど両者が揃って大きくなることが確認されている。3

⚠️ 同じ検証研究では、追跡中82%の患者がベースラインのクラスにとどまった一方で、同一クラス内でも進行速度のが大きいことも示された。クラスは集団としての傾向を表すもので、個々の患者の低下速度を確定するものではない。3

ADPKDの治療では、eGFR 25 mL/min/1.73m²以上の成人で急速進行リスクが高いと判断される場合(1C〜1E、年間eGFR低下3 mL/min/1.73m²以上などを根拠とする)にの導入を検討する。画像でクラス1C〜1Eに該当することは、この「急速進行リスクが高い」という判断を支える根拠の一つにすぎず、単独の決定打ではない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ クラス2()にはサブクラスを当てはめない。 非対称性・の嚢胞分布ではの増加率が腎機能低下を一様に反映せず、1A〜1Eの枠組みは適用外である。2

⚠️ 腎容積測定には施設間・者間のばらつきがある。は簡便だが、による実測より不正確になりうる。可能なら同一施設・同一手法で経時比較する。

⚠️ 1時点の画像から増加率を推定するという設計上の割り切りがある。 は「が出生時150 mL/mからに増える」という仮定を置いて1時点の画像から増加率を推定する。同一患者で3時点以上の画像が得られる場合は、実測値を直接当てはめるほうが誤差が小さい(絶対誤差 年1.1%対 年2.1%)。経過中に複数回撮っているなら、分類の当初の割り付けに固執せず実測の推移を見る。4

⚠️ 小児・若年者では確立していない。 成人向けの基準表は15歳以上にしか適用できず、成人年齢に達する前では増加の予測モデル自体が大きく食い違う。小児にはなど別途専用の分類が提案されている。5

⚠️ 画像分類だけでを決めない。eGFRの実測経過(年間低下率)や遺伝子型(PKD1/PKD2)と統合して判断する。を撮れない、あるいは遺伝子型・性別・しか手元にない場合はを代替指標として用いる——画像が使えるかどうかが両者の使い分けのになる。⚠️ ただしのほうが予測能が高いから第一選択」という意味ではない。 両者の予測能を直接比べた研究はが一致しておらず、のほうが高い予測能を示した検証もある。両者は同一患者で異なるリスク区分を示しうるため互換的には扱わない。

まとめ

  • は、TKV測定→身長補正→年齢との照合という3段階の手順でADPKDの進行リスクを分類する、加算式ではない分類体系である。
  • まずクラス1(典型的・両側性びまん性)とクラス2()に分け、1A〜1Eのサブクラスはクラス1にのみ適用する。
  • 1A〜1Eは(1A:1.5%未満〜1E:6%超)に対応し、1C〜1Eが急速進行の高リスク群で適応判断の根拠の一つになる。
  • クラス2、小児・若年者には1A〜1Eの枠組みを適用できず、測定にも施設間・手法間のばらつきがある。
  • 画像が使えない場合や遺伝子型・しかない場合はで代替する。

出典

  1. 1.Imaging Classification of Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease: A Simple Model for Selecting Patients for Clinical Trials(American Society of Nephrology(Journal of the American Society of Nephrology)・2015)Mayo画像分類を提唱した原著(Mayo Clinic Translational PKD Center 590例で開発、CRISP研究173例で外部検証)が、クラス1(典型的:両側性・びまん性で、すべての嚢胞が総腎容積へ同程度に寄与する)とクラス2(非典型的:2A=片側性・分節性・非対称性・偏在性、2B=後天性の片側性ないし両側性腎萎縮を伴う両側性)を定義し、クラス1のみを推定年間htTKV増加率で1A(1.5%未満)・1B(1.5〜3%)・1C(3〜4.5%)・1D(4.5〜6%)・1E(6%超)の5つのサブクラスへ分けること、および1A・1Bが低リスク、1C〜1Eが高リスクに対応することを、Table 1と結果の節で示していることを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Atypical Polycystic Kidney Disease as defined by Imaging(Scientific Reports・2023)方法の節で総腎容積を回転楕円体近似式(4πabc/3、a・b・cは直交する半軸長。長径×短径×厚径を用いる π/6 の式と同値)で計測していること、および結果の節でこの研究自身の知見として523例中46例(8.8%)が非典型的な画像パターンを示し、それらは高齢で家族歴が乏しく変異が同定されにくく腎予後が良好であったことを確認した。⚠️ クラス1/クラス2の定義そのものはIrazabalら2015を引用したうえで2パターンを追加したものであり、この論文が創出した分類ではない。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Validation of the Mayo Imaging Classification System for Predicting Kidney Outcomes in ADPKD(Clinical Journal of the American Society of Nephrology (CJASN)・2024)オランダの4大学病院618例(平均47±11歳、ベースラインeGFR 64±25 mL/min/1.73m²、白人96%、追跡5.1±2.2年)を対象としたこの研究自身の結果(Table 2)として、クラス1C・1D・1Eの年間TKV増加率がそれぞれ5.18%・6.40%・7.25%、対応する年間eGFR低下が−3.45・−4.03・−4.58 mL/min/1.73m²であること、および追跡中82%の患者がベースラインのクラスにとどまった一方で同一クラス内の進行速度に大きな個人差があることを確認した。⚠️ 1A〜1Eの区分値そのものは導入の節でIrazabalら2015を引用したものである。閲覧 2026-08-04
  4. 4.Improved predictions of total kidney volume growth rate in ADPKD using two-parameter least squares fitting(Scientific Reports・2024)画像時点が3点以上得られる場合、2パラメータ最小二乗フィッティングによるTKV増加率の推定が、Mayo画像分類による推定より誤差が小さいこと(絶対誤差 年1.1%±2% 対 年2.1%±2%、p=0.002)をこの研究自身の結果として示していることを確認した。⚠️ 同論文が挙げる1A〜1Eの区分(1A 1.5%未満〜1E 6%以上)は導入の節でIrazabalら2015を引用したものであり、この論文自身の知見ではない。区分そのものの出典にはirazabal-mayo-imaging-classification-jasn-2015を用いる。閲覧 2026-08-04
  5. 5.Magnetic resonance imaging based kidney volume assessment for risk stratification in pediatric autosomal dominant polycystic kidney disease(Frontiers in Pediatrics・2024)導入の節で、Mayo画像分類を含む成人向けの層別化手法が15歳以上にしか適用できないこと、htTKV増加の予測モデルが成人年齢に達する前では大きく食い違うことを先行研究の引用として述べ、小児向けにはLeuven Imaging Classificationが提案されていることを確認した。⚠️ 「小児では重症度を過小評価する」という記述はこの論文には無い(過小評価・誤分類に相当する語は本文に現れない)。この論文自身の結果は、小児ADPKD 75例をLeuven Imaging ClassificationでMRI層別化し、約30%が高リスク(C・D・E)に該当したというものである。閲覧 2026-08-04