発生学

発生学 · 11.2

体腔:漿膜と腸間膜

Body Cavities — Serous membranes & mesenteries

🧠 漿膜は体腔の内張り、腸間膜はその内張りが管を吊るすために2枚重なって伸びた“つり橋”と覚える。 は体壁を、は臓器を覆い、両者は連続している。は前腸の一部にしか残らないという非対称性(肝臓の発生と直結)が試験のポイント。

漿膜の基本構造

(11-1-intraembryonic-coelom)を裏打ちするは、体腔を覆う漿膜になる。

層 由来 覆う対象
体壁の内面(腹膜なら)
臓器の表面(腹膜なら)

とは互いに連続しており、その間の腔所(, serous cavity)には少量の漿液があり、臓器の動き(・心拍動・)の摩擦を減らす。

腸間膜の形成

(06-4-embryonic-folding)は、体腔の中に浮いているのではなく、腸間膜という二重の漿膜のひだで後方の体壁に吊り下げられている。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primitive gut tube'>原始腸管</span>が体腔内で体壁と連結"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dorsal mesentery'>背側腸間膜</span>:全長にわたり存在"]
  A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventral mesentery'>腹側腸間膜</span>:前腸の一部にのみ存在"]
  C --> D["肝臓が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventral mesentery'>腹側腸間膜</span>の中で発生し、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='falciform ligament'>鎌状間膜</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lesser omentum'>小網</span>に分化"]

背側腸間膜

の全長にわたって後方の体壁と腸管を連結する二重の漿膜。部位によって名称が変わる。

部位 名称
食道
胃 →伸長してを形成し、周囲の腸間膜・後腹壁との癒合で最終形態へ
小腸 腸間膜
結腸の一部

腹側腸間膜

前腸の下部(将来の胃下部〜十二指腸上部)にのみ存在する二重の漿膜で、に由来する・の構造として隔の間葉と連続する。1 このの中に肝臓のが発生し、肝臓の成長に伴いは次の2つの構造に分かれる。

由来部分 分化する構造
肝臓と腹壁の間 (内部にの遺残=が通る)
肝臓と胃・十二指腸の間 (・肝胃間膜)

⭐ 「は前腸の一部にしか存在しない」という非対称性は超頻出。これは肝臓がの中で発生するために特別に必要とされる構造だからで、・には自体が最初から存在しない(したがって小腸・大腸はだけで吊られている)。

💡 胃の回転(14-2-foregut参照)との伸長はの形成に重要である。ただしは胃回転だけで新たに生じる袋ではなく、前腸周囲に先行して現れる4つの陥凹が連続し、胃・肝・膵・横隔膜など周辺構造の成長によって最終配置が整う。2

まとめ

  • 漿膜は(由来、体壁を覆う)と(由来、臓器を覆う)からなり互いに連続する。
  • 腸間膜はを体壁に吊るす二重の漿膜。は全長に存在し、は前腸下部にのみ存在する。
  • も中胚葉性で隔の間葉と連続し、その中で肝臓が発生して・に分化する。
  • 形成にはの伸長と周囲組織との癒合が、形成には前腸周囲の複数の陥凹と周辺臓器の成長が関与する。

出典

  1. 1.The lateral plate mesoderm(Development・2020)側板中胚葉は体壁側・臓側の系列へ組織化され、体腔とその被覆組織の発生基盤になる閲覧 2026-08-22
  2. 2.Three-dimensional morphogenesis of the omental bursa from four recesses in staged human embryos(Journal of Anatomy・2020)網嚢は胃回転だけで生じるのではなく、先行する4つの陥凹が連続して形成される閲覧 2026-08-22