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Numano分類

Numano classification

臓器系
免疫・膠原病循環器
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 R-08:中血管炎・大血管炎
適用疾患
高安動脈炎

🧠 全体像の血管病変分布を、とその分枝から腹部大動脈・までの範囲でI〜V型に区分するベースの病型分類である。合計点を算出して閾値と比較する採点式のスコアではなく、「どの区域が侵されているか」を型として言い表すだけの分類である点が、他の多くのスコア体系と異なる。罹患範囲はI型(分枝のみ)からV型(ほぼ)まで患者ごとに大きく異なり、この型分けが罹患範囲の記録・症例間比較・(バイパス術・)の計画を進める際の共通言語になる。

目的と適用場面

内容
目的 の血管病変分布をI・IIa・IIb・III・IV・V型の6病型に区分する
対象 MRA・CTA・超音波などの血管画像での血管病変が確認された患者
使う場面 罹患範囲の記録、施設間・症例間での病変分布の比較、(外科的バイパス・)を計画する際の罹患範囲の整理
評価しないもの 疾患活動性・重症度そのもの(採点して閾値と比較する仕組みは持たない)。冠動脈・肺動脈病変は6病型の判定基準には含まれず、C(+)/P(+)という付加表記で別立てに記録する

もとは1994年にNumano Fらが提唱し1、日本人とインド人の患者で罹患血管分布に地域差があることを示す目的で発展した分類である。

病型と罹患範囲

⭐ 6病型のうち、どれか1つに当てはめて記載する。冠動脈病変を伴えばC(+)、肺動脈病変を伴えばP(+)を型の後ろに付す(例:V型で冠動脈病変も伴う場合は「V型+C(+)」)1

病型 罹患部位
I型 の分枝のみ
IIa型 とその分枝
IIb型 IIa型の範囲+下行胸部大動脈
III型 下行胸部大動脈・腹部大動脈・分枝は含まない)
IV型 腹部大動脈・のみ
V型 IIb型+IV型の混合型(罹患範囲が最も広い)

💡 I〜V型は罹患区域の組み合わせで定義されており、点数の加算では決まらない。III型・IV型は分枝を含まず腹部側だけが侵される型である一方、IIa型・IIb型はを中心とする型で、両者の境界(III型 vs IV型/IIa型 vs IIb型)は下行胸部大動脈・分枝を含むかどうかで区別する。

解釈とカットオフ

複数のコホートを統合したでは、病型ごとの頻度と臨床像に次のような違いが報告されている2

病型 プール 臨床的な傾向
I型 23.5% 症状の頻度は他型と比べてやや高い傾向にあるが、統計的に有意な特徴は乏しい
IIa型 6.6% 明確な傾向は乏しい
IIb型 8.1% 最も軽症とされる型。との負の相関が有意
III型 5.3% との負の相関が有意
IV型 8.3% 高血圧との正の相関が有意
V型 43.5%(最多) 罹患期間が長く、高血圧・・失神と有意に相関する。冠動脈病変の合併も多く、最も重症度が高い型とされる

⭐ V型(IIb型+IV型の混合型)が全体の4割超を占め、最も頻度が高い。罹患範囲が広い型ほど頸部分枝・腹部など複数区域にまたがるが必要になりやすく、型で罹患範囲を整理しておくことが術式選定の出発点になる。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 重症度・活動性そのものを点数化する仕組みではない。 が示すのは罹患区域の分布のみで、治療強度や予後は・画像所見・を総合して別に評価する。

⚠️ データドリブンな手法で作られた分類ではない。 1994年に経験的に定められた区分であり、統計的に均等な患者層別化を目的として設計されていない3

⚠️ 患者の多くがV型に偏り、型による層別化のは低い。 でもV型が43.5%を占め、実際の分布に大きな偏りがある。についても確立した臨床的価値は示されておらず、インド・北米コホートではそれぞれ5.0%・6.7%の患者がいずれの型にも分類できなかったとする報告もある3

⚠️ 冠動脈・肺動脈病変を見落とさない。 これらはC(+)/P(+)という付加表記でしか捉えられず、6病型の判定だけでは扱われない。虚血症状や画像上の疑いがあれば、型分類とは別に冠動脈・肺動脈を個別に評価する。

まとめ

  • の血管病変分布を、の分枝のみのI型から、・下行胸部大動脈・腹部大動脈・にまたがるV型まで、罹患区域の組み合わせでI・IIa・IIb・III・IV・V型に区分するベースの分類である。
  • 冠動脈・肺動脈病変は6病型とは別にC(+)/P(+)という付加表記で記録する。
  • V型(IIb型+IV型の混合型)が全体の4割超を占め最多で、罹患期間が長く高血圧・・失神と関連する最重症型とされる。
  • 採点式のスコアではないため疾患活動性・重症度そのものは評価できず、経験的に作られた分類であるため患者の多くがV型に偏り能も確立していない。
  • 冠動脈・肺動脈病変はC(+)/P(+)表記でしか捉えられないため、型分類とは別に個別評価する。

出典

  1. 1.Imaging difficulties in Takayasu arteritis – case report and review of the literature(Polish Journal of Radiology・2012)Numano分類のI・IIa・IIb・III・IV・V型それぞれの罹患血管区域の定義と、冠動脈病変をC(+)、肺動脈病変をP(+)として付記する表記法を確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Prevalence and clinical severity of Takayasu arteritis angiographic types: a systematic review with meta-analysis(Rheumatology International・2025)66研究のメタ解析による各病型のプール有病率(V型43.49%で最多、IIb型が最も軽症、V型は罹患期間が長く高血圧・動悸・失神と有意に相関する最重症型であること)を確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Derivation of an angiographically based classification system in Takayasu's arteritis: an observational study from India and North America(Rheumatology (Oxford, England)・2019)Numano分類がデータドリブンな手法を用いず経験的に作成されたこと、患者の大半がV型に偏って分類され型による層別化の解像度が低いこと、予後予測において確立した臨床的価値を示せていないこと、インド・北米コホートでそれぞれ5.0%・6.7%の患者がいずれの型にも分類不能だったことを確認した閲覧 2026-08-10