生物物理学

生物物理学 · 08.04

Lambert–Beerの法則

The Lambert-Beer law

🧠 Lambert–Beerの法則は、均一な溶液を通るについて、が吸収物質の濃度とに近似的に比例することを示す。 ・干渉や装置要因が小さい範囲で成り立つ。1

透過率と吸光度

入射強度をI0I_0、試料透過後をIIとすると、TTとAAは

T=II0,A=−log⁡10T=log⁡10 ⁣(I0I)T=\frac{I}{I_0},\qquad A=-\log_{10}T=\log_{10}\!\left(\frac{I_0}{I}\right)

で定義される。自然対数を使う減弱I=I0e−μlI=I_0e^{-\mu l}と同じ構造だが、分光測定では常用対数によるを用いることが多い。

濃度と光路長への比例

、均一な溶液、独立に吸収する分子という条件では

A=εclA=\varepsilon cl

となる。ε\varepsilonは波長に依存する、ccはモル濃度、llはである。ε\varepsilonをL mol−1 cm−1\mathrm{L,mol^{-1},cm^{-1}}、ccをmol L−1\mathrm{mol,L^{-1}}、llをcmで表せばAAは無次元になる。

複数の吸収種が互いに独立なら、同じ波長でのは加算できる。

A(λ)=l∑iεi(λ)ciA(\lambda)=l\sum_i\varepsilon_i(\lambda)c_i
flowchart TD
  A["濃度 c または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='optical path length'>光路長</span> l が増加"] --> B["吸収される光子の割合が増加"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transmittance'>透過率</span> T=I/I₀ が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exponentially'>指数関数的</span>に低下"]
  C --> D["A=-log₁₀T に変換"]
  D --> E["A=εcl:濃度に対して直線化"]

直線性が崩れる原因

原因 起こること
高濃度 分子間相互作用や変化でε\varepsilonが一定でなくなる
散乱粒子 光軸外への散乱を吸収として数えてしまう
多色光・広い帯域 波長ごとにε\varepsilonが異なり、単一の比例式にならない
化学平衡の変化 pHや会合によって吸収種そのものが変わる
・検出器飽和 高域で透過光を過大評価する

散乱による見かけのはの観測量と重なるため、濁った試料では吸収と散乱を分離する必要がある。

定量分析への利用

既知濃度の標準試料でAA対ccのを作り、その直線範囲内で未知濃度を求める。回帰の向きと予測誤差を適切に扱わないと、未知濃度へ系統誤差が入る。2 波長によるε\varepsilonの違いはとして測定する。

⭐ とは比例しない。 AAが1ならT=0.1T=0.1、AAが2ならT=0.01T=0.01であり、が1増えるごとには10分の1になる。

まとめ

  • はI/I0I/I_0、は−log⁡10(I/I0)-\log_{10}(I/I_0)で定義される。
  • Lambert–Beerの法則A=εclA=\varepsilon clは、・均一・という条件で成立する。
  • 独立な複数成分のは波長ごとに加算できる。
  • 高濃度、散乱、化学状態変化、は直線性からの逸脱を生む。

出典

  1. 1.Beer-Lambert law for optical tissue diagnostics: current state of the art and the main limitations(Journal of Biomedical Optics・2021)Beer–Lambert則の適用条件と散乱・装置要因による逸脱閲覧 2026-08-20
  2. 2.Misuse of Beer-Lambert Law and other calibration curves(Royal Society Open Science・2022)検量線の回帰と未知濃度推定に必要な統計的注意閲覧 2026-08-20