Biophysics

Biophysics · 28.06

呼吸仕事

Respiratory work

🧠 は、呼吸筋が圧力を発生させて肺容積を変える際の力学的仕事である。 肺・胸壁の弾性、、組織のに費やされるため、どの負荷が増えたかによって楽な呼吸様式も変わる。

圧力―容積曲線と仕事

微小な容積変化 dVdV を圧力 PP に逆らって生じさせる仕事は PdVP,dV であり、吸気・呼気それぞれの仕事はその経路に沿った積分で表される。一周期の閉曲線積分の大きさは、回収されずにした正味の力学的エネルギーである。

Wdiss=PdVW_{\mathrm{diss}}=\left|\oint P\,dV\right|

吸気と呼気が同じ経路を戻らないためループには面積が生じ、この面積は一周期にするエネルギーに対応する。体のエネルギーと同じ見方ができる。仕事率は一呼吸の仕事と呼吸数の積なので、浅い呼吸でも極端に速くなれば時間当たりの負担は増える。

呼吸仕事の三成分

  1. 弾性仕事:肺と胸壁を拡げ、肺胞に逆らう仕事。吸気時に蓄えられ、その一部は受動呼気で回収される。
  2. に対する仕事のある気体を気道内で流す仕事。流量とが大きいほど増える。
  3. 組織抵抗に対する仕事:肺・胸壁組織の変形に伴う内部摩擦へ費やされる仕事。

これらの割合は一定ではない。コンプライアンスとが変わると、最小のエネルギーで換気できる呼吸数との組み合わせも変化する。

病態に適応する呼吸様式

flowchart TD
  A["必要な肺胞換気を維持"] --> B{"増えた負荷"}
  B -->|"弾性負荷<br>硬い肺"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tidal volume'>一回換気量</span>を小さくする"]
  C --> D["浅く速い呼吸"]
  B -->|"抵抗負荷<br>狭い気道"| E["流量と呼吸数を抑える"]
  E --> F["ゆっくり深い呼吸・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prolonged expiration'>呼気延長</span>"]

疾患では大きく肺を拡げる弾性仕事が高価なので浅く速い呼吸になりやすい。一方、では流速を上げるほど抵抗性の圧力損失が増えやすく、ゆっくりした呼吸と長い呼気が有利になる。ただし浅すぎる呼吸はの割合を増やすため、呼吸様式には限界がある。

呼吸筋疲労への接続

必要な圧力が持続的に高いと、呼吸筋の酸素消費と血流需要が増える。換気を維持できなくなると貯留が生じる。の増大は単なる不快感ではなく、が供給できる機械的出力へ近づいている徴候である。

まとめ

  • 吸気・呼気の仕事は圧力―容積経路の積分で、一周期にする正味のエネルギーはループ面積で表される。
  • は弾性、、組織抵抗に対する成分からなる。
  • 硬い肺では浅く速い呼吸、狭い気道ではゆっくりした呼吸が仕事を抑えやすい。
  • が筋の能力を超えると換気不全へ進む。