Embryology

Embryology · 2.5

配偶子形成:異常

Gametogenesis — Abnormalities

🧠 の異常は「染色体の数」の異常と「染色体の構造」の異常に大別する。 数の異常の主犯は減数分裂でので、これが第1分裂で起きるか第2分裂で起きるかで生じる配偶子の組成が変わる。母体年齢が上がるほどのリスクが上がるのは、で数十年停止し続けること(02-4-oogenesis)と関連づけて理解する。

染色体不分離

とは、減数分裂(または稀に体)で対になった染色体(または)が正しく分離せず、同じ細胞へ一緒に移動してしまう現象。結果として、一方の配偶子は染色体が1本多く、他方は1本少なくなる。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='first meiotic division (meiosis I)'>減数第1分裂</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-disjunction'>不分離</span>"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homologous chromosomes'>相同染色体</span>が分離せず同じ極へ<br>→ 生じる配偶子は全て<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aneuploidy'>異数性</span>(n+1 または n−1)"]
  C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='second meiotic division (meiosis II)'>減数第2分裂</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-disjunction'>不分離</span>"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sister chromatid'>姉妹染色分体</span>が分離せず同じ極へ<br>→ 生じる配偶子は一部のみ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aneuploidy'>異数性</span>(正常な配偶子も生じる)"]
  • での: 生じる4個の配偶子すべてが異常(2個が n+1、2個が n−1)。
  • での: 影響を受けるのは一部の配偶子のみ(正常な配偶子も一部生じる)。

母体年齢の上昇は、特にでののリスクを高めるの母体高齢との関連が代表例)。は出生前から排卵直前まで第1分裂で停止し続けるため、加齢とともに・染色体分離の精度が低下すると考えられている。

数的異常:異数性

の結果、正常な(2n=46)から1本多い・少ないが生じる。

染色体数 代表例
トリソミー 47本 )、18トリソミー(Edwards症候群)、13トリソミー(Patau症候群)
(2n−1) 45本 45,X(Turner症候群)※常染色体は致死的で流産に終わることが大半
47本など 47,XXY()、47,XXX、47,XYY

💡 常染色体のがほぼ致死的なのに対し、トリソミーは(21・18・13など一部を除き)多くが致死的で、生存例は限られた染色体に偏る。これはの不均衡に対する耐性の差による。X染色体は不活化(Barr小体形成)で量的補正が働くため、は比較的耐性が高い。

モザイク

受精後(形成後)の(有糸分裂)でのにより、1個体の中に染色体構成の異なる2種類以上の細胞集団が共存する状態。生殖細胞形成時のとは発生するタイミングが異なる点に注意(の異常ではなく、受精後の異常)。

構造的異常

染色体の一部が切断・再結合することで生じる異常。多くは減数分裂時の・交叉(02-2-chromosomes-cell-division)の異常を背景に生じる。

内容
転座 間で断片が入れ替わる。(表現型正常だが時にを生みうる)と(Robertsonian translocation:中部・端部染色体どうしの融合)が重要
欠失 染色体の一部が失われる(例:5p欠失=Cri-du-chat症候群)
重複 染色体の一部が重複する
染色体の一部が180度回転して再結合する
染色体の両端が失われ末端同士が融合し環状になる

⚠️ の保因者は表現型が正常なことが多いが、そのでは不均衡な組合せが生じやすく、習慣流産や転座をもつ児の出生リスクが上がる。原因不明のでは両親のが重要。

倍数性の異常

染色体数がセット単位(n)で異常に増える現象。2倍体(2n)でも1倍体(n)でもない。

  • (3n=69): 代表的な原因は(1個の卵に2個の精子が受精)。との関連が知られる。ほとんどがに終わる。
  • (tetraploidy, 4n=92): 稀。多くは初期に流産する。

まとめ

  • は減数分裂で染色体(またはその後の分裂で)が分離できず生じる。第1分裂でのは生じる配偶子全てが異常、第2分裂でのは一部のみ異常。
  • 母体年齢の上昇は特に第1分裂でのリスクを高め、トリソミー(21・18・13など)やの頻度に関与する。
  • モザイクは受精後の体でのにより生じ、時の異常とは区別する。
  • には転座(は保因者が正常表現型でも時に不均衡を生みうる)・欠失・重複・がある。
  • などで生じ、と関連する。