Medical Microbiology

Medical Microbiology · 3/25

ロタ・カリシ・アストロウイルス

Rota-, Calici- and Astroviruses

応用トピック
主な感染性腸炎
微生物
Mamastrovirus 1–19NorovirusRotavirus A–J
疾患
ウイルス性胃腸炎

🧠 この3科は「感染で水様性下痢を起こす裸(naked)ウイルス三兄弟」として、年齢層・季節性・重症度の違いで鑑別する。 Rotavirus乳幼児冬季に重症胃腸炎を起こす世界的第1位の原因、Norovirus(Calicivirus科)は全年齢通年で襲うクルーズ船の主役、免疫弱者(乳幼児・高齢者)発展途上国で目立つ——いずれもエンベロープを持たない(naked)ため環境中で安定し、こそが最強のになる。

構造・分類

項目 Rotavirus Calicivirus(Norovirus
ゲノム の二本鎖RNA(dsRNA)——dsRNAウイルスで唯一 ssRNA ssRNA
エンベロープ なし(naked) なし(naked) なし(naked)
対称性
(“REO”=Respiratory Enteric Orphan) Astroviridae科
分節数 10〜12分節
特徴的構造 二重蛋白殻( 1本の長鎖ポリタンパクを産生しウイルスプロテアーゼで切断・活性化
血清型 9種(A〜I)——ヒト感染はA・B・Cが主 Norovirus(別名Norwalk virus)が臨床的に最重要
リザーバー ヒトの消化管

伝播・病原性

ウイルス 伝播経路 特記事項
Rotavirus 感染(冬季に多い) 乳幼児(保育施設)が特にハイリスク
Norovirus 感染(食品・水の汚染、例:)、 感染成立に必要なウイルス粒子数が約10個と極めて少ない
感染
  • Rotavirus: )に感染・複製しを起こす
  • Norovirus: A・B・O式に結合し、小腸で複製・を起こす(組織学的には確認されにくい)

臨床像

ロタウイルス胃腸炎

  • 小児における重症胃腸炎の世界的第1位の原因
  • NSP4蛋白)が塩化物イオン透過性を亢進させを妨げ、水様性下痢を来す
  • 脱水が重篤な合併症であり死因となりうる

ノロウイルス急性胃腸炎

  • 非細菌性胃腸炎の最多原因(全年齢層に影響)
  • クルーズ船・保育施設・レストラン・学校でのと関連
  • 通年発生(Rotavirusと異なり冬季に限らない)
  • 潜伏期2日後に発症:水様性・非炎症性の下痢(爆発的!膿や血液は伴わない)悪心・嘔吐

アストロウイルス感染症

  • 免疫力の低い人(乳幼児・小児・高齢者)が罹患しやすい
  • 発展途上国で多い
  • 水様性下痢が2〜3日間持続
flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fecal-oral'>糞口</span>感染<br>(naked virus)"] --> B["Rotavirus:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enterocyte'>腸細胞</span>感染・融解<br>NSP4↑Cl⁻透過性"]
  A --> C["Norovirus:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood group antigen'>血液型抗原</span>に結合<br>小腸<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enterocyte'>腸細胞</span>融解"]
  A --> D["Astrovirus:腸管感染"]
  B --> E["水様性下痢・重度脱水<br>(乳幼児に好発・冬季)"]
  C --> F["爆発的水様性下痢<br>(全年齢・通年)"]
  D --> G["水様性下痢2-3日<br>(乳幼児・高齢者)"]

💡 NSP4は「毒素で下痢を起こす」珍しいである。 (ETECのLT/STなど)と同様に腸管イオン輸送を直接撹乱する機序を持つ点がRotavirusの病原性の核心——単なるだけでなく能動的なの誘導が特徴。

診断

ウイルス 検査
Rotavirus ELISA(便検体、感染後2〜5日でが最大)、便材料での
Norovirus 血清学、
ELISA、RT-PCR

治療・予防

  • 治療: いずれも対症療法が中心

    • Rotavirus:補液電解質バランスの是正
    • Norovirus:自然軽快(症状は約3日間持続)
    • :対症療法
  • 予防:

    • を乳幼児に与える——を含み抗Rotavirus効果が期待される
    • Rotavirusワクチン(弱毒生・経口)が2種類されている
ワクチン 略称 接種スケジュール
RotaTeq RV5 3回接種(生後2・4・6か月)
Rotarix RV1 2回接種(生後2・4か月)

⚠️ Rotavirusワクチンの初回接種は生後15週0日(14週6日まで)を過ぎると開始できない。 全接種は生後8か月0日までに完了する必要がある。(腸管の一部が隣接する腸管内へ滑り込む病態)に関する安全性データが月齢の高い乳児では不十分なため、この年齢上限を過ぎての接種開始は推奨されない。

  • による機械的なウイルス除去(naked virusは環境中で安定なため、アルコール消毒よりも流水と石鹸による洗浄が有効)

まとめ

  • Rotavirus(Reoviridae科・二本鎖RNA・唯一のdsRNAウイルス)は乳幼児の重症胃腸炎の世界的第1位原因で、NSP4毒素により水様性下痢・脱水を起こす。RotaTeq・Rotarixという2種の経口があるが、生後3か月以前の接種開始が必須(リスク回避)。
  • Norovirus(Calicivirus科)は非細菌性胃腸炎の最多原因で、全年齢・通年で爆発的な水様性下痢を起こし、クルーズ船などの集団で有名。
  • Astrovirusは免疫弱者(乳幼児・高齢者)に多く、発展途上国で目立つ2〜3日の水様性下痢を起こす。
  • いずれも感染するnaked virusで、治療は対症療法(補液・)が中心。
  • 予防の要は(流水と石鹸による機械的除去)——naked virusはアルコール抵抗性が高いため。