Biophysics

Biophysics · 28.09

身体診察の生物物理I―視診

Biophysics of physical examination I — inspection

応用トピック
呼吸器の身体診察

🧠 は、生体へ入射した光が組織で吸収・散乱・反射された後に眼へ届く信号を読む受動的な観察である。 色だけでなく、形、左右差、の時間変化も情報になる。

視診という光学的測定

では、照明が光源、皮膚・粘膜が試料、眼が検出器に相当する。観察される色は物質固有の吸収だけでなく、光源のスペクトル、組織内散乱、表面反射、観察角度によって決まる。したがって「見えた色」をそのまま単一物質の濃度へ置き換えることはできない。

色の知覚は、眼へ届いた複数波長の相対的な強度から成立する。明るさと色温度の異なる照明では同じ皮膚でも見え方が変わるため、十分で均一な白色光と左右を比較できる条件を整える。

色調変化を生む吸収

均一溶液の理想近似ではランベルト・ベールの法則が成り立つ。

A=εclA=\varepsilon c l

AA ε\varepsilon、濃度 cc ll に比例する。が増えると血液のが変化し、皮膚・粘膜が青紫色に見えるチアノーゼを生じうる。ビリルビンの増加は短波長側の光をより吸収し、黄疸の黄色調につながる。

ただし皮膚は散乱の強い不均一組織であり、式をそのまま定量に使うことはできない。皮膚色素、皮下組織厚、末梢循環、も信号へ重なる。どの波長が吸収されるかはから考える。

色と運動を観察する流れ

flowchart TD
  A["照明の光"] --> B["皮膚・粘膜へ入射"]
  B --> C["色素による波長選択的吸収"]
  B --> D["組織内散乱・表面反射"]
  C --> E["眼へ届くスペクトルと強度"]
  D --> E
  E --> F["色調・輪郭・時間変化として知覚"]
  F --> G["左右差や<span class='jp-term jp-term-diagram' title='evolution'>経時変化</span>と合わせて解釈"]

胸郭運動や呼吸様式は色素の吸収ではなく、輪郭と位置の時間変化として捉える。呼吸数、、左右非対称、の使用を正常なと比較すれば、の負担を外から推定できる。

所見を過大解釈しないために

  • チアノーゼは量に影響されるため、だけでなくや末梢循環にも左右される。
  • 黄疸は自然光に近い照明でなどを観察し、照明色による誤認を避ける。
  • 一回の色調より、部位差、左右差、時間変化、他の測定値との一致を重視する。

まとめ

  • は外部光が組織で変調されて眼へ届く受動的な光学測定である。
  • チアノーゼと黄疸は異なる吸収物質とスペクトル変化から生じる。
  • ランベルト・ベールの法則は吸収の方向性を説明するが、散乱性組織の肉眼所見を直接定量する式ではない。
  • 色に加えて胸郭運動の時間変化と左右差を観察する。