内科学

内科学 · S-49

変形性関節症・関節症・線維筋痛症

Osteoarthritis, Arthrosis, and Fibromyalgia

前提:病態
変性性・炎症性関節疾患
前提:正常
痛覚の生理学。
疾患
筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群線維筋痛症変形性関節症変形性足関節症
症状
侵害可塑性疼痛慢性広範痛
スコア
AOFAS後足部スコアKellgren-Lawrence分類MOXFQ

🧠 全体像:は関節全体の構造・機能障害、はの増幅によるである。OAは局所の機械的関節痛、は多部位痛・疲労・睡眠・が中心で、や筋炎とは異なる。

変形性関節症

OAは軟骨だけでなく、、滑膜、、筋を含む関節臓器の疾患である。加齢、肥満、外傷・反復負荷、関節、遺伝、先天的形態がリスクとなる。「arthrosis」は多くの文脈でOAと同義のを指す。

項目 OA
痛み 使用で増悪、休息で軽減 安静・夜間に強く、運動で改善し得る
通常<30分 しばしば長い
腫脹 骨性腫大、軽度の 軟らかい、熱感
検査 は通常正常 疾患により上昇・自己抗体

好発は膝、股、手指DIP/PIP・第1CMC、脊椎で、MCPは典型的でない。X線では非対称性、骨棘、軟骨下硬化、嚢胞をみる。典型例は臨床診断でき、や血液検査をルーチンで行わない。

治療

flowchart TD
    A["OAの痛み・機能障害"] --> B["教育+運動療法+必要時減量"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='orthosis'>装具</span>・杖・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='physiotherapy'>理学療法</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='topical NSAID'>局所NSAID</span>を優先/必要時経口<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonsteroidal anti-inflammatory drug'>NSAID</span>"]
    D --> E["短期の関節内グルココルチコイドを選択例で"]
    E --> F{"重度の痛み・機能障害が持続"}
    F -->|"はい"| G["人工関節置換を評価"]

の効果は小さく、OARSI 2019では条件付きで推奨されない1。経口は消化管・腎・心血管リスクを評価する。膝OAに対する下洗浄/はルーチンではなく、Cochraneレビューでも疼痛・機能の利益は乏しい2。手術の中心は適切に選択した末期関節の人工関節置換である。

💡 併存症での選び方が変わる。 OARSI 2019は膝OAで外用を最も強い推奨(Level 1A)に置き、消化管併存症があれば選択的阻害薬(Level 1B)または+、心血管併存症またはがあれば経口をいずれも推奨しない、と分ける1。

💡 「強い推奨」は薬ではなく運動・減量・に集まる。 ACR/Arthritis Foundation 2019で強い推奨となったのは、運動、・肥満を伴う膝/股関節OAの減量、・自己管理プログラム、太極拳、杖、第1手根中手関節OAの手、の膝、膝OAへの外用、経口、膝OAへの関節内グルココルチコイド注射である3。⚠️ はこの一覧に入っていない。 グルコサミンは強い推奨にも条件付き推奨にも挙がらず、は手のOAに対する条件付き推奨としてのみ登場する3。、、も条件付き推奨にとどまる3。OARSI 2019でもコア治療は疾患教育と構造化された陸上運動プログラム(膝OAでは体重管理を併せる)である1。関節内グルココルチコイド・は膝OAでは併存症により選択肢になるが、股関節OA・多関節OAでは推奨されない1。

線維筋痛症

を含むで、組織炎症や筋破壊が原因ではない。に、疲労、、睡眠障害、、頭痛、、が重なる。

診断は両側・上下・体幹を含む多部位痛が≥3か月持続し、となどで評価する。旧来の18 は必須ではない。、炎症性疾患、筋障害、睡眠時無呼吸、薬剤などを病歴・診察に基づき除外するが、無制限な検査を繰り返さない。

💡 2016年改訂で何が変わったか。 2010/2011年基準は1990年ACR分類基準・臨床診断に対し感度中央値86%・特異度90%だったが、限局性疼痛症候群をと誤分類する弱点があった。2016年改訂は「基準」を加えてこれを解消し、評価版と版を統合した4。

