Biophysics

Biophysics · 27.09

血管系における流速変化

Changes in flow velocity in the vascular system

🧠 は「血管1本の太さ」ではなく、その階層に並列する血管を合計したで決まる。 定常状態では各血管階層を通過するQQは等しいため、が最大のが最小になる。

連続の式を循環系へ適用する

流体の連続のを、ある血管階層全体へ適用すると次式になる。

Q=AtotalvˉQ=A_{\mathrm{total}}\bar v

AtotalA_{\mathrm{total}}は同じ階層にある全血管の断面積の合計、vˉ\bar vである。したがって、

vˉ=QAtotal\bar v=\frac{Q}{A_{\mathrm{total}}}

個々の毛細血管は細いが、数が非常に多いため、血管の変化で見たようには最大になる。「細いから速い」ではなく、並列血管を合計した面積が大きいから遅いと理解する。

血管階層に沿った流速変化

血管階層 機能上の意味
大動脈 小さい 速い 心拍出量を末梢へ輸送する
動脈・細動脈 徐々に増加 徐々に低下 血流を各臓器へ分配する
最大 最小 の時間を確保する
・静脈 再び減少 再び上昇 血液を心臓へ還流させる
flowchart TD
  A["大動脈:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total cross-sectional area'>総断面積</span>が小さい"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mean flow velocity'>平均流速</span>が速い"]
  B --> C["分枝により血管数・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total cross-sectional area'>総断面積</span>が増加"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='capillary bed'>毛細血管床</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total cross-sectional area'>総断面積</span>が最大"]
  D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mean flow velocity'>平均流速</span>が最小"]
  E --> F["拡散・濾過・再吸収の時間を確保"]
  F --> G["静脈側で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total cross-sectional area'>総断面積</span>が減少"]
  G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mean flow velocity'>平均流速</span>が再び上昇"]

💡 毛細血管で遅いことが交換を助ける。 流速が低いほど血球・血漿が交換面を通過する時間が長くなり、(Fick’s first law)に従う拡散や濾過が進みやすい。拡散式の導出はリンク先に委ね、ここでは流速が交換時間を決める点を押さえる。

局所狭窄との区別

血管系全体の階層比較と、1本の血管内にある局所狭窄は区別する。局所的に断面積が減ると、その区間では連続の式により流速が上昇する。さらに流速上昇はを高め、を生じやすくする。

⚠️ 流速とは別の量である。 狭窄部で流速が上がっても、抵抗増大によって回路全体のが低下することはありうる。と抵抗の関係はの法則と流れ抵抗で扱う。

ウィンドケッセル効果への接続

大動脈側の流速は心拍に伴って時間変動する。の空間分布に加え、動脈の弾性が拍動を平滑化する仕組みはへ続く。

まとめ

  • 定常状態では各血管階層を通過するQQは等しく、に反比例する。
  • が最大なのでが最小となり、の時間を確保できる。
  • 局所狭窄では断面積低下により流速が上がり、上昇を介してが生じやすい。
  • 流速、、血管抵抗は別の量として区別する。