Traumatology

Traumatology · 17

肘頭骨折の診断と治療

Diagnosis and treatment of olecranon fractures

前提:正常
上肢:肘と肘窩

🧠 全体像近位部の関節面であると同時にの付着部である。したがって骨折では、関節面の転位だけでなく伸展機構が保たれているか、肘関節が安定しているか、皮膚が切迫していないかを評価する。治療後は再転位を避けつつ、肘を防ぐ早期運動が鍵となる。

診断

後方への直接、転倒時の牽引、に伴って生じる。肘後面の疼痛、腫脹、皮下出血、圧痛、骨性を認める。

  • 自動伸展が可能か確認する。疼痛だけでも伸展しにくいため、骨折間隙とを合わせて解釈する。
  • と薄い肘後面皮膚の切迫を確認する。
  • を含む運動・感覚と末梢血流を記録する。
  • 肘正面・側面X線で転位、、関節適合性、橈骨頭・の併存損傷を確認する。複雑骨折ではCTを追加する。

Mayo分類

特徴 基本方針
I 非転位または軽度転位、肘関節安定 保存治療
II 転位あり、肘関節は安定 多くは
III 転位に肘関節不安定性を伴う 安定性を再建する手術

各型をA:非、B:に分ける。

治療選択

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='olecranon'>肘頭</span>骨折"] --> B["開放・皮膚切迫・神経血管障害"]
    B -->|"あり"| C["緊急処置と手術評価"]
    B -->|"なし"| D["転位・伸展機構・肘安定性"]
    D --> E["安定した非転位+伸展保持"]
    E --> F["短期固定+早期運動+再画像"]
    D --> G["転位・伸展破綻・不安定性"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal fixation'>内固定</span>"]
    D --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoactive'>低活動</span>・高齢で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surgical risk'>手術リスク</span>大"]
    I --> J["転位例でも保存治療を個別検討"]

保存治療

安定した非転位骨折で伸展機構が保たれる場合、上腕まで含むで保存治療を行う。固定と期間は疼痛、安定性、再転位リスクに応じて調整し、早期に再画像を行って、許せばへ移行する。1

高齢・性で手術が高い患者では、転位があっても実用的伸展が得られ、X線上の非癒合が残っても機能的に許容される場合があるため、本人の目標に応じて保存治療を選べる。2 単純な「2 mm超なら全例手術」とはしない。

手術治療

適応

  • 開放骨折、皮膚切迫
  • 伸展機構の破綻
  • 関節不安定性、骨折
  • 活動性の高い患者の明らかな転位・関節不適合
  • 保存治療での再転位

固定法

方法 主な適応・特徴
単純なの選択肢で、牽引を圧迫力へ変換するが、金属刺激やが比較的多い3
プレート固定 、遠位へ伸びる骨折、、不安定骨折に適する
選択された単純骨折で軟部組織刺激を減らし得るが、適応と長期成績のエビデンスは限定的1
骨片切除+再付着 再建不能な小さな近位骨片をもつ高齢者などに限定する

術後・合併症

創と固定の安定性が許せば早期に肘の屈伸を開始する。強い抵抗下伸展と荷重は骨癒合まで避ける。競技・重労働への完全復帰は骨折型と治療により異なるが、概ね6〜12週以降に画像上の癒合と筋力を確認して段階的に進める。

最も多い問題は皮下に突出する金属による刺激で、を要することがあり、とくにで多い。3 ほかに肘、感染、偽関節、障害、がある。可動域だけでなく、疼痛と日常生活で必要な伸展力を追跡する。

まとめ

  • 転位量、伸展機構、肘安定性、皮膚を一緒に評価する。
  • 安定した非転位骨折は短期固定と早期運動で治療できる。
  • 単純ではテンションバンド、プレートなどを個別に選び、・不安定骨折ではプレートを基本とする。
  • 高齢者では、転位のみを理由に手術を必須とせず機能目標とで決める。

出典

  1. 1.Plate Versus Tension-Band Wire Fixation for Olecranon Fractures: A Prospective Randomized Trial(The Journal of Bone and Joint Surgery・2017)単純転位肘頭骨折の機能成績はプレートとテンションバンドで同程度だが再手術はテンションバンドで多いこと閲覧 2026-08-09
  2. 2.Retrospective comparison of conservative treatment and surgery for widely displaced olecranon fractures in low-demanding geriatric patients(Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery・2022)低活動高齢者の転位肘頭骨折では非癒合が残っても保存治療で実用機能を得られる場合があること閲覧 2026-08-09
  3. 3.The treatment of olecranon fractures in adults(Musculoskeletal Surgery・2017)肘頭骨折の保存固定と固定法選択にはばらつきがあり骨折安定性に応じて個別化すること閲覧 2026-08-09