薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A19 Antidepressants / 抗うつ薬 · 必修

デュロキセチン

duloxetine

分類
Antidepressants / 抗うつ薬
商品名(日本)
サインバルタ
商品名(EU)
Cymbalta
科目
Pharmacology
トピック
A19: Monoamine reuptake inhibitors
副作用
悪心めまい不眠
相互作用
シプロフロキサシンモクロベミドワルファリン
対象疾患
気分障害(うつ病・双極性障害)線維筋痛症尿失禁不安症群(パニック症・全般不安症・恐怖症)変形性関節症

🧠 全体像はSNRIの中で低用量から最初にSERT・NETの両方をバランスよく阻害する設計になっており、のように高用量で初めてNET阻害が加わる「の二段階」を待つ必要がない。この特性が、うつ病だけでなく痛・といった痛み系の適応の広さに直結している。「痛みに効くSNRI」の代表格と考えると全体像がつかみやすい。

薬効群の中での位置づけ

SNRIはSERT・NETの阻害バランスとで使い分ける。

薬剤 NET阻害が加わる用量 主な強み
低用量から均衡して阻害 痛み系適応が広い(・線維筋痛・
高用量(>150 mg/日)で顕著化 低用量ではSSRI的に振る舞う
用量に関わらずNE優位寄り が少なく相互作用が少ない

痛みへの効果は「を待たない」ことの臨床的帰結。 (60 mg/日)で既にSERT・NETの両方を阻害しているため、)への効果が早期から得られる。これが痛・といった痛み系適応の広さにつながっている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='duloxetine'>デュロキセチン</span>がSERT・NETを阻害"] --> B["シナプス5-HT・NE濃度上昇"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dorsal horn'>脊髄後角</span>への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='descending pain inhibitory system'>下行性疼痛抑制系</span>(5-HT・NE)が増強"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuropathic pain'>神経障害痛</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibromyalgia'>線維筋痛症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic low back pain'>慢性腰痛</span>への鎮痛効果"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Prefrontal cortex'>前頭前野</span>・辺縁系の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monoamine'>モノアミン</span>伝達増加"]
    E --> F["抗うつ・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anxiolysis'>抗不安</span>効果"]
    B --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urethral sphincter'>尿道括約筋</span>のNE伝達増加(Onuf核を介する)"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stress urinary incontinence, SUI'>腹圧性尿失禁</span>の症状軽減(一部の国で承認)"]

薬物動態

項目 値・特徴
約50%(食事で吸収がやや遅延・減弱)
代謝 CYP1A2が主経路、CYP2D6も関与。
排泄 代謝物として
半減期 約12時間
肝機能の影響 肝機能低下・が大きく増加するため使用を避ける

CYP1A2代謝が相互作用の鍵。 CYP1A2の強力な阻害薬(など)と併用すると血中濃度が大きく上昇するため、併用は避けるか慎重に行う。

適応

領域 使いどころ
精神科 うつ病
疼痛 痛、などが関与する
泌尿器 (承認状況は国により異なり、保存療法がしない場合の選択肢)

用法・用量

うつ病・:1回30 mgを1週間投与後、1回60 mgへ増量する(1日1回)。:1回60 mgを1日1回。:1回30 mgから開始し1回60 mgへ増量する。最大用量は1日120 mgだが、うつ病では60 mgを超えても効果のは乏しいとされる。実際の用量は適応・肝腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌などMAO阻害薬との併用・前後14日以内(
  • 禁忌・回避(肝毒性のリスクが上昇するため)、コントロール不良の
  • ⚠️ 重度(CrCl<30 mL/分)では使用を避ける
  • ⚠️ ワルファリンとの併用でINRが上昇し出血リスクが増すことがあり、併用時は凝固能を監視する
  • ⚠️ 突然の中止は(めまい・)を招くためする
  • ⚠️ 25歳未満ではのリスクが増加しうる(抗うつ薬に共通するFDA black box warning)

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心(開始初期に多い)、口渇、不眠
注意 めまい、発汗、便秘
重篤・まれ 肝毒性、

まとめ

  • SNRI。低用量からSERT・NETをバランスよく阻害し、痛み系適応の広さが最大の特徴。
  • うつ病・に加え、痛・にも用いる。
  • CYP1A2が主代謝経路で、強力なCYP1A2阻害薬(など)との併用は避ける。
  • では肝が上がるため使用を避ける。
  • ワルファリンとの併用でINR上昇・出血リスク増加に注意。
  • 突然の中止でが必要。