Biophysics

Biophysics · 01.03

放射源からの距離による放射照度の変化

Dependence of irradiance on distance from the source

応用トピック
小線源治療の原理と実際

🧠 距離によるの低下は「同じが、どれだけ大きな面へ拡がるか」で決まる。 点放射源では球面積がr2r^2に比例するためE1/r2E\propto 1/r^2、線状放射源では円筒側面積がrrに比例するためE1/rE\propto 1/r、無限に広い面放射源では理想的に距離依存がない。

放射照度と幾何学的拡散

EEは、表面へ入射する単位面積あたりのである。

放射測定量のうち、受光面へ届く量を表すに注目し、放射源の形状と距離の効果を分けて考える。

E=dΦdAE = \frac{d\Phi}{dA}

放射源から出る総が一定でも、距離が増すと放射がより広い面積へ分布する。吸収や散乱がなくても、受光面の単位面積あたりに届くはこのによって低下する。

点放射源:逆二乗則

等方的な点放射源が全方向へ総Φ\Phiを放つと、距離rrでは球面積4πr24\pi r^2に均等に分布する。

ここで扱うは、物質との相互作用による放射線の減弱とは別の低下要因である。

E(r)=Φ4πr2E(r) = \frac{\Phi}{4\pi r^2}

したがって、

E1r2E \propto \frac{1}{r^2}

2つの距離r1r_1r2r_2におけるの比は次式になる。

E2E1=(r1r2)2\frac{E_2}{E_1} = \left(\frac{r_1}{r_2}\right)^2

⭐ 距離を2倍にすると1/41/4、3倍にすると1/91/9になる。これがである。

線状放射源:逆比例

十分に長い線状放射源では、放射は主に円筒状に拡がる。長さLLの円筒側面積は2πrL2\pi rLなので、理想的には次の関係になる。

この距離依存性はの空間分布を表すものであり、電磁スペクトル上の光子エネルギーとは独立に成り立つ。

E(r)=Φ/L2πrE(r) = \frac{\Phi/L}{2\pi r}
E1rE \propto \frac{1}{r}

距離を2倍にしても、1/21/2になる。実際の有限長線状放射源は、線源に十分近い範囲では1/r1/rに近いが、線源全体を点とみなせるほど遠方では点放射源の1/r21/r^2へ近づく。

面放射源:理想的には距離非依存

無限に広い一様な面放射源では、距離が増しても受光面から見える放射面の広がりが補償するため、は理想的には一定となる。

Er0=constantE \propto r^0 = \text{constant}

現実の面放射源は有限なので、近距離では面放射源として振る舞っても、十分遠方では点放射源に近づく。

flowchart TD
  A["放射源の幾何学形状を確認"] --> B["点放射源"]
  A --> C["線状放射源"]
  A --> D["無限平面放射源"]
  B --> E["球面積 ∝ r²"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='irradiance'>放射照度</span> ∝ 1/r²"]
  C --> G["円筒側面積 ∝ r"]
  G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='irradiance'>放射照度</span> ∝ 1/r"]
  D --> I["見かけの面積が補償"]
  I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='irradiance'>放射照度</span> ≈ <span class='jp-term jp-term-diagram' title='constant'>一定</span>"]

放射源形状の比較

理想放射源 拡がる面 面積の距離依存
点放射源 球面 Ar2A\propto r^2 E1/r2E\propto 1/r^2
線状放射源 円筒側面 ArA\propto r E1/rE\propto 1/r
無限平面放射源 平面 距離による希釈なし EE\approx 一定

幾何学的低下と減弱の違い

距離とともに測定値が低下する理由は2つに分ける必要がある。

  • : が広い面へ分配される。が物質に奪われたわけではない。
  • 減弱: 媒質との相互作用により、吸収・散乱で一次そのものが減少する。

吸収性媒質中の点放射源では、概念的にと指数減衰が同時に働く。

E(r)1r2eμrE(r) \propto \frac{1}{r^2}e^{-\mu r}

💡 距離によると、媒質による減弱を区別すると、空気中の光、組織中の超音波、X線撮影、放射線防護の距離効果を同じ枠組みで理解できる。

まとめ

  • は単位面積あたりに入射するである。
  • 点放射源では球面積がr2r^2で増えるため、1/r21/r^2で低下する。
  • 線状放射源では理想的に1/r1/r、無限平面放射源では距離によらず一定となる。
  • 現実の有限放射源は、観察距離によって点・線・面放射源としての近似が変わる。
  • と媒質内の減弱は別の効果であり、実際には両方が重なることがある。