Histopathology

Histopathology · H2-017

多発性骨髄腫(肋骨)

Myeloma multiplex – ribs

描出疾患
多発性骨髄腫

🧠 全体像(multiple myeloma)は、が増殖し、単クローン性免疫グロブリンと臓器障害を生じる全身性の形質細胞腫瘍である。肋骨の多発性は、腫瘍細胞による破骨細胞活性化と骨芽細胞抑制を反映する。

肋骨病変の読み方

2本の肋骨に複数の小さながみられる場合、形質細胞腫よりも全身性骨髄腫の多発性に合う。

観察点 病理学的意味
多発する小さな 骨髄腫に典型的な打ち抜き状の
病変周囲のが乏しい に対する反応性骨形成が弱い
の破壊 腫瘍性形質細胞の増殖と破骨細胞活性化
・圧痛 や微小骨折を反映
荷重に耐えられないほど骨強度が低下した状態
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clonal plasma cells'>クローン性形質細胞</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Intraosseous'>骨髄内</span>増殖"] --> B["RANKLなどの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone resorption'>骨吸収</span>促進シグナル"]
    B --> C["破骨細胞活性化"]
    A --> D["骨芽細胞機能抑制"]
    C --> E["局所的な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone resorption'>骨吸収</span>"]
    D --> E
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteolytic lesion'>溶骨性病変</span>"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone pain'>骨痛</span>・高Ca血症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pathologic fracture'>病的骨折</span>"]

腫瘍生物学

腫瘍性形質細胞は、完全な免疫グロブリンまたはを単クローン性に産生する。腫瘍の一部ではを巻き込む転座がみられ、代表例はt(11;14)による CCND1、t(4;14)による FGFR3NSD2、t(6;14)による CCND3 の制御異常である。共通する結果は経路の活性化だが、すべての症例が同じ転座を持つわけではない。

全身への影響

機序 主な転帰
骨髄置換 、血小板減少、正常白血球産生低下
正常免疫グロブリン抑制 反復する細菌感染
の過剰
単クローン性軽鎖沈着 AL、単クローン性免疫グロブリン沈着症
高Ca血症、脱水、腎障害の増悪

腎障害をだけで説明しない。骨髄腫ではが重要であり、高Ca血症、脱水、感染、薬剤、などが重なりうる。

診断の位置づけ

形態だけで、くすぶり型骨髄腫、活動性骨髄腫を区別できない。骨髄中の、血清・尿M蛋白、、画像所見、を統合する。活動性骨髄腫の現行診断は、臓器障害を示すCRABと高進展リスクのを含むSLiM-CRABに基づく。詳しい基準と骨髄像は H2-013: で確認する。

まとめ

  • 肋骨の多発性は、破骨細胞活性化と骨芽細胞抑制の組み合わせで生じる。
  • M蛋白は腫瘍性形質細胞が産生し、骨髄抑制、免疫不全、腎障害を伴いうる。
  • 溶骨像だけで活動性骨髄腫を確定せず、骨髄、蛋白検査、画像、SLiM-CRABを統合する。