Forensic Medicine

Forensic Medicine · 14

損傷パターンと損傷の記録・記載

Injury patterns. Documentation of injuries and marks of injury

🧠 全体像:損傷の部位・向き・パターンを検討することで、・キック・咬傷・といった受傷動作を推定できる。は難解な医学用語で専門性を演出するのではなく、文章・・写真の3形式を組み合わせ、誰が読んでも解釈できる形で正確・明瞭に記録することが求められる。

損傷パターンから受傷動作を推定する

損傷の部位・向き・パターンを検討することで、受傷の原因について有用な手掛かりが得られることが多い。、キック、咬傷、・把持による損傷、は、それぞれ特徴的なパターンで識別できる。

動作 特徴
握りしによる力によって効果は変わるが、皮膚が骨に密着している部位(顔面・頭蓋)ほど視認できる損傷が生じやすい。結果として痕、、骨折を来し得る
キック・踏みつけ(kicking and stamping) 靴を履いた足・素足いずれでも生じる。と同様にあらゆる痕、など)が生じ得るが、既に転倒・などで無防備な相手に対してはより重篤化しやすい。靴底のパターンを反映した真皮内出血が残ることがあり、加害者の同定につながり得る。好発部位は顔面骨と肋骨
咬傷 通常は痕を伴い、強い力が加わればを伴うこともある。性的暴行、まれにスポーツの場でも認められる
襲撃・攻撃を受けた際に自らを守ろうとする正常な反射反応。多くの場合、頭部・顔面を守るために手・腕を上げて武器をつかむ・かわそうとする過程で、損傷を負いながらも被害を軽減しようとする

損傷の記録・記載の原則

  • をはじめとする医療専門職には、報告書や供述に専門性・専門知識の印象を与えるため、難解な医学用語を用いたくなる誘惑が常につきまとう
  • しかしこのアプローチは、同僚がその記載を解釈する上でも、法廷にとっても、併せて平易な説明が示されない限り有用ではないことが多い
  • 法医病理医は、警察、者、、家族などあらゆる情報源を活用し、何が致死的損傷の原因となり得るか(あるいはなり得ないか)を判断する必要がある
  • 生存している負傷者を診る法医のは、本人から直接病歴を聴取できる場合がある

聴取すべき病歴の要素

が可能な場合、以下のような要素の関連性を検討する。

  • 受傷時刻
  • 治療の有無
  • 既往疾患
  • 常用薬
  • 被害者・加害者双方の利き手
  • 薬物・アルコールの使用
  • 使用された凶器
  • 着用していた衣服

これらの情報は容易に得られるはずであり、診療録に記録しておくべきである。

各損傷について記録すべき特性

可能な限り、各損傷について以下の特性を記録する。

  • 部位、疼痛、圧痛、可動域制限
  • 種類、大きさ、形、色
  • 向き(orientation)
  • 受傷からの
  • 利き手
  • 受傷時刻、損傷の推移

記録の3形式

flowchart TD
    A["臨床現場での損傷記録"] --> B["1. 文章による記録"]
    A --> C["2. 手描きの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='body diagram'>身体図</span>"]
    A --> D["3. デジタル画像(写真)"]
    B --> E["3形式の組み合わせにより、後日の適切な解釈の機会を最大化する"]
    C --> E
    D --> E

診療記録に求められる原則

いかなる臨床記録も、以下を満たすべきである。

  • 適切な病歴を記録する
  • すべての所見(陽性・陰性いずれも)を正確かつ明瞭に記録する
  • 判読可能な字で記録する
  • 所見を明確に要約する
  • 一貫した用語を用いる
  • 自身の経験の範囲内で解釈する

まとめ

  • ・キック・咬傷・はそれぞれ特徴的な損傷パターンを持ち、部位・向き・パターンの検討から受傷動作を推定できる。
  • は難解な医学用語に頼るのではなく、受傷時刻・治療歴・既往・利き手・凶器・衣服などの関連情報とともに、平易かつ一貫した用語で記録する。
  • 損傷の記録は文章・・写真の3形式を組み合わせることで、後日の適切な解釈の機会を最大化できる。