⚠️ 他疾患があってもの診断は否定されない。 2016年改訂は従来の紛らわしい「診断除外」規定を撤廃した4。したがって上に挙げた鑑別は「を消すため」ではなく「見落とすと治せる病態を拾うため」に行う。なお自己記入版の基準は研究用で、個々の患者の臨床診断には妥当でない4。

治療

まとめ

  • OAは関節使用で増悪する局所痛と骨性変化、はと睡眠・疲労・が中心である。
  • OA治療は運動・減量・補助具と安全な鎮痛を積み上げ、ルーチンのを行わない。
  • はだけで診断せず、を軸に機能回復を目指す。

出典

  1. 1.OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis(Osteoarthritis Research Society International(Osteoarthritis and Cartilage)・2019)膝OAのコア治療が疾患教育と構造化された陸上運動プログラム(±食事による体重管理)、股関節OA・多関節OAのコア治療が疾患教育と構造化された陸上運動プログラムであること、外用NSAIDが膝OAで最も強い推奨(Level 1A)であること、消化管の併存症がある人ではCOX-2選択的阻害薬がLevel 1B・NSAID+プロトンポンプ阻害薬がLevel 2であること、心血管の併存症またはフレイルがある人では経口NSAIDをいずれも推奨しないこと、関節内グルココルチコイド・関節内ヒアルロン酸・水中運動は併存症の状況により膝OAでLevel 1B/2だが股関節OA・多関節OAでは推奨されないこと、アセトアミノフェン(パラセタモール)が条件付きで推奨されない(conditionally not recommended)ことを確認した閲覧 2026-08-25
  2. 2.Arthroscopic surgery for degenerative knee disease (osteoarthritis including degenerative meniscal tears)(Cochrane Database of Systematic Reviews・2022)変形性膝関節症・変性半月板断裂に対する関節鏡手術は疼痛・機能の利益が乏しく、ルーチンの適応にならないことを確認した閲覧 2026-08-25
  3. 3.2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee(American College of Rheumatology / Arthritis Foundation(Arthritis Care & Research)・2020)2012年ACR勧告を更新した本ガイドラインで、運動、過体重・肥満を伴う膝/股関節OAでの減量、自己効力感・自己管理プログラム、太極拳、杖の使用、第1手根中手関節OAに対する手装具、大腿脛骨関節の膝装具、膝OAに対する外用NSAID、経口NSAID、膝OAに対する関節内グルココルチコイド注射が「強い推奨」とされたこと、条件付き推奨がバランス運動・ヨガ・認知行動療法・鍼・温熱療法・膝OAへの高周波熱凝固・手OAへのコンドロイチン硫酸・膝OAへの外用カプサイシン・アセトアミノフェン・デュロキセチン・トラマドールであり、グルコサミンはいずれの推奨一覧にも含まれないことを確認した閲覧 2026-08-25
  4. 4.2016 Revisions to the 2010/2011 fibromyalgia diagnostic criteria(Seminars in Arthritis and Rheumatism(Wolfe F, et al.)・2016)2010/2011年基準は1990年ACR分類基準・臨床診断に対し感度中央値86%・特異度90%だったが、限局性疼痛症候群を誤分類する問題があり、2016年改訂で「広汎痛(generalized pain)基準」を加えて誤分類を解消したこと、医師評価版と質問票版を統合したこと、従来の紛らわしい「診断除外」規定を撤廃した(線維筋痛症の診断は他疾患の存在によって否定されない)こと、自己記入版は個々の患者の臨床診断には妥当でなく研究用であることを確認した閲覧 2026-08-25
  5. 5.EULAR revised recommendations for the management of fibromyalgia(European League Against Rheumatism(Annals of the Rheumatic Diseases)・2017)メタ解析に基づく治療推奨のうち「強く推奨する(strong for)」ものは運動療法だけであり、心理療法・薬物療法・多面的リハビリテーションはいずれも「弱く推奨(weak for)」にとどまること、初期治療は患者教育と非薬物療法を中心とし、反応がない場合に気分障害には心理療法、強い疼痛・睡眠障害には薬物療法、高度の機能障害には多面的リハビリテーションを個別に上乗せする段階的アプローチであることを確認した閲覧 2026-08-25