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Symptoms · Published

Bitot斑

Bitot spots

臓器系
眼科
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 G-02:小腸疾患・吸収不良・消化不良

🧠 全体像:はの白色泡沫状病変で、と並ぶの手がかりである。ただし以前の欠乏による残存病変もあり、単独で現在の欠乏を確定できない1。見た目が似たやと区別する。

定義と用語の整理

  • は、のによって生じたとCorynebacterium xerosisのからなる、輪部近くのに生じるわずかに隆起した白色〜灰色の泡沫状病変である2。多くは角膜耳側のに三角形〜に出現し、両眼性のことが多い。
  • WHOのでは、はX1Bとして、(XN)・(X1A)に続く段階に位置づけられる3。
病期 所見 意味
XN 杆体機能低下。長期の欠乏を示唆
X1A の光沢消失・乾燥
X1B 角化した泡沫状病変。長期の欠乏を示すが失明には至らない
X2 角膜の光沢消失・
X3A/X3B 角膜潰瘍・ 角膜面の1/3未満(A)/以上(B)に及ぶ壊死。失明の危険
XS 既往の角膜病変による永続的瘢痕
XF 網膜への波及所見
  • ⚠️ 病期は必ずこの順序で進行するわけではない。 →→角膜潰瘍と機械的に順番通りに進むと教えられがちだが、一部の所見(・)はな欠乏を反映し、他の所見(角膜潰瘍・)は急性・重症の欠乏を反映するため、両者は独立に出現しうる2。

病態生理

  • は・角膜の上皮細胞の正常な分化・増殖に必要である。欠乏すると本来のがへ化生し、乾燥したが表面に蓄積する2。
  • このにCorynebacterium xerosis(皮膚・の常在菌)が定着し、菌が産生するガスによって特徴的な泡沫状の外観が生じる2。
  • の原因は、摂取不足に加え、(など)・・でも生じる4。

⚠️ 見逃してはいけないこと

  • ⭐ を見たらの可能性を評価する。 、食事、吸収不良などをする。残存病変の可能性もあり、斑の存在だけで現在の欠乏を確定しない1。
  • ⚠️ とを混同しない。 は角膜に進入しない黄白色の隆起で、紫外線などへの慢性曝露や加齢と関係する5。はから角膜へ伸びる。は泡沫状の角化病変であり、外観だけで決めず、眼所見と欠乏リスクを併せて判断する1。
  • ⚠️ 角膜病変は治療を急ぐ。 による角膜潰瘍・では不可逆な視力障害を生じうる。治療後も残存するがあるため、斑の完全消失だけで治療効果を判定しない16。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["輪部近くの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bulbar conjunctiva'>球結膜</span>に白色〜灰色の隆起病変"] --> B{"泡沫状・角化性で<br>多くは両眼性か"}
    B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Bitot&#39;s spot'>Bitot斑</span>を疑う"]
    B -->|"いいえ<br>黄白色・限局性"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pinguecula'>瞼裂斑</span>や<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pterygium'>翼状片</span>などを鑑別"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='night blindness'>夜盲</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrointestinal malabsorption'>消化管吸収不良</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic liver disease'>慢性肝疾患</span>・<br>偏った食事のリスク因子を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medical interview (history-taking)'>問診</span>"]
    E --> F["角膜病変の有無を評価し<br>必要に応じて<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serum retinol'>血清レチノール</span>も調べる"]
    F --> G["活動性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='xerophthalmia'>眼球乾燥症</span>を疑う場合は<br>検査結果を待たず治療を検討"]

でリスク因子を確認し、の診察で角膜所見(X2以上)の有無を併せて評価する。活動性のを疑う場合、の結果を待って治療を遅らせない6。

対応の考え方

  • 活動性の欠乏によるでは補充が基本であり、年齢・妊娠・原因に応じて投与法を選ぶ。残存性のは治療後も持続しうる16。
  • ・・が背景にある場合は、原疾患の管理も並行して行う4。
  • ・角膜潰瘍・(X2以上)を伴う重症例は、視力予後に直結するため、単独例より優先して専門的な管理を行う。
  • やが疑われる場合は、それだけでとして補充せず、眼科的な評価を行う。

まとめ

  • はのによる白色〜灰色の泡沫状病変で、現在または過去のを示唆する。
  • WHOのではX1B(・に続く段階)に位置するが、病期は必ずこの順序で進行するとは限らない。
  • 見た目が似る(pinguecula)と角膜へ伸びる(pterygium)は別の病変である。
  • を見たら・・などの全身のを疑い、角膜所見(X2以上)の有無を確認する。
  • 活動性のには早期の補充が必要で、角膜病変は緊急の評価を要する。残存性のは補充後も持続しうる。

出典

  1. 1.Vitamin A deficiency and its consequences a field guide to detection and control(World Health Organization・1995)Bitot斑には活動性と残存性の病変があり、単独のBitot斑だけでは現在のビタミンA欠乏を確定できない。鑑別には瞼裂斑と翼状片が含まれる。閲覧 2026-10-29
  2. 2.The eye signs of vitamin A deficiency(Community Eye Health Journal・2013)Bitot斑が結膜上皮の扁平上皮化生(squamous metaplasia)により生じる角化物とCorynebacterium xerosisの集簇からなること、輪部近くの眼球結膜に生じるわずかに隆起した白色泡沫状の病変であること、小児が必ず夜盲→Bitot斑→角膜潰瘍の順で進行するわけではなく一部の眼所見は慢性的な欠乏を反映し他は急性・重症の欠乏を反映するため病期の出現順序は固定されていないことを確認した。閲覧 2026-09-26
  3. 3.Xerophthalmia and night blindness for the assessment of clinical vitamin A deficiency in individuals and populations(World Health Organization・2014)WHOによる眼球乾燥症(xerophthalmia)の病期分類が夜盲(XN)・結膜乾燥症(X1A)・Bitot斑(X1B)・角膜乾燥症(X2)・角膜潰瘍/角膜軟化症(X3A/X3B、角膜面の1/3未満・以上で区分)・角膜瘢痕(XS)・眼球乾燥症性眼底(XF)から構成されること、これらがビタミンA欠乏の集団における公衆衛生上の重症度を評価する指標として用いられることを確認した。閲覧 2026-09-26
  4. 4.Vitamin A Deficiency(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)ビタミンA欠乏は摂取不足のほか消化管吸収不良・慢性肝疾患・膵機能不全でも生じる。閲覧 2026-09-26
  5. 5.Pinguecula(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)瞼裂斑(pinguecula)は紫外線・風・埃・砂などへの慢性曝露や加齢と関係する結膜の変性で、鼻側の輪部近くに好発する黄白色の隆起病変である。角膜へ進入する翼状片とは異なる。閲覧 2026-09-26
  6. 6.Xerophthalmia (vitamin A deficiency)(Médecins Sans Frontières・2025)眼球乾燥症は臨床所見で把握し、初期所見でも重症化を防ぐため治療する。角膜潰瘍・角膜軟化症では視力喪失を防ぐ緊急の対応が必要で、妊娠中の投与量は別に定める。閲覧 2026-10-29