発生学

発生学 · 4.2

第2週(二層性胚盤):第9日

Second Week of Development — Day 9

🧠 第9日は「胚が子宮内膜にさらに埋没し、卵黄嚢の“仮の版”()ができる日」と覚える。 由来の壁側内胚葉がの内側へ広がり、(Heuser膜)を作っての境界を形成する。内のは融合してネットワーク状の陥凹を作り始め、後の母体―胎盤間の物質移送の場を準備する。1

着床部位の変化

は子宮内膜にさらに深く埋没していく。着床の際にできた子宮内膜表面の小さな欠損は、で覆われ、まだ完全には修復されていない(修復完了は第11〜12日ごろ、04-3-days-11-12参照)。

ハイポブラストからの外方性体腔膜

に由来する周辺部の壁側内胚葉がの内面に沿って広がり、栄養膜の内面を裏打ちする薄い(Heuser膜)を形成する。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoblast'>ハイポブラスト</span>由来の壁側内胚葉が<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='blastocele, blastocyst cavity'>胞胚腔</span>の内面へ広がる"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exocoelomic membrane'>外方性体腔膜</span>(Heuser膜)を形成"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exocoelomic membrane'>外方性体腔膜</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoblast'>ハイポブラスト</span>が囲む腔所<br>=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary yolk sac'>一次卵黄嚢</span>"]

この膜を境界として形成される一過性の腔所をと整理する。これはまだ「仮の」卵黄嚢で、後により小さな二次(定型)卵黄嚢に置き換わる(04-4-day-13参照)。歴史的には・などの用語が重なって使われてきたため、膜と腔を同義語として扱わない。1

⚠️ は最終的な卵黄嚢ではない点に注意。「 → 縮小・分離 → 二次(定型)卵黄嚢」という置き換えの流れは第13日(04-4-day-13)で完成する。

栄養膜の陥凹ネットワーク

内に出現していた(04-1-day-8)が互いに融合し、陥凹のネットワークを形成し始める。この陥凹は後にのと交通しての前身となるが、第9日に自由な母体動脈血流が確立したことを意味しない(04-3-days-11-12参照)。

💡 この時点ではまだ胚自身の血液循環は存在しない。初期の栄養供給では、自由な母体血流よりも子宮腺分泌による組織栄養性供給が重要である。の形成後は、そこに移された母体・胎盤由来成分をが取り込む経路も物質移送を支える。23

まとめ

  • 第9日、着床部位の子宮内膜欠損はまだで覆われた状態。
  • 由来の壁側内胚葉が(Heuser膜)を作り、の境界を形成する。
  • 内のが融合して陥凹ネットワークを作り始めるが、自由な母体動脈血流はまだ確立していない。
  • 胚自身の循環はまだなく、子宮腺分泌による組織栄養性供給と、その後の―卵黄嚢経路が重要となる。

出典

  1. 1.Origin and function of the yolk sac in primate embryogenesis(Nature Communications・2020)霊長類のハイポブラスト由来一次卵黄嚢が一過性で、二次卵黄嚢へ置換されること閲覧 2026-08-22
  2. 2.Uterine glands provide histiotrophic nutrition for the human fetus during the first trimester of pregnancy(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism・2002)第1三半期には自由な母体血流より子宮腺分泌による組織栄養性供給が重要で、二次卵黄嚢も移送に関与すること閲覧 2026-08-22
  3. 3.Fluid compartments of the embryonic environment(Human Reproduction Update・2000)胎外体腔が初期胚への物質移送界面・栄養貯蔵部となり、二次卵黄嚢が内容を取り込むこと閲覧 2026-08-22