Histopathology

Histopathology · H1-020

心筋脂肪浸潤(HE染色)

Fatty infiltration of the myocardium (HE)

疾患
脂肪腫

🧠 全体像は、の脂肪組織が心の間へ入り込む所見で、右室壁に目立ちやすい。脂質が内へ蓄積する「脂肪変性」とは異なり、成熟として存在することが最大の識別点である。

標本の要点

項目 所見
臓器 心臓、
染色 染色(hematoxylin and eosin stain:HE)
脂肪から心間へ連続する成熟
心筋 好酸性に染まる束が脂肪組織で隔てられる
脂肪の位置 内ではなく、細胞外の成熟
標本内の構造 心内膜、右室心筋、浸潤脂肪、脂肪

成り立ちと病的意義

脂肪は正常でも存在する。加齢や肥満に伴って脂肪が増え、心の間へ入り込むことがある一方、線維化を伴う脂肪置換は後や不整脈原性右室心筋症などでも生じうる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subepicardium'>心外膜下</span>脂肪組織"] --> B["右室壁の心<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fascicle'>筋束</span>間へ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adipocyte'>脂肪細胞</span>が進展"]
    B --> C["心<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fascicle'>筋束</span>が脂肪組織で隔てられる"]
    C --> D["高度・広範または線維化を伴う場合<br>伝導の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heterogeneity'>不均一性</span>が増す可能性"]
    D --> E["原因疾患に応じて不整脈リスクを評価"]

⚠️ 脂肪が見えるだけでや不整脈の原因と断定しない。 孤立性の脂肪浸潤はになりうる。や重篤な不整脈の危険性は、脂肪の量だけでなく、線維化、の脱落、炎症、壁菲薄化、基礎疾患を含めて判断する。

観察の順序

低倍率

  1. 心内膜側とを同定し、その間にある右室心筋壁の厚さをする。
  2. の広い脂肪組織から、が心間へ連続して入り込む分布を見る。
  3. 心筋壁が脂肪で完全に置換されているのか、心が十分残っているのかを確認する。
  4. 線維化、炎症、脱落、壁菲薄化の有無を探す。

高倍率

観察部位 読み方
成熟 大きな状細胞が並び、薄い細胞質と辺縁へ押された核を示す。通常の切片では脂質が溶出して白く見える
好酸性の細長い細胞質をもち、中央に核を置く。とは独立した細胞集団である
浸潤境界 の間にが入り込み、を島状・に隔てる
脂肪 心筋外側の脂肪組織で、浸潤脂肪とのが読みやすい
心内膜 側の薄い被覆層で、標本の向きを決める目印になる

💡 各領域の面積や周長そのものはではない。では分布、の残存、線維化の有無が重要である。

鑑別

病変 鑑別点
の脂肪変性 内に蓄積する。成熟間へ進展する像とは異なる
生理的な脂肪 心筋外側に限局し、深部への明らかな進展が乏しい
右室優位の心筋脱落と線維脂肪性置換を示す。臨床像、画像、心電図、遺伝学的所見を組み合わせる
の脂肪性化生 既存の内に脂肪組織を認め、虚血性傷害の分布を伴う
心臓 境界明瞭な腫瘤を形成し、びまん性に間へ入り込む脂肪浸潤とは異なる

まとめ

  • では、成熟から右室心間へ入り込む。
  • 脂肪は内ではなく、独立した内に存在する。
  • 低倍率では心内膜・右室壁・脂肪の位置関係、高倍率では成熟と残存心筋を確認する。
  • 脂肪浸潤単独でや不整脈を断定せず、線維化や心筋脱落、基礎疾患を評価する。