Traumatology

Traumatology · 18

成人前腕骨折の治療

Treatment of forearm fractures in adults

前提:正常
上肢:前腕総論:筋学総論

🧠 全体像:橈骨とは、近位・を介して一つの回旋ユニットとして働く。成人前腕骨折では骨癒合だけでなく橈骨弯曲、長さ、回旋配列を正確に戻す必要がある。骨折部だけを見ず、肘と手関節を含む画像でMonteggia・Galeazzi損傷を必ず探す。

初期評価

  • 変形、、腫脹、を確認し、整復前後に血流と橈骨・正中・を記録する。
  • 前腕正面・側面X線は肘関節と手関節を完全に含める。
  • 橈骨頭の整列、の開大・骨折を確認する。
  • 強い疼痛、伸展痛、では前腕を疑い、臨床的に切迫すれば圧測定のためにを遅らせない。

骨折型と治療

損傷 特徴 成人の基本治療
直接が多い 転位50%未満・角状10°未満で安定し、近位・損傷を伴わなければ、それ以外はORIFを考慮1
孤立性橈骨骨折 回旋と橈骨弯曲が損なわれる 多くは。DRUJも評価
骨両骨骨折 不安定で回旋障害を来しやすい 健康な成人では通常プレート固定
Monteggia骨折 近位部骨折・変形+橈骨頭 を解剖学的にし、橈骨頭整復を確認
Galeazzi骨折 橈骨遠位骨折+DRUJ損傷 橈骨ORIF後にDRUJ安定性を評価し、必要時固定

孤立性尺骨骨折

安定した低転位骨折は、短期間のから機能的またはへ移行する。固定期間は疼痛、安定性、画像所見に応じて調整しながら臨床・画像で癒合を追う。近位・の損傷がないことが前提である。1 開放、高度転位、短縮、角状変形、不安定性、保存治療で転位する例はプレート固定を行う。

両骨骨幹部骨折

成人では回旋機能を回復するため、両骨を解剖学的に整復して固定することが基本で、通常は別々のアプローチによるプレート固定を用いる。症例により連結型などが選択されることもある。2 長さ、回旋、橈骨弯曲、骨間隙を再建し、橈骨・の癒合を確認する。

「成人なら必ず手術」には、手術に耐えられない全身状態など例外がある。開放骨折では早期抗菌薬、と軟部組織管理を加える。

Monteggia骨折脱臼

の長さと角度を解剖学的に整復・固定すると、橈骨頭はすることが多い。整復しなければ輪状や軟部組織介在を検索する。見逃すと慢性橈骨頭、肘痛、回旋制限、神経障害を来す。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ulna'>尺骨</span>近位部骨折を認める"] --> B["肘を含む画像で橈骨頭を確認"]
    B --> C["Monteggia損傷"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ulna'>尺骨</span>の長さ・角度・回旋をORIF"]
    D --> E["橈骨頭が整復・安定したか確認"]
    E -->|"安定"| F["早期運動へ"]
    E -->|"不安定/非整復"| G["軟部組織介在・固定不良を再評価"]

Galeazzi骨折脱臼

橈骨を解剖学的にプレート固定した後、前腕外でDRUJの安定性を確認する。安定なら保護固定し、不安定なら最も安定する前腕で保護する。明らかな不安定性があれば頭を一時的にK-wire固定し、三角複合体などの修復を検討する。3 橈骨固定前にDRUJだけを治そうとしない。

術後管理と合併症

固定が安定すれば肘・手関節・前腕回旋を早期に開始し、骨癒合までは重量物を避ける。

合併症 要点
強い疼痛と伸展痛を重視し、
偽関節・変形癒合 感染、、固定、喫煙を評価。橈骨弯曲・回旋変形は機能障害が大きい
骨癒合 骨間隙の骨化で回旋を失う。頻度は高くないができず、両骨への同一切開や骨片混入を避ける4
神経損傷 などを受傷時・術後で比較し、と回復を追う。術後にも一定頻度で生じる4
感染 特に開放骨折でと安定固定を徹底する

まとめ

  • 成人前腕は「2本の骨+2つの関節+」の機能単位として考える。
  • X線は必ず肘と手関節を含め、Monteggia・Galeazzi損傷を除外する。
  • 両骨骨折では長さ、回旋、橈骨弯曲を解剖学的に再建する。
  • 強い疼痛・伸展痛ではを最優先する。

出典

  1. 1.Management of isolated ulnar shaft fractures(Hand Clinics・2007)孤立性尺骨骨幹部骨折の不安定性は転位50%超または角状変形10°超を目安とし橈尺関節損傷も評価すること閲覧 2026-08-09
  2. 2.Intramedullary nail fixation versus open reduction and internal fixation for treatment of adult diaphyseal forearm fractures: a systematic review and meta-analysis(Journal of Orthopaedic Surgery and Research・2024)成人前腕骨幹部骨折ではプレート固定が標準だが連結型髄内釘も選択肢となり得ること閲覧 2026-08-09
  3. 3.Galeazzi fracture-dislocation: a new treatment-oriented classification(The Journal of Hand Surgery・2001)Galeazzi損傷では橈骨固定後にDRUJ安定性を評価し不安定例は安定する肢位での保護や追加固定を要すること閲覧 2026-08-09
  4. 4.Both-Bone Forearm Shaft Fractures Treated with Compression Plate Fixation in Adults: A Systematic Review on Adverse Events and Outcomes(JB & JS Open Access・2024)成人両骨前腕骨折のプレート固定後には神経障害や橈尺骨癒合を含む有害事象を監視すること閲覧 2026-08-09