Biophysics

Biophysics · 27.10

循環の補助因子―ウィンドケッセル効果

Auxiliary factors of circulation — the Windkessel effect

🧠 は、が収縮期に血液と弾性エネルギーを蓄え、拡張期にして放出することで、断続的な心拍出を持続的な末梢血流へ平滑化する仕組みである。 平滑化の時間尺度はRRCCの積で決まる。

収縮期の貯蔵と拡張期の放出

左心室がすると、大動脈へ入る流量は末梢へ直ちに流出する量を一時的に上回る。余分な血液はを広げ、壁に弾性エネルギーとして蓄えられる。大動脈弁が閉じた後は、伸展した動脈壁のが血液を末梢へ押し続けるため、拡張期にも圧力と血流が保たれる。

flowchart TD
  A["収縮期:心室が血液を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ejection'>駆出</span>"] --> B["大動脈が拡張して血液を一時貯蔵"]
  B --> C["弾性エネルギーを壁に蓄える"]
  C --> D["拡張期:動脈壁が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recoil'>反跳</span>"]
  D --> E["末梢へ血液を送り続ける"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulsatile'>拍動性</span>入力を平滑な血流へ変換"]

RC時定数

単純なモデルでは、末梢への流出を抵抗RR、動脈が圧力上昇あたりに受け入れる容積をコンプライアンスC=ΔV/ΔpC=\Delta V/\Delta pで表し、

τ=RC\tau=RC

となる。τ\tauが大きいほどはゆっくり低下する。動脈圧で見たように、動脈壁のが動脈硬化によって低下するとCCも低下し、収縮期の圧上昇と脈圧が大きくなって、拡張期の圧保持も弱くなる。RRの上昇は流出を遅くする一方、心臓のを増す。

静脈還流を助ける要因

は主に動脈側の流れを補助する。静脈側では、が逆流を防ぎ、が静脈を圧迫して血液を心臓側へ送る。吸気時の低下とによる呼吸ポンプも還流を助ける。

これらは血液を新たに作る駆動源ではなく、心臓が作った圧力エネルギーと身体運動を利用して流れを維持する補助機構である。動脈側の拍動平滑化は血管階層に沿うに重なる時間変動を小さくし、静脈還流はを支える。

まとめ

  • は収縮期に血液と弾性エネルギーを蓄え、拡張期に放出する。
  • により、の心拍出が拡張期にも続く末梢血流へ平滑化される。
  • τ=RC\tau=RCは、が圧減衰を決めることを示す。
  • 、呼吸ポンプは、低圧の静脈還流を補助する。