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Disease Atlas · 運動器 · 疾患

変形性関節症

Osteoarthritis

別名
OA
臓器系
運動器
科目
PathologyInternal MedicineRehabilitation
トピック
病理学 C/94:変性性・炎症性関節疾患内科学 S-49:変形性関節症・関節症・線維筋痛症リハビリテーション 06:整形外科疾患・外傷のリハビリテーション:変形性関節症・多発外傷・人工股関節
鑑別疾患
乾癬性関節炎関節リウマチ骨粗鬆症線維筋痛症痛風
治療薬
ジクロフェナクパラセタモールデュロキセチンアセクロフェナクセレコキシブメロキシカム
症状
筋痙攣Trendelenburg徴候腫脹疼痛
原因となる疾患
Stickler症候群肥満症
適応薬
アセクロフェナク

🧠 全体像(OA)は、免疫が関節を攻撃する関節リウマチ(RA)やが関節に沈着する痛風とは異なり、加齢と機械的負荷の蓄積による関節全体(軟骨・・滑膜・・筋)の「」性疾患である。炎症は二次的・軽度にとどまり、使用で悪化し休息で軽快する痛み<30分という非炎症性パターンを示す。侵される関節も体重支持関節(膝・股関節)と酷使されやすい手指の第一関節(DIP・PIP・第1CMC)に偏り、手関節・MCPを好んで侵すRAとは分布が異なる。「機序( vs 自己免疫 vs 結晶沈着)× 関節分布 × こわばりの長さ」の3点セットで覚えると、関節痛の鑑別が素早くできる。

定義・分類

OAは最も頻度の高い関節疾患であり、単なる軟骨のすり減りではなく、軟骨・・滑膜・・関節周囲筋を含む「関節臓器」全体の疾患である。

  • 一次性OA:加齢とともに出現し、明らかな原因を同定できないもの。
  • 二次性OA:若年者に多く、以下と関連する。
    • 過去の外傷・反復負荷
    • 発生性の関節形態異常・関節アライメント不良
    • 著明な肥満
  • 性差のある分布:
    • 女性:膝・手指に多い。
    • 男性:股関節に多い。

💡 「arthrosis」はOAとほぼ同義の変性性関節疾患を指す語として文脈上用いられる。

病態生理・リスク因子

危険因子は加齢・肥満・外傷/反復負荷・関節アライメント不良・遺伝・先天的関節形態異常である。これらが複合して軟骨の恒常性を破綻させる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='genetic predisposition'>遺伝的素因</span>+加齢+機械的ストレス<br>(肥満・外傷・反復負荷・関節アライメント不良)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='articular cartilage'>関節軟骨</span>基質の水分増加<br>コラーゲン/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proteoglycan'>プロテオグリカン</span>低下"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chondrocytes'>軟骨細胞</span>のアポトーシス"]
    C --> D["軟骨軟化(軟らかく<span class='jp-term jp-term-diagram' title='granular'>顆粒状</span>の軟骨)"]
    D --> E["表層軟骨の線維化+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fissure'>亀裂</span>"]
    E --> F["軟骨の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='wear-and-tear'>摩耗</span>・消失<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='subchondral bone'>軟骨下骨</span>の露出・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='eburnation'>象牙質化</span>(eburnation)"]
    F --> G["炎症性・修復性変化"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteophyte'>骨棘</span>形成"]
    G --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subchondral sclerosis'>軟骨下骨硬化</span>+小骨折→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subchondral cyst'>軟骨下嚢胞</span>"]
    H --> J["疼痛・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='range of motion'>関節可動域</span>制限・関節不安定性"]
    I --> J
    J --> K["歩行・立位保持・睡眠能力の低下"]

⚠️ 脊椎では骨棘がに突出して神経根を圧迫し、の症状を来しうる。

臨床像・関節分布

50〜60歳代に好発する。症状はうずくような痛み(使用で増悪、休息で軽減)<30分可動域低下であり、関節腫大は骨性で軽度の貯留にとどまる。

部位 特徴
女性に多い、
股関節 男性に多い
手指(DIP・PIP・第1CMC) (骨棘によるDIPの腫脹)、(PIPの腫脹)、母指CMMCPは(MCP優位の関節炎はRAを疑う)
脊椎 骨棘による・萎縮・神経障害

(DIP)+(PIP)+骨棘++軟骨軟化+<30分はOAを特徴づける組み合わせとして頻出。

生活への影響として、歩行・立位保持能力の低下や疼痛による睡眠障害を来しうる。

診断・鑑別

典型例は臨床診断が可能であり、MRIや血液検査をルーチンに行う必要はない。(ESR・CRP)は通常正常である。

X線では非対称性の・骨棘・をみる。

項目 OA 炎症性関節炎
痛み 使用で増悪、休息で軽減 安静・夜間に強く、運動で改善し得る
通常<30分 しばしば1時間超
腫脹 骨性腫大、軽度の貯留 軟らかい、熱感
検査 は通常正常 疾患により上昇・自己抗体陽性

