Histopathology

Histopathology · H1-017

肝腫瘍の中心壊死(肉眼標本)

Necrosis tumoris

🧠 全体像は、増殖する腫瘍が不完全な腫瘍血管からの灌流を上回り、腫瘤中心部がに陥った状態である。肝標本では「多発する腫瘤」「生きた腫瘍の周辺部」「淡黄褐色の」「出血」を分けて読む。

標本の要点

項目 所見
臓器 肝臓
標本 固定された肝切面の肉眼標本
病変 多発性腫瘍結節と
腫瘍周辺 比較的均一な灰白色から淡褐色の
腫瘍中心 淡黄褐色の壊死と赤褐色の出血
注意点 多発性だけでは転移癌とを確定できない

発症機序

flowchart TD
    A["腫瘍細胞が急速に増殖"] --> B["異常で不均一な腫瘍血管を形成"]
    B --> C["中心部への酸素・栄養供給が不足"]
    C --> D["腫瘤中心部の虚血"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='comedo necrosis'>中心壊死</span>"]
    B --> F["脆弱な血管が破綻"]
    F --> G["腫瘍内出血"]

腫瘍壊死は「血管新生が速すぎるから」ではなく、が不規則で機能不全な血管網の供給能力を上回るために生じる。壊死の形は腫瘍の種類、治療歴、感染の有無などでも変わる。

肉眼標本の読み方

1.結節数と分布を確認する

の円形腫瘤が内に多発している。多発性・境界明瞭な結節はを示唆するが、多中心性または転移を伴うも多発しうる。

2.周辺部と中心部を分ける

  • 腫瘤周辺のは、生存する腫瘍細胞が多い領域である。
  • 中心の淡黄褐色部は壊死を示唆する。
  • 赤褐色から黒褐色の部分は腫瘍内出血を示唆する。
  • 壊死部と生存部の境界は不規則で、各結節で程度が異なる。

3.背景肝を観察する

背景肝に肝硬変性結節があるかを確認する。肝硬変はを支持する背景になるが、肉眼像だけで原発臓器や組織型を断定しない。

⚠️ 「多発結節=転移癌」「肝の腫瘍=」という二つの短絡を避ける。原発性か転移性かは、組織像、、画像、既往歴を統合して判断する。

鑑別

病変 鑑別点
多発性・の境界明瞭な結節が多く、を伴いやすい
多発性 肝硬変を背景としうるが、非硬変肝にも発生する
液状の膿性内容をもち、感染・が主体
びまん性肝硬変構築の一部で、を伴う大型腫瘤とは異なる
治療後腫瘍 塞栓術・・薬物療法後には広範な壊死を生じうる

組織像で確認する点

肉眼的なかは、組織像で確かめる。生存部から壊死部へ移る境界、腫瘍細胞の配列、血管侵襲、背景肝の線維化を評価し、必要に応じてで組織型を決める。

まとめ

  • 肝腫瘍のは、が不完全な血流供給を上回ることで生じる。
  • 多発腫瘤では、生存する周辺部、淡黄褐色の壊死、赤褐色の出血を分けて観察する。
  • 多発性は転移癌を示唆するが、それだけで原発性・転移性を確定できない。
  • 最終診断には組織像、、画像、臨床情報が必要である。