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改訂心リスク指標

Revised Cardiac Risk Index

別名
RCRILee心リスク指標Lee index
臓器系
循環器
科目
Surgery
トピック
外科学 A/05:外科患者の術前管理
構成:検査値
クレアチニン

🧠 全体像:(RCRI、別名:Leeインデックス)は、非心臓手術を受ける成人患者において、周術期に発生する(心筋梗塞、肺水腫、・心停止、などのMACE)のリスクを術前に見積もるための国際標準スコアである。Goldmanの多因子心臓リスク指標をLeeらが簡略・改訂したもので、6つの明確な臨床因子(、、心不全、、インスリン使用、腎機能低下)を各1点として合算する。(ESC 2022)や米国心臓協会/のガイドラインにおいて、術前追加検査(心エコー、、)の要否や術後モニタリング強度を決定するアルゴリズムの基礎として広く採用されている。

目的と適用場面

項目 内容
目的 非心臓手術を受ける患者の周術期MACEリスクを層別化し、不要な術前精密検査を減らしつつハイリスク患者を抽出する
対象 全身麻酔または下で非心臓手術を受ける予定の成人患者
使う場面 術前外来または入院時の術前心血管リスクスクリーニング
評価しないもの 心臓科手術そのもの、緊急救命手術(評価を待たずに手術を優先する)

構成要素と配点

以下の6項目について、該当する項目ごとに1点を与えて合計点(0〜6点)を算出する1。

項目 判定基準 配点
1. 高リスク手術 腹腔内手術、手術、または血管手術(手術やなど) 1
2. の既往 心筋梗塞の既往、狭心症、陽性、の使用、心電図上の 1
3. の既往 心不全の既往、肺水腫の病歴、、上の両側・III音ギャロップ、胸部X線上の肺像 1
4. の既往 、TIA、またはの既往 1
5. インスリン治療中の糖尿病 術前にを継続している糖尿病(のみやのみは含まない) 1
6. 術前 術前血清クレアチニン値 2.0 mg/dL超(177 μmol/L超) 1

解釈とカットオフ

該当するリスク因子の数に応じてクラスIからIVに分類され、主要心合併症(、心筋梗塞、肺水腫、など)の推定を評価する12。

クラス 該当項目数 リスク分類 推定心合併症(原著コホート) ガイドライン上の扱い(ACC/AHA・ESC)
クラス I 0項目 低リスク 約0.4〜0.5% 低リスク(心合併症 1%未満)。追加の心機能精密検査を行わず手術進行可
クラス II 1項目 低〜 約0.9〜1.0% が良好(≥4 METs)であれば追加検査なしで手術進行可
クラス III 2項目 中等度〜高リスク 約4.0〜6.6% 上昇リスク(≥1%)。不良または不明例では術前心エコーや、測定を検討
クラス IV 3項目以上 高リスク 約9.0〜11.0%以上 高リスク。循環器内科協議、心機能精密精査、術後モニタリングを推奨
flowchart TD
    A["非心臓手術予定患者"] --> B{"緊急手術か?"}
    B -->|"はい"| C["心機能評価を待たず緊急手術へ"]
    B -->|"いいえ"| D{"不安定な心疾患<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute coronary syndrome'>急性冠症候群</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decompensated heart failure'>非代償性心不全</span>など)"}
    D -->|"あり"| E["手術を延期し、循環器専門医による緊急評価・治療"]
    D -->|"なし"| F["RCRIスコアを評価"]
    F -->|"RCRI 0〜1点(低リスク)"| G["追加精密検査なしで予定手術へ"]
    F -->|"RCRI ≥ 2点(上昇リスク)"| H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exercise tolerance'>運動耐容能</span>"}
    H -->|"良好(4 METs以上:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stairs; step (stepwise)'>階段</span>2階を昇れる)"| G
    H -->|"不良(4 METs未満)または不明"| I["心電図・BNP/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='troponin'>トロポニン</span>測定・心エコー・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='challenge test'>負荷試験</span>の適応を検討"]

限界と使ってはいけない場面

⚠️ やの反映:RCRIは能力を評価項目に含んでいない。4 METs以上(日常生活でを2階まで休まず昇れる、平地を速足で歩ける)の力が保たれている患者は、仮にRCRIのスコアが高くても周術期心事故の発生頻度が有意に低い。逆に(虚弱)を伴う高齢者ではスコアが低くても予後不良となりやすいため、と合わせて総合的に評価する3。

⚠️ 科手術での過小評価:手術や下肢などの大血管手術を受ける患者では、全身の動脈硬化が進展しているため、RCRI単独では心血管リスクが過小評価される傾向がある。科領域では専用のモデル(VSGNEリスクモデルなど)が併用される。

⚠️ および軽度:のみで治療されている糖尿病や、が2.0 mg/dL以下の軽度〜中等度腎機能低下(eGFR 30〜59 mL/min/1.73m²など)はRCRIの加点対象外となるが、現実には動脈硬化性心疾患のリスク要因であるため見落としてはならない。

⚠️ 安静時心エコーのルーチン施行の戒め:RCRIが低く心症状のない患者に対して、術前スクリーニング目的で全例に安静時を行うことは推奨されない。検査結果が術前管理や術式、麻酔計画を変更する場合に限って適応を判断する。

まとめ

  • は、非心臓手術を受ける患者の周術期主要心を6つの臨床因子(高リスク手術・・心不全・・インスリン治療糖尿病・クレアチニン2.0 mg/dL超)で予測する指標である。
  • 0〜1点(クラスI〜II)は1%未満の低リスク群であり、追加の心血管精密検査なしで手術へ進める。
  • 2点以上(クラスIII〜IV)はが上昇するため、患者の(4 METsの閾値)を評価したうえでやモニタリング強化を検討する。

出典

  1. 1.Derivation and prospective validation of a simple index for prediction of cardiac risk of major noncardiac surgery(Circulation・1999)非心臓手術を受ける4,315例の患者コホートから、周術期の主要心合併症(心筋梗塞、肺水腫、心室細動・心停止、完全房室ブロック)を予測する6つの独立した臨床予測因子(高リスク手術、虚血性心疾患、うっ血性心不全、脳血管障害、インスリン治療中の糖尿病、術前血清クレアチニン2.0 mg/dL超)を導出・検証し、該当項目数(0・1・2・3項目以上)に応じて心事故発生率が0.5%から9.0%以上へと段階的に上昇することを示した。閲覧 2026-10-28
  2. 2.2014 ACC/AHA guideline on perioperative cardiovascular evaluation and management of patients undergoing noncardiac surgery(Journal of the American College of Cardiology・2014)周術期心血管リスクの客観的評価モデルとしてRCRIおよびNSQIP計算機を推奨し、予測心血管イベント発生率が1%未満を低リスク、1%以上を高リスクと定義した。1%以上の高リスクかつ運動耐容能が4 METs未満または不明の場合に追加の非侵襲的負荷試験を考慮する判断基準を定めた。閲覧 2026-10-28
  3. 3.2022 ESC Guidelines on cardiovascular assessment and management of patients undergoing non-cardiac surgery(European Heart Journal・2022)非心臓手術患者の周術期心血管評価において、手術自体のリスク分類と患者側の心血管リスク指標(RCRIなど)および運動耐容能(METs)を統合した評価アルゴリズムを提唱した。低リスク手術やRCRI低値かつ運動耐容能良好例での不必要な術前心機能検査を戒め、高リスク例に絞った心エコーやバイオマーカー測定の適応を示した。閲覧 2026-10-28