炎症性関節炎の中でもRAと痛風はOAとの鑑別で特に重要であり、機序・年齢・分布・結晶の有無で整理すると区別しやすい。

特徴 関節リウマチ 痛風
機序 ・軟骨変性 自己免疫性
好発年齢 50〜60歳代 40〜50歳代 中年男性
好発関節 DIP/PIP・膝・股関節 MCP/PIP・手関節(DIPは免れる) (podagra)・
こわばり <30分、朝 >1時間、朝 突然の激しい発作
分布 非対称 対称 単・
結晶 なし なし 針状、(平行時に黄色)
検査 正常 RF・抗CCP陽性、ESR上昇 尿酸値上昇
結節 Heberden(DIP)・Bouchard(PIP) リウマチ結節

⚠️ 発赤・熱感を伴う急速発症の単関節痛+発熱は、慢性の経過をとるOAとは矛盾する所見であり、化膿性(感染性)関節炎を疑って緊急の・培養・を検討すべきである。症は状を来さない骨密度低下の疾患であり、OAとはに併存しうる高齢者の骨格系疾患として鑑別に留意する。

治療

OAの治療は保存的治療を基本とし、段階的に薬物療法・手術療法を積み上げる

保存的治療

  • 患者教育・自己管理()プログラム運動療法・筋力強化・柔軟性訓練)、必要に応じた減量:いずれも強い推奨。
  • 太極拳:強い推奨。バランス運動:条件付き推奨。
  • ・杖・足などの補助具
  • 膝OAに対する下洗浄/は保存的治療の一環として行うべきではなく、ルーチンでは推奨されない。

薬物療法

flowchart TD
    A["OAの痛み・機能障害"] --> B["患者教育+自己管理プログラム<br>運動療法+必要に応じた減量"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='orthosis'>装具</span>・杖・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='physiotherapy'>理学療法</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='topical NSAID'>局所NSAID</span>(特に膝で第一選択)"]
    D --> E{"効果不十分"}
    E -->|"はい"| F["経口NSAID<br>(消化管・腎・心血管リスクを評価)"]
    F --> G{"なお疼痛・機能障害が持続"}
    G -->|"はい"| H["短期の関節内グルココルチコイド/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='duloxetine'>デュロキセチン</span>併用を選択例で検討"]
    H --> I{"重度の痛み・機能障害が持続"}
    I -->|"はい"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arthroplasty'>人工関節置換術</span>を評価"]
  • 局所(外用)NSAID:膝OAでは強く推奨される第一選択の。手指OAでは限られたエビデンスと手洗いによるの脱落という実務上の懸念から条件付き推奨にとどまる。
  • 経口NSAID(例:):膝・股関節・手指OAいずれにも強く推奨されるが、消化管・腎・心血管リスクを評価したうえで用いる。
  • :効果は小さく、単剤での長期使用は推奨されない条件付き推奨薬。NSAIDが使用できない患者の選択肢として位置づけられる。
  • の関与が疑われる難治性の痛みに対し、単独あるいはNSAIDとの併用で条件付きに推奨される。
  • 関節内グルココルチコイド:短期的な症状増悪時に選択例で行う。
  • グルコサミン・コンドロイチン:膝・股関節OAへの使用は強く非推奨。
  • :エビデンスが乏しく、膝・第1CMC関節では条件付き非推奨、股関節では強い非推奨とされる(ガイドラインにより見解が分かれる領域であり、個々の患者背景を踏まえたが必要)。
  • オピオイドはルーチンには推奨されず、他の治療で効果不十分な場合に限定して慎重に検討する。

手術療法・リハビリテーション

保存的治療で効果不十分な場合に外科的介入を検討する。

  1. 関節温存手術(軟部組織バランス調整術、〈arthrodesis〉、など):早期〜中等度の症例で検討する選択肢。
  2. :重度の疼痛・機能障害が保存的治療で改善しない末期関節に対する治療の中心。

💡 であるでは、術前にの指導のもとで運動療法を行うにより、術後の疼痛・機能的の改善が期待できる。これは同じ股関節の手術でも緊急手術を要することが多いの手術とは対照的な点であり、というOA由来のの特性を活かした介入といえる。術後のリハビリテーションは・荷重訓練・が両者に共通する基本原則である。

まとめ

  • OAは軟骨・・滑膜・・筋を含む関節臓器全体の変性疾患であり、加齢・肥満・外傷・が背景にある性の病態で、自己免疫(RA)や結晶沈着(痛風)とは機序が異なる。
  • 好発は膝・股関節・手指DIP/PIP・第1CMC・脊椎で、MCPを侵す場合はRAを疑う。使用で増悪する痛み・<30分という非炎症性パターンと、Heberden(DIP)・Bouchard(PIP)結節
  • 典型例は臨床診断可能で、MRI・血液検査のルーチン施行は不要。X線では非対称性・骨棘・軟骨下硬化・嚢胞をみる。発赤・熱感を伴う急性+発熱はを疑う
  • 治療は教育・運動療法・減量などの保存的治療が基本で、局所→経口NSAID、必要に応じた・短期関節内グルココルチコイドを積み上げ、グルコサミン・コンドロイチンは推奨しない。
  • 保存的治療で効果不十分な末期関節にはを検討する。であるではが可能な点が、緊急手術になりやすいとの実務上の違いである。