組織病理学

組織病理学 · H2-022

ニューモシスチス肺炎(Grocott染色)

Pneumocystis pneumonia (Grocott)

描出疾患
ニューモシスチス肺炎

🧠 全体像:PCPのでは、肺胞内の泡沫状滲出物に混じるPneumocystis jiroveciiの嚢子壁が黒色に染まり、円形、楕円形、、つぶれた杯状にみえる。菌糸を形成するとは形態が異なる。

Grocott染色の要点

観察点 所見
分布 内の泡沫状滲出物中に
色調 嚢子壁が黒色
形 円形から楕円形、杯状・
大きさ 小型で比較的そろう
菌糸 形成しない
免疫状態により軽い間質炎から強い肺胞傷害まで変化
flowchart TD
    A["HE染色で泡沫状肺胞内滲出物"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Grocott methenamine silver stain'>Grocott染色</span>を追加"]
    B --> C["黒色の杯状・円形構造を検出"]
    C --> D["Pneumocystisを支持"]
    D --> E["免疫染色または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polymerase chain reaction'>PCR</span>で補強"]
    E --> F["症状・画像・酸素化と統合"]
    F --> G["発症か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='asymptomatic carriage'>無症候性保菌</span>かを判断"]

検査法の比較

検査 限界
HE染色 肺胞傷害とを評価できる 菌体を見つけにくい
嚢子壁を明瞭に描出する は目立ちにくく、菌量が少ないと陰性になりうる1
・免疫染色 菌体の検出感度を高める 検体品質と試薬に依存する
高感度 保菌と発症の区別に菌量・が必要
補助診断に有用(感度94.8%) PCP特異的ではない(特異度86.3%)2

で黒く染まる小体を、や崩壊した細胞核と混同しない。Pneumocystisは通常の人工培地では培養できず、形態と分子検査の組み合わせが重要である。

💡 鏡検が陰性でも否定にならない数値。 免疫不全238例の前向き検討では、臨床・画像からPCPの可能性が高いとされた16例の21検体のうちは21件すべて陽性だったのに対し、鏡検で陽性となったのは16件にとどまった。一方、可能性が低い群でも35検体が陽性(0.1〜1840 TFEq/mL)で、これは定着とみなされた。発症と定着を分ける目安として120 TFEq/mLと1900 TFEq/mLの2つのが提案され、その間はグレーゾーンとされている1。菌量が少ない非免疫不全例ほど、だけでは取り逃がしやすい。

臨床へのつなぎ

PCPは感染、移植、、副腎皮質ステロイドを含む免疫抑制療法などで発症する。治療は・が第一選択であり、免疫不全の種類に応じて一次・を検討する3。HE染色での肺障害はPCPのHE染色を参照する。

まとめ

  • はPCPの嚢子壁を黒色の杯状・円形構造として描出する。
  • 菌糸は形成せず、Aspergillusなどの糸状菌と区別できる。
  • 陽性だけで発症と決めず、菌量、宿主背景、肺病変を統合する。

出典

  1. 1.Real-time PCR assay-based strategy for differentiation between active Pneumocystis jirovecii pneumonia and colonization in immunocompromised patients(Clinical Microbiology and Infection・2011)免疫不全238例の気管支肺胞洗浄液163件と誘発喀痰115件の前向き検討で、PCPの可能性が高い16例21検体は定量PCRで21件すべて陽性だったのに対し鏡検陽性は16件にとどまった。可能性が低い群でも35検体が定量PCR陽性(0.1〜1840 TFEq/mL)で定着を示唆し、発症と定着の判別に120 TFEq/mLと1900 TFEq/mLの2つのカットオフとその間のグレーゾーンが提案された閲覧 2026-08-24
  2. 2.Accuracy of β-D-glucan for the diagnosis of Pneumocystis jirovecii pneumonia: a meta-analysis(Clinical Microbiology and Infection・2013)14研究(PCP 357例、対照1723例)のメタ解析で血清(1→3)-β-D-グルカンの感度は94.8%(90.8〜97.1%)、特異度は86.3%(81.7〜89.9%)、陽性尤度比6.9・陰性尤度比0.06、HSROC曲線下面積0.965。感度は高いが特異度は劣り、単独では確定できない閲覧 2026-08-24
  3. 3.Pneumocystis Pneumonia: Adult and Adolescent Opportunistic Infections Guidelines(National Institutes of Health・2026)HIV関連ニューモシスチス肺炎の治療期間、補助ステロイド、一次予防、抗レトロウイルス療法開始時期閲覧 2026-08-02