Biophysics

Biophysics · 25.02

X線結晶構造解析(X-ray crystallography)による分子構造決定

Determination of molecular structure by X-ray crystallography

🧠 X線解析は、結晶から得た回折強度をへ逆変換し、その密度に原子モデルを当てはめる間接的な構造決定法である。

測定から構造モデルまで

解析は、試料のの収集、反射の指数付けと積分、位相決定、計算、モデル構築、精密化の順に進む。入射X線の波長と面の関係はを前提とする。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='purification'>精製</span>した分子を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crystallization'>結晶化</span>"] --> B["結晶を回転して回折強度を測定"]
  B --> C["反射の振幅と位相を決定"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inverse Fourier transform'>逆フーリエ変換</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='electron density'>電子密度</span>を計算"]
  D --> E["原子モデルを構築・精密化"]
  E --> F["独立データで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='validity'>妥当性</span>を検証"]

電子密度と位相問題

ρ(r)ρ(\mathbf r) は、FhklF_{hkl}として表される。

ρ(r)=1VhklFhkle2πihr\rho(\mathbf r)=\frac{1}{V}\sum_{hkl}F_{hkl}e^{-2\pi i\mathbf h\cdot\mathbf r}

検出器が測る強度は Fhkl2|F_{hkl}|^2 に比例するが、位相は直接記録されない。これがであり、分子置換法や異常分散法などで補う。は、実空間のと逆空間の回折データを結ぶ数学的基盤である。

得られる像の解釈

へ原子モデルを当てはめ、観測データとの一致度とを反復評価する。分解能が高いほど近接原子を区別しやすいが、得られるのは結晶中の分子集団の時間・空間平均であり、完全に静止した単一分子像ではない。

生体分子のと結び付く。条件、欠損率、熱揺らぎを含めてモデルの限界を読む。

まとめ

  • 回折実験は反射強度を測り、を再構成する。
  • 強度から振幅は得られるが位相は失われるため、を別法で解く必要がある。
  • 原子構造はに基づく精密化済みモデルであり、分子の唯一の静止像ではない。